王国への招待
今回から第三章です。
リラが仲間になって一週間が過ぎたある日のこと、大空の義賊のアジトに一通の手紙が入った。それはフーデル王国からの手紙だった。フーデル王国はベルンの町から最も近くにある王国で、規模も大きい。また、リラの住んでいた島からは船で30分である。
「どうやら、例の海賊事件で、感謝状が贈られるそうだ」
ライトさんは手紙を見ながらそう言った。
「感謝されても金は手に入んねーっての」
マクレーモさんはふてくされながらそう言った。
「まぁ貰えるものは貰っときましょうよ!僕もフーデル王国行ってみたいです!」
「ああ、それに気になることがあるからな」
「気になること、ですか?」
「ああ、大した事ではないがな」
「王国かー、6年振りだなぁ」
リラが遠くを見ながらそう言った。
「私は7年振りだ」
ライトさんは少し暗いトーンでそう言った。
「ライトさんは7年前まで王国騎士団長だったんだぜ!」
マクレーモさんは自分の事のように得意げに言った。
「まぁライトさんなら騎士団長でも不思議じゃない強さですからね、私はその騎士団長の地位を捨てた理由の方が気になりますが」
リラがそう言った瞬間、空気が張り詰めた。
「え?」
僕とリラはこの空気の原因が分からない。
何かタブーに触れたかのような、そんな雰囲気だった。ライトさんとマクレーモさんは下を向いている。
僕とリラはこの気まずくなった雰囲気の中、顔を合わせる。何か話題を変えれるものはないか探していると、玄関からモルさんの声が聞こえた。
「王国からの迎えが来ました!準備をお願いします!」
「よし、ナギとリラは準備しろ。マクレーモとモルは留守番を頼む」
「りょーかい!」
「は、はい!」
モルさんの声でようやく張り詰めた空気は解かれた。
僕とリラはモルさんに感謝しながら出発の準備を進めた。
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「ライトさんさっきはすみませんでした!私、無神経に質問してしまって…」
先に口を切ったのはリラだった。
「いや、こちらこそすまない。変に気を遣わせてしまったな」
「い、いえ、そんなことは」
ここは馬車の中、僕とリラとライトさんは今王国に向かっている。
リラとライトさんが話をぼんやり聴きながら僕は馬車に揺られている。馬車の揺れが何故だか妙に心地よく、目を閉じれば風が気持ちいい。そして眠たくなってしまう。僕は少しの間、風を感じながら仮眠をとることにした。
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『なぎ』
目を開けると、目の前に女性がいる。瑠夏、瑠夏がいる。僕の目の前に瑠夏がいるのだ。僕と瑠夏は真っ暗な空間にいた。でもなぜか僕は喋れない。身体も動かせない。すると瑠夏は僕に背中を向けた。そして僕から遠ざかっていく。
(待って瑠夏!行かないでいてくれ!)
すると瑠夏は僕の方を振り向いた。そして口を動かす。でも僕には聞こえない。一体リラは何を言っている⁉︎そして喋り終えると瑠夏は光に包まれて消えてしまった。そして真っ暗な空間に僕だけが取り残されている。
“…、…ギ、ナギ!”
ここで僕の意識は覚醒した。僕はどうやら本格的に寝てしまっていたようだ。
「もう王国の門の前までついたわよ、ナギ全然起きないんだもん!」
「ご、ごめん、ごめん」
僕はリラに謝った。見ていた夢の内容はもう思い出せない。すると突然、僕の目から涙が溢れてきた。
「あ、あれ?、なんだこれ」
「ふふ、怖い夢でもみたか?」
「もう、しっかりしなさいよね!これから王様に会いに行くのに!」
ライトさんにからかわれて、リラには怒られてしまった。リラが僕にハンカチを渡してくれた。
「す、すみません、もう大丈夫です」
僕は涙を拭って、二人に謝った。
「気にするな。では、王国の中に入るとしよう。迷子になるなよ?」
「「はい!」」
僕とリラは元気よく答えた。初めての王国だ、一体どんなところだろう。ワクワクと、そして不安を胸に僕達は門をくぐった。
今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!




