第一話
私の名前は神咲璃桜。
22歳で普通のOL……ではなく、神咲道場という、剣道の師範代をやっている(ただし普通の剣道ではない)。居合い技を得意とする流儀だ。
家族構成は祖父母と父母と私。兄弟はいない。性格は男勝りで、鍛練と練習試合をする毎日が幸福を感じる。
門下生は30人以上もおり、その全員が男だ。実力は私には負けてはいるが。皆良い奴ばかりだ。
本題に入ろうか。
今は春。桜が咲いてきた今日この頃。
私は家族に勧められ、旅行していた。長い休暇だったので、久々に中学の部活、弓道部の友達に会いに行っていた。
友達はお祖父さんと一緒に住んでいて、そのお祖父さんは有名な刀鍛冶だ。
都合が良いと言って、私のお祖父さんは友達のお祖父さんに伝家の宝刀、【桜花】の点検と手入れを頼んでいた(どうやら親友だったらしい)。
私は【桜花】を携えて友達の家に赴いて一泊し、【桜花】の手入れも終わってよし帰ろうかというところで、
「迷った……」
森の中で彷徨っていた。
中学の友達の家は山の中にあり、仙人でも住んでるんじゃないのかという山の高い場所に位置するこじんまりとした家だった。
それもあり、その家までの道のりも尋常じゃない程に別れ道が多い。
一つ間違えると遭難する(もうしてる)。頭を上げると陽が暗くなっていた。やばい。下手すると最悪サバイバルになる。別に慣れてるけど(子供の頃に毎年一回家族で無人島でのサバイバルを体験している)。
心を落ち着けて先ずは情報収集、と耳を澄ますと水が流れる音が聴こえてきた。良かった。
水を下っていくと街に着くはず、と足を向けた途端、地面に着くはずの足が空を切った。と同時に身体も傾いた――。
不定期でやっていきたいと思います。
宜しくお願いします。