千匹狩り
今回はマクレーモとモルパートです。
目の前には女が一人いる。
(コイツ、強い)
僕の本能がそう告げる。コイツは本来相手にしてはいけないと。それに加え、僕とジークスは先の戦いで満身創痍である。例え相手がどれほど弱くても今の僕達では勝てない。
そんなことを考えているとミレイズは二人に向かって何かを投げてきた。
「これは、万能薬か?」
「どうせ罠だろ」
「罠ではありません。言ったでしょう?私は遊びたいのです!さぁ、私を楽しませてください!」
ミレイズは手を広げてそう言った。僕達は貰った万能薬を飲む。すると全身のやけどや痺れは消え、魔力も回復した。
「さぁ始めましょう!そして終わらせましょう!この国を‼︎」
ミレイズはそう言って周囲を砂塵で僕達を囲んだ。
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「フーデル王国を取り囲む魔物数千匹か…一体誰がやってるんだろうな」
「ライト様の見立てではシエル王国滅亡と関係があるとのこです。おそらく…」
「奴らか、とうとう動き出したってわけか」
ここはフーデル王国より僅か3キロ離れた森の中。マクレーモとモルはライトの命令により、この森の中にいる魔物を殲滅しようとしているところである。
「じゃあモルジイ、お香頼むわ」
「かしこまりました、マクレーモ殿」
そう言ってモルは引き寄せのお香を取り出した。これは魔物が好きな匂いを出し、周辺にいる魔物をおびき寄せる為に使う道具である。匂いが辺りに散らばる。
すると早速魔物の声が聞こえた。
「ウォーン、ガルルルゥ」
「お出ましだな!」
「如何しましょうか」
「多分魔物はもう俺らを囲んでいるはずだ。だから俺がこの森を全力で駆け回ってこのナイフで斬っていく。モルジイは魔法で隠れながら弓で遠距離から音もなく射抜いてくれ!」
「分かりました。では、健闘を!」
「よっしゃ!一丁暴れるか!」
マクレーモは屈伸しながらそう言った。すると突然魔物が四方八方から襲ってきた。
「「グルルルァ!」」
「おせーよ」
"アクセルフット・Lv10"
マクレーモは目にも留まらぬ速さで森中を駆け巡る。魔物達は自分の標的が突然消えて戸惑っている。刹那背後から突然斬られた。魔物達には何が起こっているか分からなかった。魔物達は斬られたことを認識する前に絶命した。
「ガルルルァ⁉︎」
魔物達は戸惑うことしかできない。目に見えない何かに他の魔物が切り刻まれていくのだ。そして倒された魔物の数は既に100体を簡単に超えていた。
「キーッ!」
魔物達は脚の速すぎる青年は倒せないと踏んだのか、今度は一人の老人に狙いを定めた。
複数の猿みたいな魔物が老人を取り囲みながら襲いかかる。
「やれやれ、老人を舐めないで下さい」
"シャドウブーツ・Lv10"
モルは魔法を唱える。すると突然、魔物達の視界から消えてしまった。
「キー⁉︎」
取り囲んでいた魔物たちは突然獲物が消えてこちらもまた戸惑っている。
シャドウブーツ、感知、潜伏がしやすくなる魔法だ。簡単に言えば影が薄くなる、ただそれだけの魔法なのだ。しかしモルもまた、長年の鍛錬によってその魔法の熟練度は10になっている。もはや影が消えるどころか存在が消える域に到達している。
そしてココからがモルの真骨頂。
「ギャァァ!」
突然猿の魔物は何処からともなく現れた弓矢に射抜かれた。
これはモルのスキル、矢道強化、弓の威力は大幅に上げるというものである。
シャドウブーツで敵から隠れ、更に敵を感知しながら確実に弓で相手を倒していく。並大抵の相手ではモルの顔を拝むことすら出来ないのだ。
「ココですかな!」
モルは弓矢を3つ同時に放つ。そしてそれらはそれぞれ別の魔物に命中した。
そして魔物に命中したにも関わらず、弓の威力は落ちずそれらの後方にいた魔物達もまとめて射抜いてしまった。
「ふー、ちょっと休憩」
マクレーモがモルの横へやって来て、近くに腰を下ろす。二人は予めモルが潜伏している場所を決めていた為、マクレーモはモルを見つけることが出来た。
「お疲れ様でございます。マクレーモ殿」
モルは弓矢を放ちながらそう言った。モルが一度矢を放てば、数十匹は簡単に倒す。マクレーモが走ってもそれと同じぐらい倒す。凪が闘技場であれほど苦戦していた魔物達を、それも数千匹を相手にものの10分くらいで既に半数を倒している。まさに大空の義賊は最強の名に相応しいだろう。
「マクレーモ殿、今日はやけに張り切ってますな」
モルがマクレーモにそう尋ねる。
「この戦いは絶対に勝たなきゃならない。ライトさんの為にも、モルジイの為にも…」
「ええ、そうですね。我等がシエル王国の仇、ここであの組織とも決着を付けないといけませんね!」
「ああ、やってやる!」
マクレーモはそう言ってまた走り出した。そして魔物を次々に倒していく。
そしてその10分後、二人は数千匹の魔物を殲滅した。そのかかった時間およそ20分。最強にして最速。
この後大空の義賊は魔物千匹斬りの偉業と共に世界にその名を轟かせることとなった。
今回も読んでいただきありがとうございます。今回はマクレーモとモルのパートで久しぶりの登場でした。次回もよろしくお願いします!




