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9話

「まずはごめん、この村に魔王という存在の情報はなかった。だが竜帝を魔王と呼んでいる人たちは一定数いるらしい。」


「なるほどなぁ、だが正直情報もなにもない魔王より被害が出てる竜帝の方が優先だと思うんだよな。」


「竜帝に喧嘩売る旅なんですか!?やっぱお二人とも覚悟が違いますね…」


「そう。そこで竜帝を魔王呼びしてる人たちが集まる町に向かおうと思う。その道中で紅林さんの魔力の練習をしよう。」


「「了解」」


ということで、ひとまず紅林の魔力操作の特訓をしつつ、次の目的地へ行くことにした。


「次行くところはなんて名前の町なんだ?」


「東方地帯にある港町ケイ。淵帝の支配域へと繋がる海辺の町だよ」


この国は北方地帯、東方地方、中央地帯、西方地帯、南方地帯で大まかに五分割されている。つまり東西南北と中央である。雑である。今いるイワ村は中央地帯にあるが、これから東方地帯に向かうというわけだ。


「ここから歩くとなると一週間ほどですね。」


「まじかよテンション上がるな」


「じゃあさっそく行こうか」


イワ村への挨拶もすみ、村を後にした。なんだかんだで一ヶ月近くいたのだろう。この世界に来てからというもの、流れるように事が進むのだ…


「う、うぅ、ようやく着いた………」


「歩きはきつかったですね…」


「でも無事についてよかった。」


一週間と数日をかけ、俺たちは港町ケイへとやってきた。


「ん、あれは検問所?」


「そうだね。私の身分証があれば通れるよ」


「なるほど」


検問所で不審者や危険物をチェックするらしい。身分証を持つ者が一人いれば、残りの人は数日以内に身分証を作るという契約で通れるらしい。身分証を作ってここで新しく情報を探すわけだが、その前にやるべき事がある。


「「「宿で休もう」」」


満場一致で休んだ。宿に着くまでの道のりでもわかるが、この町は前の村と違いものすごく大きい。もちろん情報収集にも相当な時間がかかりそうだが、また枝葉が情報収集を買って出てくれた。枝葉に頼りきりは良くないと申し出たが、


「みんなは傭兵組合で身分証を作ってきて、竜人関連の依頼がないか探してきてほしい。もちろん見つけたら私に教えてね。」


この国には傭兵組合なるものがあり、魔物討伐や護衛などの任務を依頼されるらしい。


「もしなかったら今日のところは町を散策してていいよ」


「わかった、とりあえず身分証作ってきますわ!」


「ではおれもいってきます」


ということで紅林とやってきた傭兵組合。想像以上に大きな建物で、入ってみるとさまざまな種族の人たちがいる。パッと見ただけでも獣人、魚人、鳥人etc…活気もあり、怒声や歓声が聞こえてくる。


「今日は飲むぜー!!」

「あとちょっとだったのに!クソがぁぁ!」

「おまえは追放だ」

「俺たちの門出に乾杯ーーー!!!」


喧騒の中受付らしきところへ行くき、二人分の身分証を作ってもらうことにした。受付には全身毛で覆われたクマのような獣人がいた。


「ようこそ!本日はどのようなご要件でしょうか?」


「身分証を二人分頼める?」


「身分証ですね、かしこまりました。ではしばらくお待ちください」


思ってたより早く終わりそうだ。


「なぁ紅林、このあと竜人の依頼がなかったらどうするよ」


「そうですね。私情で申し訳ありませんが海を近くで見てみたいです。見たことなかったので」


「いいね!そうしよう」


「お二人様お待たせしました。この書類と身分証にサインをお願いします…はい、ありがとうございます。それでは身分証に魔力を入れてもらいたいのですが、お二人様は魔力はございますか?」


「「あります」」


魔力は一人一人違く、それで証明書として働くらしい。網膜認証のようなものだろう。


「はい…鬼神 紅林さんですね。…って鬼人族の方でしたか!魔力量も凄いですね、使用する魔法は腐敗魔法?初めて聞きましたがなんだか凄いですね!登録完了しました。それでは…はい、盃 天祢さんですね。亜人の…えっ」


「えっ?」


なにか問題でもあったのだろうか


「魔力量の欄がエラーを起こしてしてますね…」


「…それまずいですか?」


「そうですね、正確に測定できないと身分証の不具合に繋がるかもしれません。少しお待ちください」


身分証は危険性がわかるように、専用の魔道具を通すと使用できる魔法と魔力量がわかるようになっている。確かにエラーは次の町に行くときに不都合が起きそうだ。


「ごめんな紅林。海行くの遅れるかも」


「全然大丈夫ですよ。それより魔力量エラーなんて凄いです!きっと底なしの魔力量なんですよ」


「へへん、その可能性は全然ある。なんせ魔力はずっと使ってたからな!」


「お待たせしました!あの、申し訳ありませんが今魔力切れではありませんか?」


「んぇ?…あっ」


「何か心当たりが?」


「朝からずっと魔力を使ってたんだった…魔力切れかも…」


「わかりました。大丈夫ですよ。また明日魔力が回復したら来てください。現在の続きから始めますので」


「ありがとうございますっ!」


普段から魔力を一定量ずつ消費し続けて魔力の総量上げとコントロールを鍛えてたんだった…。なんだか後ろで笑われてるきがする。居心地が悪いので、依頼に竜人関連がなさそうなことを確認すると、海に行くことにした。


「ハルったら変な新人さんにあたっちゃったねぇ」


「もー先輩見てたなら助けて下さいよぉ。魔力切れでエラーなんて初めて見ましたよ。」


「え?魔力切れだったの?」


「はい、そうですよ。自分でもそう言ってましたし」


「…じゃあなんでさっきの人は普通に動けてたの?」



海を見たことがないのは俺もある意味同じかも知れない。前世ではゆっくりみる暇なんてなかったから。


「いやぁ海風っていうんですか?すごくいいですね!やっぱ海にきてよかったです。ありがとうございます」


「俺も来てよかったよ。こんな綺麗な海初めて見たもん」


太陽光が反射して、キラキラと光る青い海である。浜も白というのが正しいほどに眩しい。と、浜辺でなにやら人が集まっているようだ。


「なんでしょうかね?あれ」


「せっかくだし行ってみようか」


「さーさー皆様お立ち会!力自慢のにいちゃんも、魔力自慢のねぇさんも、自信があるならぜひ!腕自慢大会の始まりだァ!」


「「「「ワァァァァァァ!!!!」」」」


すごい盛況だ。腕自慢大会なるものを開催するらしい。


「優勝賞品はこれ!伝説の鍛治士が造り上げた超一品の刀!千年骸だぁぁぁぁ!!!」


「「「「ワァァァァァァ!!!!」」」」

「かっけぇ!!」

「フッ、あれはこの我が使役するのが相応しき妖刀…」

「見つけた」

「名前が怖えな!!」



なにやら変な名前の刀が優勝賞品らしい。まあ別に魔法使いの俺達には不要かな…


「枝葉さん喜びそうですね」


「え?」


「あれ?枝葉さんって剣士じゃないんですか?」


「!そういえば」


鬼人族の村で竜人を斬ってたっけ。魔力の先生のイメージだったから頭から抜けてた。っていうか枝葉が魔法使ってるところほとんど見たことないや…


「じゃあアレお土産に持って帰るか」


「いいですね!そうしましょう!」


俺と紅林は腕自慢の大会に登録した。

読んでいただきありがとうございました。

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