出会い
読んでくださった方ありがとうございます。
ぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです。
ニャダルタ王国王都ダルタニャンにて
一人の少年は建国祭中である王都を歩き回っていました。
父と一緒に王都にやってきたのですがあいにく建国祭中で迷子になってしまったのです。
少年の故郷は王都から遠く離れた辺境なので少年にとって王都の景色は初めて見るものばかりで驚きの連続のでした。特に屋台に売っている剣(おもちゃのため刃物としては利用できない)に夢中になっていました。
辺境の地には争いがなく滞在する兵士もおらず誰も剣を身に着けていなかったからです。
父を見つけたら買ってもらおうと心をワクワクさせてその屋台からあまり離れないようにしながら父を探していました。
その最中だったのです。
急に周りの人が全員道を開け右手を握り地面につけしゃがみ込み下を向きました。
少年はどうしたらいいのかわからず焦って周囲を見て父を見つけようとしました。
「おい!坊主っ!さっさとしろ!」
少年は急に怒鳴られビクッと驚き声の聞こえた方向を見ました。
そして、先ほどの声を放った人物がわかりました。それは、剣を売っていた屋台の店主だったのです。
急に怒鳴られた少年は店主に尋ねました。
「どうすればいいの?」
「なんだやり方を知らねぇのか。ちぇ、親父さんは何教えてやがったんだ。おい坊主。俺の真似をしろ。手をグーにして地面につけろ。右手をだ。そして、しゃがみこめ」
少年は少し店主を恐れながらも言われたことをきちんと行い店主に尋ねます。
「ねぇ、みんななんでこんなことをしているの?」
「それは、この道を国王様たちが通るからだ」
「こくおうさまが?」
「あぁ、ちょうど来たぞ。頭を下げろ」
少年は頭を下げ店主がやっていることをまねしました。
そして、馬車の音が聞こえてきます。
馬の足音、周囲にいる複数の人たちの感謝の声、感動の涙、様々な音が聞こえてきました。
少年はふとなぜみんなが頭を下げる存在である国王に興味がわきました。
少しくらい馬車の中をここから見ようとしてもいいだろう。そんな気持ちが少年の心の中にあったのです。
馬車が自分の目の前を通り過ぎる瞬間、少年は少し顔を見上げ馬車を見てしまいました。
少年の目に映ったのは白いひげに派手な冠をつけしわくちゃの顔をしたおじいさんと自分と同じくらいの見たこともないようなかわいらしい女の子でした。
その子は自分と同じくらいの年齢見えるのに大人びているというか、しっかりしている雰囲気を持ち合わせ、しかし、少し孤独感があるようなそんな子に見えたのです。
女の子に見惚れていると店主が少年が顔を上げているのに気づき何も言わず手で少年の頭を無理やり下を向かせるように下げさせました。
馬車が通りすぎると周囲の人々は次々に顔を上げ、祭りを再開させていきます。
「おい坊主!何、顔をあげてんだっ!」
「ご、ごめんなさい」
「はぁ、まったく。親父さんはどこだ?」
「わ、わかんない」
「ちぇっ、迷子か」
「ならこの店にいろっ、見つけてやる」
「ほんとに?」
「あぁ、ほんとだ。代わりに少し店を手伝え」
「うん、ありがとう。店主さん」
店主は少年の笑顔を見るとさっきまでの怖かった雰囲気が少しずつやわらぎ明るくなっていきました。
それから少年は店主さんと一緒に店のお手伝いをすることになりました。
しかし、お手伝いをしている最中にも父は全く見当たりません。
それは、お手伝いが終わってもでした。空の色が青色からオレンジ色に変わっても父は現れなかったのです。
少年は店で退屈していました。そして、店主に女の子について聞いたのです。
「あぁ?馬車の中の女の子がだれかって?」
「うん」
「そりゃ、第一王女のマリー王女だ」
「まりー?」
「あぁ、あと呼び捨てにするな」
「どうやったらまりーとけっこんできる?」
「結婚?ハハハハハハッ、そりゃ坊主には無理だ。残念だったな。でもまぁ強いて言うなら坊主が騎士になることだな。しかも、ただの騎士じゃだめだ。騎士長にならなきゃいかん。あと、マリー王女だ」
「きしちょう?」
「騎士長ってのはすべての騎士の中で一番強いやつだ」
「じゃあ、ぼく、きしちょうになるっ」
「ハハハハハッ、そうきたか。なら、これで練習でもしてなっ」
店主は少年に店にあった剣を渡しました。
「いいの?」
「あぁ、手伝ってくれた礼だ。ただでやるよっ」
「ありがとう!」
少年は目を輝かせとても喜びました。今までの人生で一番といっても過言ではないでしょう。
「おーい、ローズ」
「あ、パパー」
「おっ、ようやく親父さんが見つかったか。よかったな坊主。さぁ、行ってこい」
「うん、ありがとう店主さん」
少年は手を振りながら父の方へ走っていき店主は去っていく少年に笑顔で手を振り返していました。
「すまんな、見つけるのがおそくなって」
「ううん、だいじょうぶ。それよりもぼく、きしちょうになる」
「騎士長か、いいじゃないか。父さん、応援してるぞ」
「うん!」
こうして少年は第一王女マリーと結婚するために騎士長になると決意したのです。
これがのちの、悲劇の騎士、ローズ・コルチカムと第一王女マリー・アリウムとの出会いだったのです。
最後まで読んでくださり、まことにありがとうございます。
感想を書いてくださるとありがたいです。
面白かったら続きを楽しみに待っていてください。




