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第二話



「あぁあああ~~~~っ!!」


落とし穴にかかったように穴に落ちていくと、5~6mほど下に草が見える。

驚いて叫び声を上げたが、難無く着地。ふう、と安堵して周りを見てみると、一面草、草、草。


「何処よここ……」


上を見たが穴はなく、代わりに晴れ晴れとした青い空だ。

さっきは夕方に近かったのに……それに周りも森ではなく草原だ。先程まであった鬱蒼とした森の空気とはまた違う気がする。

これは……まさか異世界か!?魔法とか使えるのかな?と首を傾げていると、遠くからドサッという音が聞こえた。

振り向いて見ると、私の着替えが入ったスポーツバッグが落ちていた。

慌てて近付いて拾うと少し土が被っていただけだったので掃った。


「良かった……」


上を見てみたが、こちらも穴が開いていたようには見えない。

溜息を吐きながらバッグの中を見てみると、白い長袖のブラウスに黒いズボンなどの何着かはぐちゃぐちゃになっており、下着も同様だ。

他は空腹の備えとしてビスケット、ケータイ、友達のお祖父さんから貰った新品の刀の手入れ用の一式が入っている。


ケータイを開くと圏外になっていた。


なんというか、信じられないけどこの状況からすると現実からは考えられない出来事が起こっている。

森が草原に、夕方が晴天に、ケータイは圏外、私とバッグも空から落ちるということでここは異世界だ。うん、もう考えすぎると頭パニックになる。


私の中では異世界=魔法が使えるという認識だ。日常では鍛錬ばかりだが、休みの日は思いっきりゲームをしている。所謂隠れオタクだ。

もっぱら○ァイナルファンタジーとかシミュレーションオンラインゲームばかりやっている。

魔法といったら攻撃魔法、回復魔法、防御魔法とか?というかこの世界で魔法って使えるのか?


というわけで、やってみよう。誰でも魔法は使ってみたいと思うはず。なのでここで何か起こっても、幸運なことに周りは草しかないので誰にも被害はない。実際ただの好奇心だ。仕方ない。うん。

一応誰も居ないことを確認して深呼吸をする。すー、はー、すー、はー。

うん。いける。と思う。


手を前に出して想像する。まずは炎だ。草が炎で燃えていると想像する。

想像することでなんか上手くいきそうだし。あ、でも他の草に燃え移ったら困る。範囲内だけ燃えろ。燃え移らずに範囲内で渦巻く炎を強く想像する。

すると、ゴオォッと音がしたのでパチッと目を開くと目の前で渦巻く炎が頭上高くまで燃えていた。

驚いて想像をやめると、炎が消えた。


「…………」


静寂。下を見てみると5m先の地面の草は円状に黒焦げになっていた。

これは……成功か!?というか今起こったのは私がやったのか!?ひゃっほう私魔法使える!!というか異世界魔法使えるのか!万歳!魔法万歳!

ハイテンションになったところで、ピピッという機会音が聞こえた。

ん?と周りを見てみると、頭上に何やらスクリーンのようなものが浮かび上がっていた。何これ?

首を傾げると文字が浮かび上がった。


『 神咲璃桜 22

  体力 1268/1268

  魔力 947/967

  種族 ヒューマン

  武器 日本刀【桜花】

  属性 【火】

  状態 なし

  スキル・技 居合

  称号 なし     』


こ、これはもしや……ステータス!?RPGでは定番のあのステータスか!?というか私の体力と魔力高くない!?あ、でも魔力は20減ってる。さっきの炎か。属性とかスキルとかあるけど、これはどれくらいの種類とかあるんだ?

水とか雷とかあるのかな?はっ!てかステータスがあるってことはもしかして……。


手を前に出し、想像する。やっぱりRPGにはあれがなくては。

すると、ポンッと音がして目を向けると、なんと。箱が浮かんでる。自動的に箱が開いたので中を見てみると、それは底なし。真っ暗だ。

実際箱の大きさは縦50cm、横70cmほどの、まあそこそこ大きい箱だ。だが、この大きさで底が見えないというのはありえない。手を入れてみたが、やはり底に着かない。これは魔法なんだと、改めて思った。


マジックボックス。RPGではありがちな、手頃な物は何を入れても大丈夫。な便利な物だ。例えば、新鮮な食べ物をボックスの中に入れたらその物の時間は止まり、腐ることがなくなる。元の世界でも欲しかったものだ。

早速スポーツバッグの中身諸共ボックスの中に突っ込む。ケータイも突っ込む。あっても使えないし。というかそのまま持ってたら放電して電池減る。


興奮が収まったところで、この先どうするか考える。先程のステータスで、属性が【火】だけだったので、色々と試すか。

掌を上にして、水の玉を想像する。すると、掌に空気の水分が凝縮したように感じて目を開けると、拳大の水玉が浮かび上がっていた。想像をやめると、水玉が輝きながら消えた。


ステータスを見てみると、属性に【水】が入っており、魔力も2減っていた。

思ったよりあまり減ってない。そのまま状態固定したらどうなるんだろう。

さっきと同じ手順で、


『この状態を固定』


と心の中で紡いでその場から離れると、水玉が浮いたままだ。

ステータスを見ると同じように魔力が2減ったが、それ以降減る事はなかった。状態固定で魔法はそのままになって、魔力が減る事はないのか?だとしたら便利だ。


よし、次の段階にいこう。と、次々と魔法を使っていった。魔力と属性はどうなっているんだろう。ステータスを見る。


『 神咲璃桜 22

  体力 1268/1268

  魔力 873/967

  種族 ヒューマン

  武器 日本刀【桜花】

  属性 【火】【水】【雷】【風】【土】【光】

  状態 なし

  スキル・技 居合

  称号 なし                』


魔力は……90くらい減ったか。まああれだけやってこれだけしか魔力減ってないのが意外だ。150~200は減ってると思った。

属性は……6属性が限界かな。今は。これ以上属性があるのか分からない。これはこの世界のことを知らないとダメかな。


上を見てみると、空は最初に比べると傾いており、目測で14時?くらいだ。

これからどうするか。そういえばこの世界って人間いるのか?いたら村とか街とかあるはず。

……考えても仕方ない。行動あるのみだ。

後ろに森があったので、それに近付いていく(周りは草原以外何もなかったので)。するとその手前に車道のような物があった。良かった。これを道に沿って行くと人?はいるはず。


左右を見たが、どちらも車道の跡しかない。どちらかで村に着くんだろうが、問題は距離だ。かといって何も手掛かりがないので、取り敢えず右に行くことにした。迷ったらまず右。

日が暮れる前に村に着けると良いんだけどな、と暢気に歩きながら考えていた。




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