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悲劇の騎士は第一王女に恋をする  作者: かものはし
第一章 兵士訓練学校篇
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入学試験

お読みいただきありがとうございます

第一王女マリーと出会って数年後

青年となったローズは再び王都へ訪れていた。

それは、兵士訓練校へ入学するための入学試験を行うためである。

この数年間で村においてローズは男たちの中で一番強く、賢くなっていた。

ローズは受付に到着すると入学試験を受けるための資料を受け付けの女性に渡す。


「資料の提出をお願いします」

「はい、どうぞ」


受付の人は資料の内容を確認しながらこちらに話しかけてきた。

なんとも器用なことをする。


「まぁ、クナナル村の人なんですか。また遠いところから王都までやってきましたね」

「はい、こっちに来るだけでも大変でしたよ」

「そうでしょうね。よしっと、資料の確認は完了しましたので、この番号札をもって筆記試験の会場へ向かってください」

「ありがとうございます。わかりました」

「がんばってくださいね!」


受け付けの女性は優しく微笑んで応援してきた。かわいい。

番号札を受け取り筆記試験の会場へ歩き始める。番号札には二百九番と書かれているのですでに二百人以上の人が受付を済ませ中に来ているのだろう。兵士訓練学校へ入学できるのは毎年、百五十人のみ。すでに受付を済ませた人でも約五十人は落ちることになる。あぁ恐ろしい。

筆記試験の会場に到着すると自らの番号札と同じ番号が書いてある席に座れと黒板に書いてあるため言う通りして自分の席に座る。隣には一人の女性が今も必死に勉強している。なんとも厳しい表情を見せながら。


「あのー。もう少し表情を柔らかくできませんかね」

「だっ、誰ですか」

「あぁすいません、僕はローズ・コルチカムといいます。あなたは?」

「わ、わたしは、アリシア・スーです」

「アリシアさんか、いい名前ですね」

「あっ、ありがとうございます」


アリシアは少し表情を柔らかくしその優しい笑顔をこちらに向けてきた。

彼女にはこの表情の方が似合っていると思う。


「何を見ているんですか?」

「今までの復習ですよ」

「少し見せてもらってもいいでしょうか?」

「はい、一緒に見ましょう」

「ありがとうございます」


アリシアの持っている本を覗き見ると書かれている文字は手書きでおそらくアリシアがまとめたものだろう。


「字、きれいですね。しかも、よくまとめられている」

「ありがとうございます」

「いえいえ」


それにしても本当によくまとめられている。素直に感心だ。

それからアリシアと二人で勉強していると先生らしき人が部屋の中に入ってくる。


「全員、荷物をしまえ。俺はコルト二級兵士だ。これから筆記試験を始める」


コルトはその後、筆記試験の注意事項を皆に説明する。注意事項の内容はよくあるもので聞かなくても大体予想のつくものだった。説明し終えると全員にテストを配布し最後の人が受け取るのを待ち終えると、


「では、始め!」


こうして筆記試験が始まった。わからない問題も多々あるが、今までしっかり勉強していればそんなに難しい問題でもなかった。


「やめっ!」


約五十分の筆記試験はいつの間にか過ぎ、コルトは終了だと全員に告げる。

僕は少し気になってアリシアの方を見ると彼女は絶望したような表情を顔を顔に浮かべている。


「アリシア、大丈夫か?」

「大丈夫なわけないじゃないですかぁー!」

「そ、そんなにか?」

「はいっ、今までの試験の中で一番むずかしかったですよ!」


そこまで難しかっただろうか。少し不思議で周囲を見渡すと他の人たちも落ち込んでいる感じの人が多い。


「ま、まぁまだ体力試験と対人試験があるんだからさ。切り替えてっ、切り替えてっ」

「そ、そうですよね、まだ、チャンスはありますよね」


そう明るく自分に言い聞かせるように言っているアリシアだが心の中ではまだ落ち込んでそうだ。


「では、次に体力試験だ。全員番号札を持ち外へ出ろ」


コルトの一言で全員がそてへ向かいだす。


「じゃあ、僕たちも外へ行こうか」

「そうですね」


アリシアと移動しているとアリシアはこちらの方をチラチラと見てくる。

なんか変なものでもついているのかな。


「どうかしましたか?」

「いえ、ただ一緒に歩いているのに会話がないと少し寂しいじゃないですか」


言われてみれば確かにそうだ。


「じゃあ、アリシアさんはなんで兵士になろうとしてるんですか?」

「そうですね、わたしの家はあまり裕福ではなく弟もいるのでお金が欲しいんですよ」

「お金ですか、確かに兵士に支給されるお金は大金ですもんね」

「はいっ!」


兵士に支給される金額は高額だ。兵士見習いでさえ最低でも金貨一枚(銀貨十枚、銅貨百枚分)はもらえる。また、成績などが高いとさらに増える。


「ローズさんはなんで兵士になりたいんですか?」

「僕は好きな人がいるんです。その好きな人と結婚するためですかね」

「おー、それはなんともロマンチックな。素晴らしいですね」

「まぁかなうかどうかはわかりませんが」

「たぶんできますよ、ローズさんなら」

「そうですか、ありがとうございます。あ、そろそろつきますね」

「そうですね、お互いに頑張りましょう」


最初に話しかけた時よりも気さくに柔らかい笑顔で彼女はこちらに話しかけてくる。

いい子なんだろう。親がしっかりしていたおかげだ。

外につくと少し時間をおいてから再びコルトがやってくる。


「全員、話をよく聞け。これから体力試験を行う。試験はここから王都を出て外周一周し戻ってきた時間で判断する」


王都の外周一周か。王都はニャダルタ王国の中でも一番大きい。つまり、走る距離がとても長い。

相当な体力や精神力が必要になるだろう。


「では、さっそく始める。開始!」


コルトは説明が終わるとすぐに体力試験を始める。

多くの人が一位になろうと前に駆け出していく。その中、俺はゆっくりと走っている。

後半の方で体力がなくなってはいけないからな。ペースを落とすのだけは注意しなければならない。

だが、この調子なら簡単に試験を突破できるだろう。


僕がゴールをするころには、最初一位になろうと走り出していた人たちはペースを落とし僕の後ろを走ることになっていた。そして、僕はゴールする。

ゴールしたときにはすでに何人かは先に走り終わっていたが、それも十人くらいしかいなかった。

僕がゴールしてから約十分後にアリシアはゴールした。


「ローズさんっ、速すぎ、ですっ」

「そうかな、でもアリシアも十分速かったね」

「ローズさんに、比べれば、まだまだですけどねっ」

「まぁね」


アリシアも本人は思ってなさそうだが約四十番目で十分な方だと思う。


「でも、これであとは対人試験のみか」

「そうですね」


残るは対人試験、それさえクリアしてしまえば、兵士見習いにはなれる。

騎士長になる夢に一歩確実に近づいていく。


全員が走り終えると約一時間後に再びコルトはやってきた。


「みな、体力試験よくやった」

「これから、対人試験を行う。対人試験では私本人が相手をして判断する」


コルトと戦うのか。予想はしていたが急に二級兵士との戦闘はつらい。


「では、番号が速い順に俺と戦ってもらう」


そして、最後の試験、対人試験が始まる。





すべてお読みいただき本当にありがとうございます。

できれば感想を書いていただけるとありがたいです。

面白ければこれからも楽しみにしていてください

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