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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第3章 王国に潜む光と影
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いざ闘技場へ

フーデル王国名物、モンスター闘技場。野生の魔物を捕まえて調教して、そして戦わせるというものだ。以前は人間が己の知と技を競い合う伝統行事であった闘技場は国王が突如としてこれを廃止にしたらしい。そして今回行われるのが人と魔物の混成闘技場である。要は人と魔物が大衆の前で戦うのだ。


「一般の受付はこちらでございまーす!」


闘技場の周りで受付嬢が呼びかけている。


「じゃあ、行ってくる!」


「ええ、バシッと優勝してきなさい!」


「ああ、外からの情報収集は任せた!」


僕はリラに見送られながら、受付嬢の所まで行った。


「すみません!僕参加します!」


「はーい、ではここに名前とこの同意書にサインをお願いします!」


そう言ってぼくに羽ペンと紙を渡した。


「同意書?」


「はい!ここから先は命の保証は出来ませんから!」


心が晴れ渡るような笑顔で、心が折れるような一言を言われた。


(やっぱ出たくないかも…)


「はい、ナギさんですね!あなたは4番です!最初の相手はこの方です!」


受付嬢はそう言って、僕の最初の対戦相手の名前と写真を見せてくれた。対戦相手の名前はゼアフルフ、写真を見てみると、狼の魔物だった。


(相手はこの方です!って言うから人かと思ったじゃないか!)


「では、出番まで控え室で待機していて下さい!なお、使用できる武器は2つまでとさせて頂きます!」


ということは、双剣かブーメラン2枚のどちらかしか使えないということだ。


「よし、やるか!」


僕は気合を入れ直して控え室に入った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「エントリーナンバー4のナギ様、対戦エリアへの移動をお願いしますー!」


闘技場第2試合、いよいよ僕の出番となった。相手はゼアウルフ、いきなり魔物だ。ライトさんとの修行で何回も相手にしている魔物だったので、恐らく遅れをとることはないだろう。僕はそんなことを考えながら、対戦エリアに入る。すると突然大きな歓声が聞こえた。フィールドの周りの席は人でいっぱいだ。


「すげー、こんなに人に見られながら試合するのか…」


僕は誇らしくもあったが、緊張と恥ずかしさがそれを上回っていた。そして僕が出てきた反対側の入り口から、檻に入れられたままのゼアウルフが出てきた。それも3匹。


「これは聞いてないぞ…」


そしていきなり解き放たれた。3匹が代わる代わる襲ってくる。


 「いきなりかよ!」


僕は双剣を召喚し、素早い動きから繰り出されるゼアウルフの尖爪による猛襲をいなしていく。


「動きがおかしくねぇか⁉︎」


調教されている影響か、見事な連携を駆使して僕に襲いかかってくるのだ。1匹を倒したら他の2匹が別の方向から襲ってくる。それらの相手をしている間に倒したはずのゼアウルフがまた体勢を立て直してくる。


どうやら野生のゼアウルフよりも体力も知力も高いようだ。3匹は常に僕を囲むように移動している。僕が右へ動けば、ゼアウルフ達も右へ、僕が左に動けばゼアウルフ達も左へ動く。これはもう3匹まとめて倒さないと次から次へと攻撃を食らってしまう。


「燃え上がれ、地獄の炎双よ‼︎」


"武器召喚・陽炎の双剣"


今まで使っていた双剣を消して、僕は炎の双剣を召喚した。これで攻撃力は一気に上がった。あとはいろんな方向から攻撃を仕掛ける相手をどのようにして倒すかだ。ふと僕はライトさんとの修行をしていた時のことを思い出した。


***********


「いいか、戦いというものは大抵の場合は命の取り合いということになる。やらなくてはやられる。それに何も1対1とは限らない。1対複数などざらにあることだ。お前は1対1、とりわけ接近戦には強い魔法を持っている。だが、1対複数は弱い。まあ、格下相手ならどうにかなるだろうがな。なぜなら本来の魔法なら補えるものをお前の魔法は持っていないからだ。それがなんだかわかるか?」


