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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第3章 王国に潜む光と影
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怒りの決勝戦

 リラは今ナギと決勝戦で闘うアルバートを尾行している。


(何がなんでもナギを殺させはしない!)


ここでアルバートが曲がり角を曲がった。


「逃すものか!」


リラもすかさず追いかける。リラも曲がり角を曲がる。しかし、そこには大剣を左手に持って肩にトンッと当てながら待ち構えているアルバートが立っていた。


「フッ、残念だったな」


アルバートがニヤッと笑うのが犬の仮面の下からも分かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 いよいよ決勝戦、僕は今控え室で自分のエントリーナンバーが呼ばれるのを待っていた。しかし、今のところ王様が悪い人である手掛かりが何一つ無い。


(本当にこの闘技場に何かあるのか?)


「エントリーナンバー4のナギ様、対戦エリアへの移動をお願いします!」


とりあえず今は勝つ事だけを考えよう。僕は自分のほっぺを軽く叩いて気合を入れた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 決勝戦、相手はここにきてようやく人間だ。相手の名前はアルバートこれまで肩に背負った大剣で相手を両断してきたかなりの強者だ。


決勝戦というだけあって、会場の盛り上がりも最高潮に達している。犬の仮面を被ったその男は武器を構える。


(笑った?)


今、仮面の下でアルバートが笑ったような気がした。


「試合、開始!」


会場アナウンスでそう告げられる。相手は素早く僕の懐まで走ってきた。速い!僕は魔法を発動する間もなく、逃げに徹するしかなかった。


「おい、その程度か?興醒めだな」


「くっ」


相手が僕を煽ってくる。僕はそれを無視してなんとか距離をとった。今度は僕の番だ。


"武器召喚・陽炎の双剣"


僕は燃える双剣を召喚する。


「行くぞ!」


地面を勢いよく蹴って一気に間合いを詰める。右手の剣でアルバートに斬りかかる。その瞬間、アルバートも大剣を抜く。金属と金属がぶつかり合い火花が散る。


大剣は雷を纏っており、僕の炎の剣と互角を演じている。いや、少しずつ僕が押されている。仕方なく左手の剣も援護する。ここでまたアルバートが口を開いた。


(また僕を煽ってくるなら徹底的に無視してやる!)


そう思っていたがその予想は大きく外れた。


「さっきそこでお前の仲間にあったぜ?名前はリラ、だったか?」


意外過ぎる発言に僕は驚いてしまった。


「リラに会っただと⁉︎」


ここで一旦つばぜり合いをやめて、アルバートとの距離をとった。


「フッ、手に取るようにわかるな。お前が動揺しているの!」


「リラに何をした⁉︎」


(落ち着け、戦いはいつも死ぬ気で、冷静でないといけないんだ。相手は明らかに僕を挑発している。僕が冷静でなくなるのを待っているんだ。耳を貸すな、心を正せ!冷静、冷静、冷静に…)


「俺の後をコソコソとつけてたからな、待ち伏せして、殺した」


僕の中で何かがプチっと切れた。頭が熱い。何も考えられない。ただ、目の前の男が憎くてたまらない。


何かドス黒いものが頭に登る。憎しみが心に宿る。


冷静、冷静、冷静、冷静、冷静!


冷静に、冷…静…に、れい…


「オマエェェ‼︎‼︎‼︎」


僕はブチ切れていた。そして炎双は見たことのない輝きを放つ。赤い炎が青い炎へと変化したのだ。そして一気に間合いを詰め、アルバートへ斬りかかる。


「速い‼︎」


アルバートがそう呟く、必死に避けるが僕の剣に目をとらわれていて、僕の横からの蹴りに気付いていなかった。そして僕の蹴りは脇腹に入った。


「ぐあっ!」


アルバートが吹っ飛ぶ。


「お前だけは僕の手で確実に殺してやるから覚悟しておけ!」


体が熱い。全て憎しみで焦げている。


「いいぞ、想像以上の強さだ!」


アルバートは笑っている。アルバートは仮面をつけているが、笑っていることは雰囲気で伝わった。まるでこの戦いを楽しんでいるようだ。そういうところが、僕はたまらなくイラついた。


「ふざけるなぁ!」


また僕は一気に間合いを詰め、アルバートに斬りかかる。しかし今度はアルバートもきっちり対応してくる。


双剣が斬りかかり、それを大剣が防ぐ。炎と雷が入り乱れており、どちらも譲らない。数千人いる観客も声を出すことを忘れて、この熱戦を固唾を飲んで見守っている。


そしてとうとう、アルバートは剣だけでは僕の猛攻を受け切れなくなってきたのか、遂に奥の手を発動した。


"雷魔法・逆鱗"


そう言って大剣を地面に突き刺す。すると僕達の下の地面が輝きだした。アルバートはその場から、


何か嫌な予感がした。すぐ離れようとしたが、それは叶わなかった。


「遅い‼︎」


アルバートがそう言った瞬間、輝く地面から雷が昇ってきた。それはまるで天翔ける龍のように。


「ぐあぁっ!」


僕は直撃を食らってしまった。もう、体の感覚が無くなってしまった。服は焦げ、全身は火傷している。まさに満身創痍だ。


「もう終わりだな、お前は充分踊った。もう楽になれ」


アルバートがゆっくり近づいてくる。僕を殺そうとしている。戦わなきゃ、でも、体が動かない。倒れたい、もう楽になりたい、こんな痛い思いをするなら死んだ方がマシだ。でも、まだ死ねない、死んではいけない、僕はコイツを殺さなくてはならない。リラの仇を討つために。


動け、俺の手、動け、俺の足。動け、動け、動け、動け‼︎


僕の体がピクリと動く。


(リラ、リラ、リラ、リラ、リラ…)


「リラァー‼︎」


僕は叫ぶ、すると双剣の青い炎は一層大きくなり、僕を勇気づけてくれる。お前はまだ死ねない、コイツを倒せ、と。


ゆっくり立ち上がり、アルバートを睨む。


「絶対に許さない…!」


息を吹き返した僕はアルバートに突進する。


「まだ動けるのか、流石だ。お前と出会えて良かった」


アルバートがそう呟く。


「うおぉぉぉ!」


雄叫びを上げながら剣舞を喰らわせる。アルバートも必死に抵抗するが、スピードではこちらの方が格段に上だった。そして遂にアルバートの右肩に一太刀浴びせることができた。


「クソッ!右肩が上がらねぇ」


アルバートは右肩をブランとさせながらそう言った。しかしすでに僕も満身創痍、戦いをそう長く続けられない。これからお互い最後の攻撃になるとわかっていた。


僕は脚に力を込める。この一撃に全てをかける。


「「うおぉぉぉ‼︎」」


お互いが最後の攻撃で突進を仕掛ける。先に攻撃を当てた方が勝つ。僕とアルバートはお互い一直線に仕掛ける。


そして二人が遂にぶつかるー


そう思われたが、突然上空から降り注いできた、無数の弓によってそれは邪魔された。

今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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