絶望の物語
「二層は一段と寒くなるな〜」
「マクレーモさんは鍛え方が足りないんじゃないんですか?」
「ほう、だったらこれはなんだ?」
マクレーモは思いっきりリラの上着を脱がす。
「ぎゃー!私のカイロッ!」
リラは泣きながら上着を取り返す。
「わ、悪りぃ悪りぃ」
マクレーモはリラとふざけてはいるが油断はしてない。油断している振りをして相手をおびき出す作戦だ。リラら素で嫌がっているようだが。
そしてその作戦は成功したのか、突如ものすごい殺気をマクレーモは感じた。
(何かが…来る!)
「リラ!俺の側から離れんな!」
「は、はい!」
マクレーモは気を張り巡らせる。
そして、どこからともなく、女の声が聞こえた。
「フフフッ、楽しそうですねぇ!」
突如氷の部屋に砂塵が吹き荒れる。その感覚にリラは覚えがあった。
「まさか、ミレイズ!」
継星の大地、最高幹部のミレイズだ。
「あたりです!」
砂塵の中から現れたのはミレイズ本人だった。
そしてリラを見ながらニヤァと笑う。
(な、なにこれ)
リラは突然震えが止まらなくなった。
リラは恐怖に完全に支配されていた。以前一度ナギが完膚無きまでに敗れた人物である。相手にしてはいけないと本能が警鐘鳴らす。しかし、体が全く動いてくれない。逃げたくても逃げれない。
呼吸が辛くなる。生きた心地がしない。
リラが怯えていると、頭に手の感触を感じた。
「心配すんな!お前は俺が守るって言ったろ?」
マクレーモがリラの頭を撫でていた。
(マクレーモさん…ありがとう)
リラの震えが止まった。マクレーモがいるから。守ってくれると約束してくれたから。
「素晴らしい友情ですねぇ。いいでしょう、貴方を殺すのが私が受けた指令です、存分に遊んで差し上げますよ!」
ミレイズが右手を高く挙げる。左手は以前ライトに斬られてもうない。
ミレイズの後ろから大量の砂が溢れてくる。
それが一気に二人を襲う。
マクレーモはニッと笑ってそれに対応する。
"アクセルフット・レベル10"
マクレーモは目にも留まらぬ速さで空中を縦横無尽に駆け回って大量の砂を斬っていく。
そして大量の砂は霧散して消えていった。
「やりますねぇ」
「なんでこんなところに継星の大地がいるんだ⁉︎」
「もちろんここに眠るワールドリンクの情報を見つけに来たんですよ。私はここに来たものの足止めをしているんです」
「ってことは他に誰かいるってことか…」
「ええ、我々のボスですよ」
「何⁉︎」
マクレーモが動揺する。
「継星の大地のボス…」
「ああ、実力はライトさん並だ」
「うそ…」
「他の皆が危ねぇ!リラ!来た道を戻ってモルジイかライトさん達のどっちかと合流してこの事を伝えてくれ!」
「はい!」
しかし、そこでミレイズが動く。
「させませんよ!」
"砂魔法・サンドウォル"
突然周囲を砂の壁が覆い、ドーム状の部屋を形成した。もちろん出口はない。
「さあ!私と一緒に絶望の物語を紡ごうじゃありませんか!」
「勝手に紡いでな!」
マクレーモはリラの隣居たが、一瞬でミレイズの元へと迫る。
そして右手に持ったナイフで一閃した。
「どうやらお前が死ぬ物語だったようだな」
マクレーモがニヤッと笑う。
しかし、刺された筈のミレイズも笑いながら言う。
「フフフッ、後ろ、見たほうがいいですよ?」
マクレーモは慌てて後ろを振り返る。
そこにはリラを槍で後ろから刺そうとするミレイズがいた。
そしてマクレーモの前にいたミレイズは砂となって崩れ去る。
「分身か!」
「遅いです!」
「えっ」
リラも背後を振り返る。
しかし、ミレイズはもう槍を振りかざしてリラを刺す。
辺りには血が飛び散り、近くの砂の壁が赤色に染まっていった。
今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!




