表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

第五話



光がおさまってきたので目を開くとそこには――。


猫じゃない大きさの猫っぽいものがお座りしていた。


「…………」


えーと。え、さっきの黒猫?いやでもめっちゃ大きくなってるんだけど。なにこのサーバルキャット並の大きさ。進化?進化かこれ?

と頭パニックになってると頭の中で何か聞こえた。首を傾げるとまた聞こえた。青年……みたいな声だ。


『シエル。僕の、名前』


え、と思って黒のサーバルキャット?に目を向けるとじっと私を見ていた。


『う、うん?』


何のことか分からないが、取り敢えず頭の中で相槌を打つと、サーバルキャット?は嬉しそうに尻尾を振った。


『シエル、シエル。リオ、主』


と衝撃の言葉が聞こえた。何だと?主?嬉しそうなのは分かるが説明してくれ。猫よ(もう猫でいい)。


『僕の名前、シエル。リオが決めた』


……いやいやいやいや!決めてないし!昔の記憶を思い出してただけだし!

これ、契約?契約しちゃったのか?一応聞いてみる。


『主って私?これって契約しちゃったの?』

『リオ、主。契約した』


と嬉しそうに尻尾を振る。私としては微妙だ。というか申し訳ないなと思ったのだが、本人?は嬉しそうだ。


『契約を解くとか、出来ないの?』

『何故?』


首を傾げられた。え、嫌じゃないのか?さっき契約って言ったら警戒したじゃないか。


『リオ、助けてくれた。怪我、治してくれた。嬉しい』

『……良いの?人間に契約しても』


疑問に思ったのだが、この子は散策?してたはずだ。ムガンと話してた時にこの子の話になったが、この黒猫は魔族だとムガンが言っていた。気まぐれで、人間には興味を示さないとも。気まぐれで契約したのか?この子。


『リオが、良い』


……どうやら気に入られたようだ。ふむ。もふもふゲット、か?まあ良いか。元の世界のシエルと同じ瞳をしていたが、このシエルはあのシエルとは違う。そう思い出して涙が出そうになったが、ぐっと我慢した。にっこり笑って自己紹介する。


『神咲璃桜よ。よろしく、シエル』

『リオ、主。僕、シエル』


また嬉しそうに尻尾を振るシエル。可愛くて頭を撫でると、嬉しそうにグルルと唸る。抱き着いてもふもふしたいが、いつまでもここに居るわけにはいかないので立ち上がる。


『それじゃあシエル、行こうか』


と言うとシエルも立ち上がって横にぴったり付いてくる。可愛い。そのまま暫く一緒に歩いた。






もうそろそろ夕方、という時にシエルに問いかけられた。


『リオ、【闇】属性の魔法、持ってる?』

『持ってないけど、どうして?』

『居心地、良くなる』


立ち止まって考える(シエルも立ち止まった)。居心地が良くなる?よく分からないけど、闇属性の魔法とかあったのか。どういう魔法があるのか聞いてみる。


『黒いものを生み出す』


???黒いもの?……カラス、とか?掌を出してカラスの想像をする。

すると、ズズズ……という音とともに黒い霧のようなものが凝縮されてカラスが出来上がった。掌に乗ってはいるが結構でかい。鷲並の大きさになってしまったが、まるで生きてるみたいだ。しかし魔法を解くとカラスが霧になって散ってしまった。


すると、ピピッと音がしたので頭上を見る。ステータスが現れていた。


『 神咲璃桜 22

  体力 1268/1268

  魔力 834/967

  武器 日本刀【桜花】

  属性 【火】【水】【雷】【風】【土】【光】【闇】

  状態 なし

  スキル・技 居合 』


お、【闇】属性ゲット。魔力は……130は減ったか。というか属性ってどれくらいあるのかな。しまった。ムガンに聞いとけば良かった。

うーん、と考えていると、シエルがグルグルと唸る。目を向けると尻尾が揺れていた。嬉しそうだ。

そういえば、シエルのステータスって見るの忘れてた。と確認する。


『 シエル 18

  体力 38692/38692

  魔力 24735/24765

  種族 魔族

  属性 【闇】

  状態 なし

  スキル・技 黒暗爪

  称号 なし    』


おお、見れる。え、シエル18歳なの!?てか体力と魔力が尋常じゃないほど多い!桁違い!やっぱ魔族だからかな?すごい。

一人驚いてると首を傾げるシエル。私には見えるステータスはシエルには見えないようだ。私より強いのかシエル……。

頭を撫でるとグルルと唸る。


『居心地良くなった?』

『良い。これで、リオの影に入れる』


え、と思っていると私の影にズブズブと入っていくシエル。呆然としているとシエルの姿が消えた。咄嗟に頭の中でシエルを呼ぶ。


『シエル!?』

『何?リオ』


ビクッとした。シエルの姿は見えないのに声が聞こえた。なんか変な感じ。私の中にもう一つの存在が居て、一体化してるようだ。


『リオの中、あたたかい。居心地、良い』

『そ、そうなんだ……』


シエルの説明によると、私の身体に入って体力を温存出来るらしい。疲労を感じさせないとか。そういえばシエルって食べ物とかどうするんだろうか。


『リオの中、入るといらない。契約すると、空腹、感じなくなる』


満足そうだ。餌とかどうしようかと思ってたので良かった。シエルとの一体感は感じるが、重さとかは感じない。


空が少し赤い。夕方だ。日が暮れる前に早く村に着かなくては。

シエルとの会話を打ち切って、足早に車道を辿っていった。





獣ゲットです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