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新入社員白雪姫子の転勤事件簿

さっき書きました

 ある会社に白雪姫子という新入社員がおりました。入社一年目ながら、中心となって企画に参加するなど仕事もでき、さらに器量も容姿も良い、大変できた新入社員でした。

 しかし、女社長の(わん)女子(めいこ)はよく思ってはいませんでした。社長は秘書の加々見を呼び出して、問いました。

「加々見よ加々見、今期の営業成績トップは誰だい?」 

 加々見は分厚い書類を開いて言います。

「はい社長。商品開発部二課の白雪姫子でございます」

「またあの新人かい!前期も、その前もあいつじゃないか!このまま一強状態にはしておけない、白雪は離島の支部に飛ばしておしまい!」

 社長は姫子に転勤辞令を出しました。任期は三年以上。同僚たちは悲しみましたが本人は気丈で、すぐ離島へと旅立ちました。

 姫子はまず新しい同僚たちに挨拶しに行きました。

「初めまして。本社から異動になりました白雪姫子と申します。どうぞよろしくお願いします」

すると、揃って同じ顔で同じような屈強な体をした七人が姫子を迎えました。

「初めまして白雪さん。もしかして、社長の厄介払いかい?」

「かわいそうに、ここには仕事がないんだ」

「じゃあ普段は何をしているの?」

「普段は裏の荒地を畑にして農業で暮らしているんだ」

七兄弟はこの会社の新製品『スゴイツヨイプロテイン』のモニターになり、人的被害の責任を取れなくなった会社が雇用し、そのまま放置された被害者の会でした。

 兄弟の言ったとおり、離島には仕事はありませんでしたが、そのかわり豊かな自然がありました。兄弟の農業も家庭菜園とは思えないほど多くの実りがありました。

「仕事がなければ作ればいいわ!」

 姫子は使われていないオフィスでご当地野菜や民芸品を売り出すビジネスを本社に打診しました。見事企画は通り、離島の新鮮お野菜はたちまち会社の一事業になりました。

 ある日、畑にデスクワークにと忙しく働いていた姫子の元に一通の文書が届きました。それは身に覚えのない不祥事を理由にした解雇予告でした。

 お野菜事業も廃止が決定し、兄弟たちは悲しみました。姫子も私物をまとめてしょんぼりと実家に戻る準備をしていました。

 数日後、姫子を帰すためにやって来た船に見知らぬ男性が乗っていました。

「初めまして、私プリンス商事の王子と申します。白雪姫子さんはおられませんか」

「白雪は私です。ですがもう私は解雇されてしまっているんです。商談は……」

「かまいません。白雪さん。わが社と新しいビジネスを始めませんか?今地域の無農薬野菜は人気です。あなた方のお力をお借りしたい。ぜひ我が社でやりなおしませんか」

 姫子と兄弟はとても喜び、さっさと辞表を送りつけ、転職し、忙しく働いているという諸事情ことです。 


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