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最弱魔法が知ったことか!  作者: 丸山ヤスコ
第2章 地球から1400光年離れた星
10/38

絶望の誕生日

今回は過去編です。過去編には*をつけておりますので、よろしくお願いします。

***********


カカオ島サガフの村、そこはとても平和で自然溢れるのどかな場所。


「お誕生日おめでとう!リラお姉ちゃん!」


「ありがとう!キラ」


「よーし、今日は王国まで一緒に誕生日プレゼントを買いに行こう!」


「やったー!パパ、私お洋服が欲しい!」


「ふふ、ならリラとパパが買い物に行ってる間、ケーキとご馳走作ってるわ!二人が帰ったら、パーティにしましょ!」


「やったー!」


リラと弟のキラと母と父の四人家族がそこに団らんの家庭を築いていた。今日はリラの10歳の誕生日。ルーテ家はまさにお祭りのように楽しい時間を過ごしている。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


正午、リラとイゾウは船着場にいた。


「パパー船来たよー」


「よーし王国へ出発だ!」


フーデル王国まで船で約30分、因みに、リラ達の住んでいるカカオ島もフーデル王國領である。


船の中で父と娘は親子の話に花を咲かせていた。


「リラは将来の夢はあるのかい?」


「私はね、回復魔法でみんなの傷を癒したいの!それと、パパとママとキラを守ること!そしてそして、強くて、優しくて、かっこいい男の人と結婚するの!」


「そうかい、全部叶うといいね」


目を輝かせながら自分の将来について話す娘がイゾウは愛しくてたまらなかった。


王国に着くと、まずは服屋へ行った。王国の服屋は島の服屋に比べるとやはり高かった。それでもイゾウはリラに服を買ってやりたかった。生まれてきてくれてありがとう、そして10年間健康でいてくれてありがとうという感謝をしたかった。


「パパー、この服が欲しい!」


「そうかい。せっかくだから着て帰ろう、きっとママもキラもビックリするぞ!」


「うん!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


買い物が終わる頃には夕方になっていた。そして帰りの船の中、リラは買ってもらった服を早速着て、意気揚々としていた。


「ママとキラは似合ってるって言ってくれるかなー、美味しいご馳走作ってくれてるかなー、早く家に帰りたいなぁ」


「あぁ、きっとママたちもリラの帰りを待ってるよ」


そう言ってイゾウは船の中から空を見上げる。少し暗くなってきた空は明るい雰囲気の船の中とは対照的で、どこか寂しそうで、なんだか不吉な予感がした。


そして島に着き、船から降りて見ると、すぐにその予感は確信に変わる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「パパ、なんか焦げ臭いよ?」


「うん、それに村も騒がしい」


すると、正面の道から怪我を負った青年が出てきた。


「村長、リラ!こんな所にいた、早く、奴らに見つかる前にこの島を出てください!」


青年は切迫した様子だ。


「一体何があった⁉︎」


イゾウが青年に尋ねた。


「海賊が、海賊がせめてきたんです!狙いはリラだから早くにげ…グワァ!」


突然、青年の背後から魔法が飛んできた。そして、青年は絶命した。


「あ、あぁ」


リラは恐怖で怯えている。


「リラちゃん、みーっけ☆」


そこには海賊ハットを被った男がいた。


「貴様、何者だ!」


「初めまして、海賊団頭、ウッヅ・ウォーカーだ。それと、お前には用はないから死んでくれ」


 "水魔法・水鉄砲"


そういうと、海賊は手でピストルの形を作って指の先から水の弾をイゾウに放った。それをくらったイゾウはその場に倒れてしまった。


「グァッっ!」


「パパ!」


リラは倒れ込むイゾウに駆け寄る。


「さて邪魔者はいなくなった。少し話をしようじゃないか、早速だか、うちの海賊団に君が欲しい」


「なんで私が必要なのよ!」


リラは精一杯睨んで言った。


「君の回復魔法が欲しいんだよなぁ、言っておくけど君に拒否権はないから。もし断ったら、君のパパ、殺すよ?」


ウッヅはそういうと倒れているイゾウにむけて再び手を構えた。


「まっ、待って!お願い、殺さないで!なるから、あなたの仲間になるから、これ以上家族にもこの村にも手を出さないで!」


リラは悲痛な声で訴えた。しかし、ウッヅの言葉で絶望した。


「あー非常に言いづらいんだけどー、リラちゃん中々出てこないから、村滅ぼしちゃった、ついでに君のママと弟殺しちゃったー」


今なんて?、村を滅ぼした?ママとキラを殺した?


「あ、ああああアァァァァァ!」


もうママとキラに会えないの?せっかく新しい服を買ってもらったのに、見てもらえないの?ママのケーキ、食べれないの?リラはその場に崩れてしまった。


「じゃあそろそろ行こうか、今この島の北側にアジト作ってるんだ」


そう言って、ウッヅは足から崩れたリラを強引に引っ張る。しかし、そこへ声がかかった。


「まっ、待て、リラをどこへ連れて行く気だ?妻と息子だけならず、娘まで奪う気かぁ!」


イゾウがウッヅを呼び止めた。


「あーもうほんとにうざいなぁお前、もう死ねよ」


そう言って手のひらをイゾウに向けた。


「待ってください、私があなたの仲間になりますから、父を殺さないで下さい!」


茫然自失状態から解放されたリラは、手を広げてイゾウをかばうようにそう言った。


「仲間に入れて下さい」


リラがそういうと、ウッヅのニヤケが止まらなくなった。


「君から願い出てくるならしょうがないなぁ。いいよ、仕方がないから入れてあげる。この男は見逃してやるよ」


「ついでにもう一つの村に君の家を用意してやるから、感謝しろよ」


「ありがとうございます」


「6年、この島を拠点にする。この島は王国にも近くて、情報も入りやすいからな。そこからまた別の島に行くからそれまでは使えるからなぁ」


6年耐えればこの島は解放される。リラが海賊になる代わりに。


「さあそろそろ行くか」


「分かりました、ボス」


「まっ、待ちなさいリラ!」


イゾウが止める。振り向くリラはまるで別人が乗り移ったかのようだった。


「うるせぇな、アンタの事なんかしらねぇんだよ!」


リラは心に何かが刺さる感じがした。ごめんなさい、パパ、あなただけは生きて。


「ふふ、いい子だ」


ウッヅはニヤニヤしながらそう言って、二人はイゾウを残して消えていった。


それから、リラとイゾウがこの6年間で顔を合わせることはなかった。


***********


 「僕じゃ家族を守れなかった…リラに命を救われて生きている。父親失格だよ」


僕がリラをほっとけない理由、何となく分かった。僕とイゾウさんは似ている。僕も瑠夏に命を救われたのだ。リラを助けたいと思うのも瑠夏と影を重ねているからかもしれない。


でも、そんな事はどうでもいい。僕はリラを助けたい、イゾウさんを助けたい。その事実は変わらない。


「イゾウさん、お話ありがとうございます。最初は僕の仲間に助けを求めに行く予定でしたが、やめました。今からリラに会って、それからこの島の海賊達を僕が潰します」


僕は笑顔でそう言った。これは誰の力も借りてはいけない、そう思ったからだ。


「君がやってくれるのかい?リラを救ってくれるのかい?」


「約束します」


ふと、ここで先ほどのリラの言葉を思い出した。


『海賊って自由でいいものよ』


リラ、お前に本当の自由って奴を教えてやるよ。

今回も読んでいただきありがとうございます。次回もよろしくお願いします!

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