「うーん、遠距離攻撃とかですか?」


「まあ、それもあるのだがな…それよりも重要なことは場を制するということだ」


「場を制する?」


「ああ、私の魔法で説明してやろう」


そう言って、ライトさんが魔力を込めた。するとあたりにそよ風が吹き始めた。


「今、私の風魔法によってこの場には風が吹いている。そしてこの風はこの場にいるもの全員に感じ取れるはずだ」


「なるほど、これが場を制するですか」


「そうだ、言い換えれば自分専用のステージを自分を作るということだ。戦闘は如何にして自分のステージを作り出すか、そして相手のステージを作らせないかにかかってる。だがお前の魔法はただ武器を作り出すというだけのなんとも残念な魔法だ。魔法の影響範囲が狭すぎる。このままでは同じ熟練度でも魔法の性能で負ける日が来るだろう。ではそうならない為にどうするか、場を制することが出来ないならどうするかということを常に考えながら戦え」


「僕の魔法に解決策はあるのでしょうか?」


「言ったろう?人間死ぬ気になれば何でもできると。お前の魔法ははっきり言って雑魚だが、確かな強みもある。それを考えるんだな。ヒントはここまでだ、今から模擬戦をするぞ!」


「はい、死ぬ気で挑みます‼︎」


「よし、殺してやる‼︎」


***********


 (相変わらず言ってることがおかしいというか無茶苦茶なんだよなぁライトさんは。)


でも、あの辛かった修行が今の僕の励みになる。死ぬ気で考えるんだ、もし、今この現状を解決出来なければ、ゼアウルフに食い殺されるつもりで考えろ。今この場はゼアウルフによって支配されている。3方から常に僕を囲んでいる。


ライトさんは僕の魔法は雑魚だが確かな強みもあると言っていた。ライトさんはこうとも言っていた、お前の魔法は1対1、とりわけ接近戦に強いと。そうだ、1対1の状況を作り上げるんだ!だったらどういう立ち回りをすべきか。


僕が出した答えは上だった。横に逃げていては、常に囲まれてしまう。だったら、上へ逃げればいい。空高くジャンプすると、上から1匹のゼアウルフめがけて剣を振った。


(まずは1匹、確実に仕留める!)


"白の残火"


重力降下と炎の双剣の威力を合わせた新技だ。空から降ってきた炎双の一撃にゼアウルフは成すすべもなく斬られた。これで残るは2匹、相手の陣形も崩れた。あとは簡単な作業だった。陣形の崩れたらそこら辺の魔物と強さは変わらない。


「こうなりゃあ、僕の勝ちだ!」


1匹、そして最後の1匹も難なく倒す事が出来た。


見事勝利を飾った。すると周りの観客から大歓声が上がった。


(そうだった、周りに人がいたんだった)


僕は途中から観客のことを忘れるくらい集中していた。


「よし、このまま優勝してやる!」


僕はこの勢いのまま2回戦、3回戦を勝ち進み、決勝戦まで駒を進めた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ウロウロしてたら迷っちゃた。やたら広すぎるのよねーこの建物」


リラは闘技場で何か手掛かりがないか探していると迷ってしまっていた。


「とりあえず前に進むかー」


リラは仕方なく前に進む。すると、しばらく進んだところで人の声が聞こえてきた。


「なんだあの強さは!私の魔物コレクションを次々と倒しやがって!」


リラは物陰に隠れながらそぉっとのぞくと、二人の男性がフィールドを見下ろしながら話していた。


「焦るなコロマス、そんな時の為にコイツを雇ったんだろ?」


そこにはコロマスと呼ばれた男と、さっき王様にあった時に隣にいた人、王国騎士団長、そしてバンダナと犬の仮面をつけて大剣を背負っている男性がいた。


「なんで騎士団長がこんなところに…」


リラは元海賊の勘でコイツらは怪しいと目星をつけた。因みにリラの勘はよく当たる。


「あ、あぁ、そうだったな。ではアルバート、これから始まる決勝戦でシノノメ・ナギを必ず殺せ!」


「…任せな」


そう言ってアルバートと呼ばれた男は部屋から出て行った。とんでもない話を聞いてしまった。この国がナギを殺そうとしている。


(やっぱライトさんの話は本当だったんだ)


「ナギを守らなきゃ」


リラはナギを守るため、アルバートという男の正体を掴むため、アルバートを尾行し始めた。


そのリラの様子をジッと見つめる二人の影に気付かずに。

今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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