瑠夏との別れ
「扉を開けたのは私です。だから、私が扉の中へ入ります。」
瑠夏は全く臆せずそう言った。
「うん!それもそうだね!じゃあ君だけが扉の先へ進もう!」
扉の番人はまた明るい口調に戻った。僕も体が動くようになっていた。
「まっ待って瑠夏!」
(なんで今更声が出るんだよ、なんで今更体が動くんだよ)
「ごめんね、なぎ。私、行ってくるよ。施設と学校のみんなによろしくね」
「俺が行く!瑠夏を危険な目に合わせてたまるか!」
(卑怯だろ。瑠夏が言った後にそれを言うなんて)
「ううん。私がなにも考えずに扉を開けたのが悪いんだよ。凪は悪くない。凪はなにも背負わなくていいから」
「馬鹿か!こんな得体の知れない扉の向こうに行ったら二度と帰って来れないかもしれないんだぞ!それが分かんないのか⁉︎」
僕は声を荒げてしまう。すると瑠夏も負けじと声を張る。
「私、馬鹿だから分かんないよ!これ以外に凪を守る方法なんて!」
瑠夏が泣いている。瑠夏が泣いているところは初めて見たかもしれない。瑠夏は僕を守るためにこの道を選んだのか。馬鹿なのも、わかってないのも全部僕の方だった。
「さあ、時間が無くなってきたから、そろそろ行こうか、ルカ!」
「わかった!いこーう!」
瑠夏は悲しい気持ちを押し殺して明るく振舞っている。自分の情けなさがたまらなく嫌になる。黙っていることしか出来ないのか?そう思っていると狭間の番人が僕の方に来て言った。
「じゃあナギにはこの鍵を渡しておくよ!」
それはさっき瑠夏が拾ったような、青白く光る鍵だった。
「君がもし扉を開きたいときはこの鍵をここで使うといいよ。まぁ、後一回使ったら壊れるけどね」
「なん…で?」
僕はなんとか声を出した。
「言っただろう?ボクは悪魔じゃないんだってね。君が望むならこの鍵で扉を呼ぶといい」
そう言いながら僕に鍵を渡した瞬間、鍵の光が失われた。
「あれれ?光が消えちゃった。君は鍵に選ばれなかったってことかー。てっきり二人とも鍵に選ばれたと思ってたけど、選ばれたのはルカだけだったみたいだねー」
「それってどういう…」
「鍵に選ばれた者が鍵の近くにいると、鍵が光るんだ。扉はその光に反応して現れるんだ!つまり、鍵に選ばれた者だけが扉を開けることができる!」
ということは、僕では扉を開けないということか?
「まぁ、記念にあげるよ!じゃあルカ、そろそろ行こうか!」
「はーい!」
そんなやりとりをしながら二人が扉の先へ消えていく。扉が閉じようとしている。
(行かないでくれ、瑠夏!)
言葉にしたいけど、僕を守ろうとしている瑠夏には何も言えなかった。止めることなんてできなかった。扉が閉まるその瞬間、瑠夏がこちらを振り向いた。
「なぎー、だーいすき!」
泣きながら、でも笑顔でそう言った。そして、扉は完全に閉じて、消えてしまった。
今回も読んでいただきありがとうございます。
当分瑠夏は出てこないと思います(-.-;)ここから話は大きく動くので今後もよろしくお願いします!




