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第七話



アレスの話を聞くと、森の主がここ最近暴れていることを聞き付けたらしく、調査しに来たとのこと。他にも山の主、川の主などもここ最近暴れているらしい。というか、森の主ってムガンのことじゃないか。横槍といってはなんだが、一応言っておく。


「あの、ム……森の主のことなら、もう大丈夫だと思いますよ」

「え?」


私の言葉にとても驚いたようだ。まぁ、横から小娘が口答えしてるから当然か。そして訝しむように聞いてくる。


「もう大丈夫とは、どういう事ですか?」

「ああ、私あちらから来たんですけど、ここに来る前に森の主に会ったんですよ。暴走してましたが」


私はドアから車道の跡、来た道を指差したが、この言葉に更に驚いたようだ。まあ、小娘が暴れている森の主を鎮めたとは思えないのだろう。事実私はピンピンしてるし。


「……それで、どうしたのですか?」

「どうしたって、そりゃ治めましたよ。怪我もしていたので治しておきました」

「……」


アレスは唐突に無言になり、後ろに振り返って誰かと喋った。あ、今になってアレスの後ろに5人程居たことに気付いた。その内2人は黒い甲冑で、あとの3人はアレスと同じような甲冑を着ていたが、アレスのとは少し違っていた。何だろう、何が違うんだろ……あ、甲冑の中の布の色が違う。後ろの3人は暗い藍色だが、アレスは鮮やかな青色だ(因みに黒い甲冑の人は赤より暗い色だ)。

(くらい)で分かれてたりするのかな?とじっと見てると、アレスもこちらを向いて疑うように再び凝視してきた。だから何なんだ。さっきから。


「リオ、と呼んでもよろしいですか?私の事はアレスで良いので」

「……良いですけど、何ですか?」


警戒しながら聞く。


「貴方は何者なんです?」


アレスはさっきまでの笑顔や驚きの表情が一切なく、私の正体を見破るように切り込んできた。が。


「うーん。旅人?」

「……」


暢気に返事をする私。いや、ここで異世界人とか言ったら、絶対怪しい人になる。何言ってんだこいつってなる。もう既に怪しまれてる感抜群ですが。

そのままじっと観察されるように見られるので、私もじっとアレスを見る。


空色の髪。日の光が当たると銀髪にも見える不思議な色合いだ。長い睫毛、端整な目鼻立ち、意志の強そうな唇。それらを収めるシャープな輪郭と黒目黒髪の私を映すアクアマリンのような瞳。何だこれ。女性から嫉妬されるくらいモテそうだ。と思っていたら、アレスが苦笑いをした。


「分かりました。そういう事にしておきましょう」

「そういう事って」


そう言ってアレスは後ろの5人のうち2人に近付いて、何か指示を出したみたいだ。敬礼して馬(というかユニコーン?)に乗って森ではない方向に行ってしまった。

と思ったらその隣に居た3人にも指示したみたいだ。3人も敬礼して今度は森の方へ行ってしまった。ん?あんたは行かないの?

アレスがこちらに戻ってきた。


「申し訳ないが、一刻(2時間)程こちらに居てもよろしいですか?あの3人の調査が終わり次第、退きます」


とバルクさんに言う。バルクさんは暫く無言のまま肯定した。了承が取れたと同時に私に近付き、そうして手を取って口付けしてきた。世の乙女なら頬を赤くしたんだろうが、生憎そんな情はない私は冷めたように見ていた。

そんな私に、


「よろしくお願いします、リオ」


にっこりと微笑みながら言ったのだった。


◇◇◇◇◇


「取り敢えず、その堅苦しい敬語はやめたらどうですか?」


私の言葉にきょとんとするアレス。いや、大の男がやっても可愛くないから。

今私たちは、山小屋の裏にある薪割り場にいた。ただし、薪割りをしているのはアレスではなく、私。バルクさんに一宿一飯のお礼をさせて!と薪割り場に行こうとして断られたが、私の押しで結局はやらせてくれたのだが……何故かアレスも付いてきた。


女性が怪我をしてはいけない、とのことなのだが、生憎私は慣れている。ので、アレスはそこら辺に座らせて私はパッカンパッカン割っていた。

一回手伝おうかと言ってきたのを私が断ったので、お喋りしかなくなったわけだが。


「ですが、私はこれが普通ですので」

「え、敬語が普通なんですか。へぇー、そんな人初めて見たかも」

「リオの方こそ、敬語は無用ですよ。普通になさってください」

「あ、じゃあ遠慮なく」


そしてまた薪割りを再開する。アレスは暫く何も言わなかったが、一つ一つ質問をしてきた。


「リオは、剣を扱う事が出来るのですか?」

「? どうして?」


薪割りから余所見せずに質問に答える。


「先程手の甲に口付けた時に、剣ダコがあったので」

「ああ、うん。扱えるし、自分の剣は持ってるよ」

「自分の剣?」

「うん。刀って言うんだけど、小さい頃から刀を触っていたから」


と腰に下げている【桜花】を撫でる。


「……。リオは旅人と言っていましたが、この後どうするつもりですか?」

「そうねぇ、取り敢えず街が目標かな」

「王都には来ないのですか?」

「うーん、行けるなら行きたいけど、どうしても行きたいってわけじゃないし。どっちでも良いかな」

「……そうですか」


再び無言。薪割りの音だけ周りに響く。あ、そうだ。


「アレスは今日何月何日か分かる?」

「今日ですか?今日は確か5月13日の闇の日だと思いますが」

「そっか」


月とか日は元の世界と同じかな?にしても闇の日って多分曜日だよね。曜日であって欲しい。

また暫く薪割りをしていると、バルクさんがわざわざこっちまで来た。どうやらあの3人の兵士が帰ってきたと報告しに来てくれたようだ。

アレスが立ち上がってバルクさんに礼を言い、先に行ってしまった。

バルクさんはそのまま私の方まで来てもういいと言ってきた。まあ私もそろそろやめようかと思ってたのでグッドタイミングだ。

はーいと気軽に返事をしてバルクさんと一緒に戻ると、アレスと3人の兵士が待っていた。


もう行くのか。早いなーと思いながら見守っていると、行き成りアレスがこちらを向いて一言。


「リオも一緒に王都に行きませんか?」


――は?何故一緒に?というか一緒に行ったら絶対何かある。勘だけど、私の勘は良く当たるのだ。良くも悪くも。私森の主治めた程だし。というわけで。


「行かない♪」


と満面の笑みで言ってやった。え?好感度上昇フラグなんていうものは折らせていただきますよ。勿論。恋愛なんてしてる暇ない!というか、私はモン○ンみたいにギルドに入りたいんだよ。あったらの場合だが。

だから私に構わないでおくれ。






だんだん長くなってる(話が)。

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