少女との出会い
「ナギ、リラこっちへ来い」
ここはベルンの町大空の義賊アジト、奥にあるライトさんの席に僕達は呼び出された。
「任務ですか?」
リラが尋ねる。
「ああ、長期かつ、重要な任務をお前達に頼みたい」
「「はい!」」
僕達は元気よく返事をする。
そしてライトさんが任務の内容を言う。
「ニュアージュ王国領にモスリア地方という地域がある。そこでは近年魔物が凶暴化しているらしい」
僕は魔物と聞いてライトさんが何を言おうとしているか何となく分かった。
「魔物ってもしかして…」
「ああ、継星の大地と関係があるかもしれない。だからそれを確認してきてくれ」
「ニュアージュ王国領モスリア地方って一体どんなところ何だ?」
僕はリラに聞いてみたがリラは首を傾げる。どうやらリラもよく知らないらしい。
「ふふ、それは行ってみれば分かるさ」
「えっ?」
ライトさんの不敵な笑みに僕は背筋を凍らせる。一緒に修行した時に浮かべていた笑みと全く同じだった。
不安を大いに抱きながら、ニュアージュ王国領モスリア地方へ僕とリラは出発した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さっむ!寒すぎだろ!」
僕とリラは今、モスリア地方にいる。そこは雪が積もっており、冷たい風が吹き抜ける。
辺りは一面真っ白である。
「まずはニュアージュ王国を目指しましょ!そこで聴き取りを行うわ」
リラが張り切っている。どうやらリラはこの寒さが平気のようだ。
「お前寒くないのか?」
「アンタとは鍛え方が違うのよ!」
「ほう、じゃこのその羽織っているものの裏につけてあるものはなんだー?」
僕はそう言ってリラのジャンパーのようなものを脱がす。
「ギャー!やめなさいよ!」
姿を現したのは背中一面に貼られているカイロであった。リラはそれで寒さを凌いでいた。
「半分よこせ!」
「イヤー!」
必死に逃げるリラを一生懸命僕は追いかけた。辺りは一面真っ白、デタラメに進んでいればあっという間に迷子になる。
僕達が追いかけっこして体が温まる頃にはすでに手遅れだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おい、本格的にヤバくないか?」
「アンタのせいよ!」
「ご、ごめん」
僕達は今雪原で迷っている。辺りを見回しても目印になるようなものはない。
「とりあえず前に進みましょ。止まってたら確実に死ぬわ」
「余計に動いたらもっと迷ってしまわないか?」
「もう十分迷ってるから今更でしょ!」
「は、はい…」
僕はリラに頭が上がらなくなっていた。僕のせいで迷ったのだ。ここはリラに従うのが一番である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
迷ってから1時間が経過した。雪は一層強く降るようになり、僕達の足跡はすぐに消えてしまう。もしかしたら同じ場所をぐるぐる回っているだけだったという可能性もあるのだ。そしてついにリラが根を上げた。
「私、もう無理。ナギは私を置いてこの雪原を抜けなさい」
「何言ってるんだよ!ほら、おぶってやるからもうちょっと頑張れ!」
僕はリラをおぶって進む。
しばらく適当に歩いていると、雪に覆われた大きめの古屋を見つけた。
「おいリラ、古屋を見つけたぞ!ここで寒さを凌げるかもしれない!」
「よし、じゃあとりあえず入ってこの吹雪をやり過ごしましょ!」
リラは急に元気になった。それでも降りようとしてくれないリラに急かされながら古屋に入った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「すみませんー、誰か居ますかー?」
「こんな古屋、人がいるわけないじゃない」
「それもそうか」
僕達が中に入ろうとする。その瞬間、開けっ放しにしていたドアが突然閉まった。
「ヒィッ」
「お、おいリラ、びっくりさせるなよ」
「私じゃないわよ!」
「私ですよ」
「どっちだよ!」
「今の私の声じゃないわよ⁉︎」
「じゃあ、誰の声?」
「だから、私ですよ!」
僕達は声が聞こえる方を恐る恐る見る。そこには1人の少女がいた。髪は青白く短髪、目は青色をしている。そして全身を真っ白な浴衣で包んでいる。その姿はまるで、
「ゆ、雪女の子供ぉぉ!」
リラが盛大に叫ぶ。
「誰が子供ですか!」
「いや、雪女のほうを怒れよ!」
少女の叫びに僕はつっこむ。
リラがこの少女が普通の人間であるということに5分ぐらい要した。
「ところでお前は何者なんだ?」
僕は少女に尋ねる。
「それはこっちのセリフです。人の家に勝手に入り込んで、盗賊かなんかですか⁉︎悪いですがうちには金目のものはありませんよ!」
「ここ、あなたの家だったのね、勝手に入ってごめんね?私達、迷っちゃってここで吹雪をやり過ごそうとしてたの」
「そうだったんですかじゃあ…」
好きなだけ居ても大丈夫ですよ!と僕は言うのかと思っていた。
「さっさと出て行ってください!あなた達みたいなわけのわからない連中が居るのは不愉快です!」
なんともまあ非道というか生意気な少女だ。一度コイツの親の顔を見てみたいものだ。
「おい!ちょっとぐらいいいだろう⁉︎」
僕は声を荒げる。少女の物言いが頭に来たのだ。
「私は人と関わりたくないのです。そこら辺に村があるからそこへ行けばいいじゃないですか!」
「え、この近くに村があるの?」
リラが少女に尋ねる。
「ええ、そっちの方が温かいと思いますよ」
「じゃあ、その村へ案内してくれ!」
僕は少女にお願いする。
「嫌です」
やはり断られた。
(仕方ない、奥の手を使うか)
「やっぱ子供だよなぁ」
「な、何が言いたいんですか⁉︎」
(食いついて来たな)
僕は1人でニヤニヤする。
「いやなに、大人だったら普通こういう時は嫌でも親切に案内するものなんだよ、でも子供は駄々をこねる事しかできないもんなぁ。いや、なに、お前が悪いわけじゃあないんだよ?悪いのはただの子供に頼ってしまった僕達大人が悪いんだ。お前は見た目は子供だけど中身は大人と変わらない奴だと思ってた僕達が悪いんだー」
こういうプライドの高そうな子供は自分が子供であると強調されるのが腹立たしいものなのだ。
「ちょ、ちょっと、何やってんのよ!」
リラが小声で僕に話しかけてくる。
「まぁ見てろって」
少女がブルブルと震えている。そしてついに叫んだ。
「分かりました!やってやりますよ!ええ、やってやりますよ!村の案内してやりますよ!私をそこらのガキと一緒にしないでください!」
やはり、子供である。こんな見え見えな挑発に乗るとは。
「ありがとう!やっぱり君はいいやつだな!ところで名前、教えてくれよ」
「こういうのって先に名乗るのが礼儀じゃあないんですか?」
(こ、このクソガキ〜)
「僕はナギだ」
「私はリラ!」
「私はエスター・フローゼです」
こうして僕達はこの生意気な少女、エスターと一緒にモスリアの町へと行くことになった。
そして僕達は悲劇を目の当たりにすることになった。
今回も読んでいただきありがとうございます。今回は新しいヒロインを登場させました。少女キャラです。この章は彼女の章になります。次回もよろしくお願いします!




