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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第3章 王国に潜む光と影
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動き出す光

「で、具体的にどうするの?」


リラが訪ねてきた。この国を救う事になったものの、まだ方法を決めていない。


「とりあえずやることは2つだ。この国の外部と内部にいる魔物の討伐、そして親父を操っている奴らを倒して親父を解放することだ」


「そいつらは強いのか?」


「ああ、一筋縄ではいかないだろう。魔物の強さはお前もよく分かっているだろう?」


「ああ」


闘技場で戦った魔物は強くて早く、洗練された動きだった。3匹相手にするのも大変だったのに数千匹の魔物を相手にしなければならないのだ。これは相当骨が折れる。


「王国騎士団長のゲイロスは炎魔法の使い手で熟練度5だ。闘技場統括コロマスは水魔法の使い手で熟練度5だ。そして最後、親父の側近のミレイズだが…すまない、情報が全く無い」


「いや、これだけ情報があれば対策は充分たてれるはずだ」


「先に魔物を倒すべきだよね?先にそいつら倒しちゃうと魔物を暴走させちゃうかもだし」


「リラにしてはいいこと言うなー」


「にしてはは余計よ!」


リラが僕を睨む。そのやりとりを無視してジークスは続ける。


「確かにそれは正しいかもな。よし、先に闘技場にいってそこで収容されている魔物を先に潰すぞ!」


「だが闘技場にはゲイロスとコロマスがいる、そう簡単にはいかないぞ?」


「だったら私に任せて下さい」


突然外から声が聞こえた。すると家の扉が開き、ライトさんが入ってきた。


「ライト・オール…」


「お久しぶりです」


ライトさんはジークスに敬礼する。


「やめてくれ、お前はもう騎士団長じゃないんだ、敬礼なんざしなくていい」


「…分かりました」


ライトさんはそう言って敬礼をやめる。


「ライトさん!」


「すまない、お前らを探すのに手間取っていた。だが大体の事態は把握している」


「で、何か情報は掴めましたか?」


リラが尋ねる。


「ああ、お前の故郷、カカオ島を襲ったウッズ・ウォーカーはコロマスの弟だそうだ。中々口がかたいやつだったらしくてな、火炙りにされるまで吐かなかったそうだ。」


「ひっ」


リラが体を竦ませる。


だが、ライトさんの、死なない程度に殺せという命令をしっかりとやり遂げるマクレーモさんはもっと恐ろしい。


「だからと言ってはなんだが、ナギはコロマス達を始末しろ、その間に私とリラが闘技場の地下にいる魔物のを倒す」


「なら俺もナギと一緒に戦うぜ」


「よし、とりあえずそんな感じに動きましょ!」


リラが話を切り上げて早速行動しようとしている。リラはこれが大空の義賊としての初めての任務だ、張り切るのも無理はない。だが僕にはもう一つ確認しておきたいことがあった。


「王様と国の外部にいる魔物はどうするんですか?」


「王様の方は全てを片付けてから、話はとりあえずそこからで充分間に合う。外部の魔物の方はマクレーモとモルを呼んである。後は奴らが勝手にどうにかするだろう」


「どうにかするだろうって、魔物は数千匹いるんですよ⁉︎それに普通の魔物よりも格段に強いんです!」


僕はそう訴える。しかしライトさんは大丈夫だと言う。


「マクレーモとモルは強い。アイツらの連携は私でも苦戦を強いられるぐらいだ」


そうだ、あの二人は僕よりも格段に強いんだった。それに長年一緒にいるライトさんがそう言うんだ。信じて間違いないだろう。そして、ここでジークスが口を開く。


「よし、これより作戦を開始する!抜かるなよ?」


「「おう!」」


これから大きな闘いが始まる。僕はほっぺを軽く叩いてみんなと闘技場に向かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「国中探し回っていたがまさか自分達からでてきてくれるとはな…」


ゲイロスはそう言った。


ここは闘技場の対戦エリア。僕とジークスはゲイロスとコロマスとそこで対峙していた。


「お前らにこの国はやらねーよ」


ジークスが大剣を肩に乗せてそう言った。


「これはこれは、まさかアルバートの正体がジークス王子だったとは、国王が心配なさってましたよ?」


「お前らが親父を操ってたってことも知ってんだよ!」


「そうでしたか、まぁそれも今日で終わりのようだ。我々の正体がバレた今、一刻も早くフーデル王国を潰す必要があるからな!さっさと国王の元へと行った方がいいぞ?」


「お前ら、親父になにをした⁉︎」


「支配を解いてやったんだよ。今頃玉座で寝てると思うぞ?まぁどこにいてもこれから魔物がこの国を襲うから生き残れないがな」


コロマスがニヤリとしながらそう言った。


「悪いがそうはさせねぇよ。お前らは僕達を相手にしてしまったんだ。どこへ逃げようとも生き残れねぇよ!」


僕は不敵にそう言った。


「言ってくれるじゃねぇか!じゃあ殺すしかねぇよな!」



ゲイロスはそう言って魔法を発動した。


"炎魔法・フィレーフォース"


そう言って巨大な火の玉を4つ作った。


「塵となれ!」


そう言って4つの火の玉を僕達に投げる。

ジークスが迎え撃とうと大剣を構える。しかし、


「いい、僕がやる」


そう言って僕は魔法唱える。


"武器召喚・エアリアルブレーカー"


僕は爆風を纏う2つのブーメランを召喚し、火の玉にそれらをぶつける。火の玉にぶつかった瞬間、2つの風は拡大し、威力が増していく。そしてついに火の玉をかき消した。


「ほう、中々やるようだな」


「この程度の実力で務まるんだな、王国騎士団長ってのは!」


「なに⁉︎」


僕のあからさまな挑発にゲイロスは乗って来た。


「ナギ、俺はてっきりお前の事を炎魔法の使い手だと思っていたが風魔法も使えるんだな」


ジークスが僕にそう話しかけて来た。


「いや、僕の魔法は2つもない。僕の魔法はただの武器を召喚する魔法だ!」


「ハハ。お前、ただそれだけの魔法をここまで強くするには何回死にかけた?」


ジークスが笑いながら僕に尋ねた。そう、これはただ武器を召喚するだけの魔法。最弱魔法。魔法での戦闘が主流のこの星ではほとんど意味をなさないただの武器。


「何回死にかけた、か。それはもう途中からどうでもよくなって数えてないな!」


僕は吹っ切れたようにそう言った。僕は大切な人を助けるために強くなった。この星にやって来た。それだけなのだ。


「そうか、そうだよな。じゃあゲイロスは任せたぞ!」


「お前もコロマス任せたぞ!」


僕とジークスは健闘を称えあう。


(負けられない。絶対に!)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ゲイロスと僕は激しい炎のぶつかり合いをしていた。


"炎魔法・フィレーブレット"


ゲイロスはさっきの魔法よりは小型だが、数が無数にある火の玉を作り出した。それらが一気に襲いかかる。


「速い!」


火の玉は高速で僕に襲いかかって来た。僕は必死に2枚のブーメランと双剣で応戦する。ブーメランが宙を舞いながら火の玉を切っていき、それでも残った火の玉は僕が剣で捌いていく。


「ふっ、せい!」


だが数が多過ぎて、次第に僕は押されて来た。 少し体力が落ちてきて、腕が回らなくなってきた。そしてついに、火の玉を捌ききれなくなって、数十発を食らってしまった。


「ぐわっ!」


僕は爆炎に包まれてしまった。


「ナギ‼︎」


ジークスの声が聞こえる。


そしてその爆炎は形を徐々に変えていき、僕を閉じ込める炎の檻になってしまった。


"炎魔法・フィレーコーシ"


「なんだこれは!」


僕は檻の中から檻を切る。しかし炎の檻は切っても揺らめき元の形に戻る。まるで剣が炎を透過している様だった。


「くそっ、どうなってるんだ!」


「炎は斬ることなど出来ない。当然だろ?」


「ここからだせ!」


「クックック、出ることはできるぞ?これはただの炎だからなぁ。ただし、全身大火傷で満足に魔法を出せなくなるかもしれないけどなぁ!」


「なんだ、大火傷すれば普通に出れるのか。」


「は?」


僕はブーメランを構える。狙いはゲイロス、足に力を込める。


「いくぞ!」


「ま、待て、何をするつもりだ⁉︎」


"エアリアルブレーカー"


そう言って僕の後方の地面に向けてブーメランを叩きつける。するとブーメランは爆風を生み、僕をおもいっきり檻の外に追いやる。


「あっ、熱ぅー‼︎」


檻を抜けた瞬間、全身の神経が悲鳴をあげた。全身の皮膚は赤くなり、すべての感覚が無くなった。でも、でも、


(絶対に負けない!負けてたまるかぁ!)


力を振り絞って剣を召喚する。しかし、やはり上手くいかず一本しか、しかも炎を纏っていない剣を召喚してしまった。でもそれで十分だった。エアリアルブレーカーの爆風によって、僕は宙に舞いながらもとてつもない加速をしていた。今僕は風よりも速い。もう誰にも止められないのだ。そう、僕にも。


「まっ、待て、ぐわあぁぁ‼︎‼︎」


"白の残火"


炎は風の力で更に大きくなる。先程編み出した技でそのままゲイロスめがけて一閃した。そしてゲイロスごと奥の壁に激突した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ナギ!」


ジークスが心配そうに叫んだ。激突した壁の周辺には土煙が立ち込めている。そしてそれが徐々に晴れていく。一人、立っているシルエットが見える。それはナギだった。


「ナギ!」


今度は安堵した声になった。どうやらゲイロスを倒せたようだ。


「ちょっと休む!」


ナギはジークスに向けてそう言い、仰向けになって倒れ込む。


炎の檻を突破する為に全身火傷を負ったため、流石に立っていられない。


「ああ、こっちもすぐ終わらせる!」


「余所見とは随分と余裕だな!ジークス王子!」


声の方向に目をやると、巨大な波が押し寄せてきた。


「ちっ」


ジークスはジャンプしてかわす。フィールドは水びたしになってしまった。大体膝下ぐらいの水位だ。

技の威力が高く、さっきから一向に距離を詰めさせてくれないのだ。

ジークスが遠距離の雷魔法を放てば攻撃を当てることは出来る。しかし、相手は水魔法によって辺りを浸し、撃てば自分まで感電してしまう。それに今フィールド内にいる重傷のナギも感電させてしまうのだ。つまり、今ジークスは魔法が使えないのだ。


「攻撃してこないつもりか?ああ、出来ないよなぁ?」


コロマスがにやけながら魔法を唱える。


"水魔法・アクアマーズ"


すると突然ジークスの足元の水がせり上がってきてジークスを襲う。それによってジークスは宙に舞う。


「ぐぁ!」


そしてさらに周りから無数の水柱ができ、それらがジークスめがけて襲いかかり、地面にに叩きつけた。


「死ねー!」


「ぐわあぁぁ!」


そしてその水柱は追撃し、ジークスに襲いかかった。


ふらふらになったジークスは何とか立ち上がる。


(くそ、このままじゃやられる。何か方法はないのか⁉︎)


そう考えているとその時、ナギの声が聞こえた。


「魔法を使え!ジークス!」


「ダメだ!魔法を使えば俺もお前も感電するんだぞ!お前は重傷だ!死ぬぞ!」


ジークスが叫ぶ。だが、ナギはそれを一蹴した。


「お前のこの国を救いたいという気持ちはその程度か⁉︎自分と仲間の命かけれない奴がこの国を救えるわけないだろ!死ぬ気になれない奴が勝てるわけないだろ!」


「‼︎」


その言葉を聞いて、ジークスは体に熱を帯びたのがわかった。体がどんどん熱くなっていく。


(そうだよな、ナギの言う通りだ。この国を救いたい。守りたい。大切なものなんだ。こいつに勝ちたい。俺と一緒に戦ってくれる大空の義賊のためにも)


「それに、お前のヘナチョコ魔法で僕が死ぬと思うか?」


ナギはさらにゲキを飛ばしてくる。その顔は笑っている。それにジークスも笑って答える。


「言ってくれるじゃねぇか!ああわかったよ!ナギ、俺と一緒に死んでくれ!」


「上等だ!」


「私を巻き込んで自爆する気か⁉︎させんぞ!」


コロマスが狼狽える。そしてまた水柱がジークスを襲う。


「もう遅えよ」


"雷魔法・絶雷"


ジークスは大剣を地面に突き刺す。そしてそれを横になって捻った。すると次の瞬間、電撃の膜が大剣を中心として広がっていく。


それは余りにも早く水を駆け巡り体を壊す。


「ガハァッ!」



コロマスは声を出せないまま倒れていった。

ジークスも電撃を食らい、その場にうつ伏せになる。が、なんとか口を動かす事が出来た。


「ナギ、生きてるか?」


「あ、ああ、だが体は全く動かせそうにない」


「俺もだ。とりあえず無事で良かった。リラとライトをここで待とう」


「ああ、そうだな」


しかし、戦いはまだ終わってなかった。これはまだ序章だったのかもしれない。


「み〜んな傷だらけ、なんだか楽しそうですねぇ」


突然どこからか声が聞こえた。すると辺りの水が消えていく。どうやらコロマスは死んだようだ。そのため魔法で生成された水が消えたようだ。しかしそれと同時にフィールドに砂塵が吹き荒れた。


「くそ、見えねぇ!」


「一体何なんだ⁉︎」


そしてしばらくして砂塵が止み、目を開けるとそこには女が立っていた。


「あなた方は私と遊ぶに値するか、確かめさせていただきます」


「コイツがいる事忘れてたぜ」


「ってことはコイツがミレイズか!」


この女、ミレイズはニヤァとしながら口を開いた。


「さあ!、私と一緒に絶望の物語を紡ごうじゃありませんかぁ!」

今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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