謎の鍵と扉
突如として現れた扉。扉はさっき拾った鍵に反応しているかのように、全く同じように、青白く輝いていた。僕はまだ扉が現れた事に頭の整理が追いついていない。
「ちょっと開けてみようかな」
と言いながらドアノブを回す瑠夏。
(なんでコイツはこうも平然としていられるんだ?)
しかし、この思考を遮るように突然、僕は物凄く嫌な予感がした。
「瑠夏、開けちゃダメだ!」
得体の知れない扉に僕は得体の知れない恐怖を感じた。
だから思わず叫んだ。しかし、遅かった。すでに瑠夏は扉を半分開けてしまっていた。
そして僕の嫌な予感は的中してしまった。
扉の中から一人の美少女が出て来た。髪は金髪でショートカットの絵に描いたような美少女だった。目が緋色に染まり、白のワンピースを着ている。しかし、白のワンピースとは裏腹に、この人が纏っているオーラはなんとも言えない、ただ黒い、不吉な予感を感じさせるものだった。
「初めまして!鍵に選ばれし者たちよ!扉を召喚したのも君達だね!さぁさぁ早く中へどうぞー!」
しかし予想とは裏腹に、なんだかとても元気で明るい感じの人だった。さっき感じた、嫌な予感や不吉なオーラは全部勘違いだったのだろうか?
「自己紹介するよ!ボクは狭間の番人!この扉を管理するものだよ!早く扉をくぐってよ!あっその前に君達の名前きかせて!」
「私は東雲瑠夏!」
「ぼっ僕は東雲凪です」
(なんなんだこれは?現実に起こっている出来事なのか?)
「そうかールカにナギかー!よろしくね!」
「狭間の番人さん。この扉はどこから現れて、どこに繋がってるんですか?」
とりあえず聴きたい事は沢山ある。この扉は何なのか、分からない事だらけだ。
「ハハ、それは中に入ったら教えてあげるよ!」
「い、いや、さっきからやたらと中に入れたがるけど、別に入るつもりは無いんで。なぁ瑠夏?」
「う、うん、私もいいや…」
瑠夏がそう言った瞬間、空気が変わった。
狭間の番人の目が変わった。細く鋭く、冷たい目だ。
(なんだ、これ…)
まるで時間が止まっているような、そんな感じだ。僕の体は金縛にあったかのように動かなくなってしまった。瑠夏も全く動けないでいる。それは扉の前に立つ狭間の番人さんからとてつもない不吉なオーラが出始めているからだ。半端ないプレッシャーだ。このプレッシャーは人が出せるものでは決してない。何か悪い事が起こる事はなんとなくわかる。
すると狭間の番人は口を開いた。
「『別に入るつもりはない』だと?それは出来ない。扉を開けた者は必ず扉を通らなければならないんだ。」
今度は寒気がするほど静かな口調になった。まるで瞬きすら許されない感じだ。僕は突然すぎる変わり様にどうしたらいいのか分からなかった。というかどうしようもないのだ。
「扉は開けるためにあるのではない。扉は通るためにあるんだ。扉を開けたら通る、これはルールなんだ。星々の間で交わされた盟約なんだ。もし通れないっていうなら、君達をここで殺さなければならない。この扉のことが世間にバレないようにね。口封じさ」
今、なんて言った?殺す?誰を?僕たちを?なのに、殺されるのに、逃げなければならないのに、体が全く動いてくれない。彼女が纏ってるオーラで分かる。これは、本気だ。
「ハハ、そんなに怯えないでよ。ボクはなにも悪魔ではないんだ。特別に一人、どちらか一人、扉をくぐってくれたらいいことにしよう」
どちらか一人でいい?それなら僕が通らないと。瑠夏を守らないと。
(僕が行きます。)
そう言いたいのに、さっきから口を動かせない。なんとか口を動かせても、声がでない。恐怖で体が竦んでる。
(言え、言えよ。早く言わないと瑠夏が言ってしまう)
「私が行きます」
僕がそう思ったのと瑠夏がそう言ったのはほぼ同時だった。
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