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5話

 村の手前までついて、俺のプロペラは止まった。プロペラといっても鎖を太く束ねて魔力で補強し、また魔力で高速回転させてただけだが。どうやらしがみついてた枝葉が魔力操作を手伝ってくれていたらしく、枝葉が降りた途端、腕が暴発しそうになった。つまり魔力を完全制御できた気になっていただけで、俺の実力ではなかった。俺が掴んだ核心は気のせいだったのだ…。しかし、操作をしてくれたおかげか、プロペラする前よりは格段にモノにした感じがする。


「ありがとう天祢。おかげで大分楽と時短ができたよ」


「はっ!これくらい晩飯前さ!…それよりさっきの魔力制御について詳しく」


「村についてからゆっくりね」


「やったね」


実は野宿した昨日より疲れているのだが、せっかく目的地の村に着いたのだ。弱音を吐いてる場合ではない。


「ここだよね?目的の村は」


「そう。ここがこの辺で一番大きい村だよ」


「あ!枝葉さんいらっしゃい〜」

「わー枝葉さんだぁ」

「今回はどれくらいここにいるんだい?」


村に入るなりみんなが枝葉に話しかけにきた。あれよあれよという間に枝葉の周りには村人の円ができた。


「みんな久しぶり。今日はお客さんを連れてきたんだ」


「「「お客さん?」」」


皆が一斉にこっちを見た。


「や、やぁ!俺の名前は天祢!しばらくお世話になると思うけど、よろしく!」


「「「よろしく天祢さん〜!!」」」


「ワッ」


 勢いであまりにも適当な挨拶をしてしまったが、村人のみんなも間髪入れずに勢いに着いてきたので、すこし驚いてしまった。この村はイワノ村という、周辺の森に住む精霊と協力して暮らしている村らしい。賑やかで楽しい村人たちと村を見て回った後、宿まで案内してもらい、荷物(全て枝葉のもの)を解いていた。


「枝葉超人気者じゃん。結構ここの村きてるのか?」


「まぁね。私の家からも近いからよく顔を出してるよ」


「へぇ〜、ここに住んでるわけじゃないんだな」


「私の家はあの山をこえた海岸沿いだよ」


「いいなぁ〜海の家かぁ」


 村を回っている時に得た情報では、この村は海岸から山を挟んだ場所にあるらしい。この辺は山とはいえかなり管理されているため、俺たちが向かい側の山から降りてきて村に来るまでの道中危険な魔物に出くわさなかったのはそのためだそうだ。枝葉いわく、倒れてたのがこの辺じゃなかったら危なかったとのことだ。魔物とか精霊さんとか、前世ではいない生き物がいて、精霊さんは基本的に優しく、魔物は襲ってくるらしい。


「精霊さんと魔物って何が違うんだ?」


「うーん、魔物は生物の死骸に魔力が溜まって生まれ、精霊は、純粋に魔力が溜まって生まれる。精霊は強力な魔法を使えるが基本弱い。魔物はよほどでなければ特殊な魔法は使えないが、耐久力とか生命力が並外れているものがほとんどだよ。」


「そんな危ないやつらがいるなんて、竜退治どころの話じゃなさそうだな」


「天祢の鎖魔法ならなんとかなるさ。天祢は魔王の情報も集めないとでしょ?だからしばらくはこの村を拠点にするつもりだけど、その間で特訓しようか」


「うっす!お世話になりやっす!」


 次の日、枝葉大先生に魔法について教えてもらうことになった。村の少し外れの広場。かなり広いので、ここを借りることにした。枝葉の顔パスで、すぐに許可が降りた。


「まずは魔力を操れるようにしようか」


「魔力を操る?」


「そう、自在に操れれば、魔法の扱いも自然と自由になるからね。最初は一箇所に集めてみよう」


「んー、こうかな?」


 右手を前につきだし、魔力を集めてみた。完全に感覚でやってみたが、プロペラの件でだいぶ感覚が掴めていたので、この辺の基礎は結構早めに習得できた。


「おー、やるね。さすがだよ。じゃあ…」


「!?」


 じゃあと言った枝葉は、ものすごい勢いで俺に近づき、魔力を集めた右手を尋常じゃない速さで蹴った。


「痛っっ!……くない?あれ?」


 完全に手が折れたかと思うほどの衝撃が腕を伝って全身を襲ったが、右手は痛みどころかかすり傷一つない。ただ衝撃ですこしビリビリする。


「傷一つないとはやっぱ天祢はすごいね。魔力を集めるとその部分はとてつもない強度になるんだ。魔力を込めすぎると素体がもたないけど、基本集めた魔力量に比例して強度は高まるし、それを応用して体術に使ったり、武器に付与して威力を増したりと色々と使えるんだよ。もちろん人助けにもね。」


「そうか…俺、もっと強くなれるのか」


 前世では無力にも車に当たり死んでしまったが、この世界では強く、そして他の人を守れるかもしれないと思うと、俄然やる気が沸いてきた。その日は夜まで特訓を続け、魔力もだいぶ体に馴染んできた。

 枝葉が今日はこの辺でいいだろうと言うので、宿に戻ることにした。教えてるときの枝葉はとても楽しそうなのだが、かなりスパルタであった。魔力とか魔法とかが好きと言っていたし、熱くなってしまうのだろう。この魔法でゆくゆくは竜人とやらと戦わなければならない。


「そう言えば魔力制御について伝えてなかったね」


「おお!まってました!」


この村に来た時のやつを教えてくれる約束だもんな。


「魔力制御は触れた相手に自分の魔力を流し込んで、流れる向きや量を矯正してあげるのさ」


「それって難しいんじゃない?」


「私は慣れたけどね…まあやり始めた最初の頃は花とかで試したよ。蕾が咲いたり閉じたりをくりかえせたら成功と仮定してやったけど、何回も花が破裂したりしたから、そう考えると難しいかも」


「えっ、もしかして枝葉じゃなかったら俺も破裂してたのか…?」


めっっちゃ危ない魔法だった。というか枝葉がしくったら空中で爆散しながら村に突っ込むところだったのか?いや枝葉にかぎってそんな失敗はしないか…

読んでいただきありがとうございました

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