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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第4章 雪の町へ
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ここに居る理由

「で、ナギ、説明して貰おうじゃないか」


ここはベルンの町、大空の義賊アジト。

僕とエスターはライトさんの机の前にいる。


「い、いやぁ、こいつも仲間に入れてもらえないかなぁって…」


「仲間には加えてやる。だが大空の義賊へ入るのは認めん」


「な、なんでですか⁉︎」


僕はライトさんに問う。


「…子供であるから、という理由以外何がある?」


「わ、私は子供でもちゃんと戦えます!」


エスターがライトさんに反抗する。


「ほう?だったら見せて貰おうじゃないか。私にちゃんと戦えるという事を証明できたら入隊を許可してやろう。ついてこい」


ライトさんは席を立ち、僕達の背後のドアから部屋を出ようとする。

しかし、言われっぱなしがエスターのプライドに触ったのか、ここでとんでもない発言をした。


「全く偉そうな大人ですよ!これだからおばさんは困るんです!」


(な、何言ってんだコイツゥ〜)


僕は心の中で激しく動揺している。

普段から生意気なエスターではあるが、よりによってライトさんまで煽っているのである。僕を煽る事とは訳が違いすぎる。


「おい、今すぐ訂正しろ!お前死ぬぞ!」


「嫌です!」


エスターは毅然とした態度で断る。


ライトさんがドアノブに掛けていた手をそっと外し、僕達の方をゆっくり振り返る。

そして微笑みながら僕にこう告げた。


「ナギ、リラと一緒に町の外周を死ぬまで走ってこい」


「なっ、なんで僕達なんですか⁉︎」


「コイツを連れてきたのは誰だ?全部お前達の責任だよな?コイツの尻はお前らが拭け」


顔は笑っているが目が僕を殺そうとしている。


(これは本気だ…)


もう逃げられないと踏んだ僕はライトさんに顔を引きつらせながら応えた。


「リ、リラと一緒に頑張ります…」


「よろしい」


このタイミングでリラがライトさんの部屋に入ってきた。


「ライトさん!新しい依頼です!」


リラが任務が書かれてある紙と一緒に入ってきた。


「ご苦労、では死んでこい」


「えっ?」


「いくぞ、リラ!」


「ちょっと、急に何⁉︎」


「いいからいくぞ!」


リラが戸惑っているのを無視して僕は強引に連れ出した。

早くこの場から離れたかったのだ。


(死ぬなよ、エスター)


僕は心の底からエスターの安全を願った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「さて、エスターと言ったな?ついてこい、私に力を示せ」


「フンッ偉そうに!」


エスターはライトに文句を言った。


実を言うとライトはそこまで怒っていない。別におばさん呼ばわりされて怒っているわけではない。多分、恐らく。


単にこの子には参加して欲しくないのだ。理由は単純、子供だからである。この子にどのような経緯があったかはライトもナギとリラから聞いている。


しかし、大空の義賊は危険と隣り合わせな任務もある。これから継星の大地との戦闘も沢山ある事だろう。命の保証は出来ない。


だからライトはこの子の心を根こそぎ折って、入るのを諦めさせるつもりで闘うことを決めた。


「今からお前と1対1をする。場所は町外れの広場、問題ないな?」


「勿論です!」


「あと、私はまだ20歳だ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


時刻はもう夕方、ナギとリラはベルンの町の外周をひたすら走っている。


「ったくなんで私達が走らなきゃいけないのよ〜」


リラが駄々をこねながら走る。


「言うな!これは死ねば終われるんだ!」


「そんなのいやよ!」


リラがナギに怒る。


「でも、なんでライトさんは反対なんだろう?」


リラがナギに聞いてきた。


「子供だからって言っていた。多分ライトさんはエスターに覚悟を問いたいんじゃないかな、お前は何の為にここに居たいんだってね」


ナギの見解を言った。


「何の為に、か…ナギは何の為にここに居るの?」


リラがナギに尋ねた。


風が強くなってきた。


「僕は瑠夏を探すため、ワールドリンクを見つけるためだよ」


風にかき消されないように、大きな声でそう言った。


「そう、そうだよね…」


そして今度はナギがリラに尋ねた。


「リラは何の為にここに居るの?」


風が一層強くなっている。ライトが魔法を使っているのだろうか。


リラがナギの質問に答える。


「あなたとずっと一緒に居たいから」


その言葉は風に飛ばされ、ナギには届かなかった。


「え?なんて言ったんだ?」


ナギが聞き返す。


「何でもないよ、バーカ!」


リラそう言いながら加速する。


「なっなんだと⁉︎おい待てよ〜!」


ナギがリラを追いかける。


(今度はちゃんと言うね)


リラは自分の心と、緋色に染まった空に誓った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「もう分かっただろ?これが戦うということだ」


「ウゥッ」


ここは町の広場、大空の義賊の訓練場でもある。


そこでエスターはライトにボコボコにやられていた。しかし、


「まだ、まだ!」


エスターは立ち上がる。


(絶対に諦めない!)


「何故だ、何故そこまでする!お前は子供だ!お前は戦わなくていいんだ!」


「い、いえ、私は立ち上がります。絶対に、何度でも!」


「お前に1つ問おう。お前は何故ここに居たい?」


ライトはエスターに尋ねた。何がエスターをこんなに動かしているのか気になったのだ。


「そんなの簡単です…ナギさんとリラさんの役に立ちたいからです。私はお二人に救われました。暗闇にいた私を光のある場所に連れ出してくれたんです。だからお二人と一緒にいたい!」


さらにエスターは続ける。


「そんなお二人が慕っている貴方にも忠誠を誓いたいと思っている事を!ここにいて居たい理由にしてはいけませんか⁉︎」


ライトはエスターの気迫に押された。


(この子本当に子供か⁉︎)


"氷魔法・フローズヘルガ"


(しまっ…)


ライトの一瞬の隙を突いて、エスターは魔法を放ち、ライトを氷に閉じ込める。


しかし、氷の中でライトの目が動く。

その瞬間、氷が砕け、ライトが解放される。


「これでも勝てないんですか⁉︎」


エスターは絶望した。

世界にはこんな化け物もいるのかと。


一方ライトはエスターの目を見る。

そして確信した。


(この子は芯がある。絶対に曲がらない芯を持っている)


そしてライトは認める。


(私の、負けだな)


ライトはスタスタとエスターに近づく。


エスターはもう魔力が切れて立っているのが精一杯だ。


(ああ、私の負けだ)


そしてライトがエスターの前で立ち止まる。


エスターは怯えて目を瞑る。


そしてライトが口を開いた。


「お前の覚悟、見せてもらった。お前の命、私に預けろ」


「え?」


エスターは理解が出来なかった。


「大空の義賊に入る事を許可するって言っているんだ」


エスターは涙が出てきた。


(私の思いが届いた、お二人の隣に居られる!)


「ありがどゔございまず〜」


エスターは泣きながらお礼を言う。


「さあ、ナギとリラを迎えに行ってこい!みんなで任務をするぞ!」


「はい!」


エスターは走っているナギとリラを呼びに行った。


夕陽が沈み夜が来る。

しかし、エスターの目はどこまでも、どこまでも輝いていた。

今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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