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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第5章 氷の神殿
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嫌な予感

ニュアージュ王国、それは世界4大国の1つである。街の雰囲気はエスターの故郷である、モスリアの町をかなり大きくしたような感じで、建物は雪に覆われている。


そして、城門をまっすぐ進むと最奥地に城が見えてくる。薄く青がかった城壁の上に真っ白な雪が覆われておりとても美しい。


「うわぁ、こんな大きな町初めてです!」


エスターがこんなに興奮するのも珍しい。


「それにこの町の雰囲気は幻想的ね」


リラも辺りを見回す。


「確かにこの町は美しい、だが…」


「どうなさいましたか?」


「いや、なんでもない」


モルさんがライトさんに尋ねたが応えは帰ってこなかった。


「ところで依頼人とはどこで待ち合わせしてるんすか?」


マクレーモさんがライトさんに尋ねる。


「確かここら辺にバーがあるはずなんだが…あった、これだ」


ライトさんが指を指す。その方向にはスノウエンジェルと書かれた看板のバーがあった。


「ここからは私とモルが依頼人に会う。全員でバーに入ると無駄に目立ってしまうからな。30分程度そこら辺観光して来ていいぞ」


「ほ、本当ですか⁉︎」


エスターは目を輝かせる。


「ああ、ただし、時間厳守だ」


「分かってますよ!リラさん!一緒に観光しましょう!」


エスターがリラの腕を引っ張りながら駆け出す。


「うわ、ちょっと!もう、仕方ないわね」


リラはまるで妹を見るような目でエスターを見つめる。実際にそう思っているかもしれない。


「じゃあナギ、俺たちは男2人水入らず、テキトーにぶらぶらするか!」


「そうですね、この星で観光なんて初めてですよ」


「じゃあここでまた会おう」


ライトさんがマクレーモさんにそう言った。


「おっす!」


マクレーモさんもそれに応えた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「しっかし、久しぶりのコンビだな、俺ら」


「はい!僕達が初めて出会った時以来のような気がします」


「そうだな、懐かしいな」


「僕はマクレーモさんに大空の義賊を紹介してもらったんでした。僕はマクレーモさんに出会わなかったら今の僕はいなかったかもしれない」


「ハハ、なんだよそれ、いきなりかしこまんなよ!」


マクレーモさんが笑いながら僕の背中を軽く叩く。


「いや、なんか僕、マクレーモさんにお礼とか全くしてないなぁって思って」


「礼なんていらねぇよ、俺も無理矢理連れて来てしまったんじゃねぇかって考えてたんだ。でもその言葉聞いたらなんか安心した」


「マクレーモさんもかしこまらないでくださいよ!」


僕はマクレーモさんに仕返しをする。


「ハハ、悪りぃな!」


マクレーモさんは笑いながら応える。


「あの、1つ聴いてもいいですか?」


「なんだよ突然」


「どうしてマクレーモさんは大空の義賊に入ったんですか?」


僕は以前、リラと大空の義賊に居る理由について話し合っていた。その時からマクレーモさんやモルさんは何故ライトさんの下で働いているんだろうと思っていた。


「うーん、一言で言えば恩返しかな。こんな俺にもドン底の時代があったんだよ。そんな時代をライトさんがぶち壊してくれたんだ。だから俺は一生ライトさんについて行く」


「そうなんですか…」


マクレーモさんにドン底の時代がある事に僕は驚いた。いつも明るくてムードメーカーな彼にも暗い過去はある事を想像してなかった。


(いけない質問をしてしまった…)


僕は自分の至らなさを反省した。


「お!なあ、この店入ってみようぜ!」


「あっはい!」


僕に気にすんなと言っているような、明るい声をしていた。マクレーモさんはこのようなところで気が利いたり、面倒見が良かったりする。


(本当に尊敬できる先輩だ)


僕はマクレーモさんに促されるまま目の前の店に入っていった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


時を同じくして、ライトとモルはスノウエンジェルというバーで依頼人と話している。

ライトと依頼人は席を1つ空けてカウンターに横に並んで座っている。モルはライトの背後に立ったまま依頼人の話を聞いている。


「つまり、神殿の調査の手伝いですね?」


「そうであります。私はニュアージュ王国歴史調査員の1人、オルツであります。

私は今回、神殿の調査を単独で行おうと思いまして…しかし、神殿は数百年の間人間の出入りが無く、すっかり魔物の住処となっているであります。そこで大空の義賊の方々に護衛を頼もうと考えた次第であります!」


オルツは博士がよく被っているような帽子をつけており、ぐるぐるメガネもつけている、小柄な男性である。

あと、喋り方が特徴的だ。


「もちろん引き受けましょう。しかし、聞きたいことがあります。何故護衛を我々に依頼するのでしょう。王国の調査員なら王国の兵士団を借りればいいはず」


ライトがオルツに質問する。

オルツの答えはこうだ。


「そんなの決まってるじゃないですか!手柄を独り占めしたいからですよ!もし王国の力を借りたら私の調査は王国の調査として世の中に公表されるでありますよ⁉︎そんなの嫌じゃないですか!」


さらにオルツは続ける。


「それにニュアージュ神殿にはあのワールドリンクに関する情報が眠ってると噂されているであります!ワールドリンクの解明は世界中が長年取り組んでいる課題であります!

もしその情報をいち早くゲット出来たら、私は一気に有名人になれるでありますよ!」


(コイツ馬鹿だ)


ライトは王国の手柄にされたくないなら王国歴史調査員にならずに最初から1人でやれよと思ったが、口には出さなかった。それにオルツは自分の欲望や野望を正直に全て言う。

ライトはこんな奴に王国の歴史調査員がよく務まるものだと思ったが、これも口には出さなかった。


「分かりました。その護衛、我々大空の義賊が引き受けましょう」


「おお、やってくれるでありますか!これは心強いであります!」


実際、この任務は大空の義賊にとっても得るものは大きい。目的の1つであった神殿を調査して、ワールドリンクの情報を手に入れることを任務と一緒に達成できてしまうのだ。

これほどうまい話はない。


「では一旦店を出て我々の仲間と合流します」


「了解であります」


ライト達は飲み物代をカウンターに置いて店を出る。


出るとそこにはすでに大空の義賊全員が集結していた。


それを見てライトは微笑する。


「これより我々大空義賊は護衛任務をあたる!抜かるなよ?」


「「はい!」」


ライトの呼びかけにみんなは気合いを入れて返事をした。


しかし、


(何か嫌な予感がする…)


見上げた空にかかった暗い雲は未だにあり続ける。


ライトはこの国に来てから重くのしかかる不吉な予感を振り払うように、その雲を精一杯睨んだ。

今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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