絶望の波
〜ナギ、ライト、オルツ サイド〜
ニュアージュ神殿第五層、僕達は特に苦戦することなく最深層までたどり着いていた。
そして僕達は大きな扉の前にいる。
「この扉って…」
「どうした?」
僕はこの扉に見覚えがあった。
「ワールドリンクに繋がる扉と同じ模様…」
「ムムッ、もしや貴方、ワールドリンクに行った事があるでありますか⁉︎」
「オルツさん、その話は地上でゆっくり話ましょう。どうやらこの扉の先、先客がいるようだ」
ライトさんが僕達に注意を促す。
ライトさんは扉の向こうに気配を感じたようだ。
「タイミングを合わせて扉を開く。準備はいいか?」
「はい!」
「よし、3、2、1!」
僕が右側、ライトさんが左側の扉を押す。
扉はゆっくり開き、その向こう側を見せる。
扉の向こう側は何もない、広い部屋だった。
その中央に1人の男が立っている。
「来たな…」
男が呟く。その瞬間、隣でものすごい殺気を感じた。
ライトさんだ。
「ゼノ!」
「大きくなったな、ヴェンティス王女?」
ゼノと呼ばれる男はライトさんの事をヴェンティス王女と呼んだ。
「一体どういうことですか?」
「あいつが継星の大地のボスだ」
(継星の大地のボス…)
継星の大地のボス、ゼノからは計り知れないプレッシャーが出ている。尋常じゃない強さを持っているに違いない。
「とりあえず、お前は邪魔だ」
「えっ?」
突然、後ろから男の声が聞こえた。
ゼノだ。いつのまにか後ろを取られていた。
(あれ、体が動かせない…)
恐怖に完全に支配されている。音も気配も無く、ゼノは簡単に僕の後ろをとってきた。
「タッチだ」
ゼノが僕の肩に手を置く。その瞬間、全身に寒気が走った。
声も出せない。目は開いているのに視界に何も入ってこない。
何かをやろうとすれば、一瞬で殺される。そう感じた。
しかし、
「ナギに触れるな!」
突風が吹き荒れる。その風はゼノを吹き飛ばし、僕に勇気を与えてくれる。
「ナギ、大丈夫だ。お前には私がいる。恐れるものは何もない!」
「ライトさん…」
「オルツさん、ここは危険だ。今来た道を引き返して先に地上に戻っていて下さい」
「は、はいであります!」
オルツさんは慌ててこの場を去る。オルツさんもよほど恐怖に支配されていたに違いない。
「ナギ、一緒に戦うぞ!」
「はい!」
僕にはライトさんがついている。最強の、誰にも負けないライトさんが。
「武器召喚!」
僕は魔法を唱える。
しかし、
「あれっ?武器召喚!武器召喚!」
魔法が出ない。
剣もブーメランも召喚出来ない。
「なんで、なんでなんだ⁉︎」
「クククッ、アッハハハ!」
向こう側で笑い声が聞こえる。
「何をした⁉︎」
ライトさんが吠える。
「使えなくしてやったんだよ!ソイツの魔法をな!」
僕に衝撃が走る。
(使えない?魔法が?)
(いつそれをされた?左肩に触れられた時か!)
魔法が使えない。それは僕は力を失ったということだ。
(これでどうやって戦うんだ⁉︎)
今までたくさん魔法の練習をして来た。最弱魔法でここまで頑張って来た。なのにそれが使えなくなってしまった。
(僕の努力はなんだったんだ?)
「絶望はこれだけじゃないぜ?ほら!」
ゼノは指をパチンと鳴らす。
その瞬間、僕の左肩から下が弾け飛んだ。痛みは感じない。あまりの展開に頭の整理が追いつかないのだ。そして僕の頭はこの無茶苦茶な現実を逃避するかのようにシャットアウトしようとする。
(僕は今まで何をしていたんだ?)
ここで僕の記憶は飛んで行った。絶望の波に僕は負けた。
今回も読んでいただきありがとうございます。勢いで簡潔に書いてしまった部分があるので、かなり分かりにくい内容となってしまったかもしれません。時間がある時にゆっくり改稿しますので、次回からもよろしくお願いします!




