4話
「まずは指先から魔力を出すイメージかな」
「フンヌ!」
野宿を終え、村に向かうために早朝に出立した。村には今日の夕方には着くとのことだ。相変わらず変わり映えしない山道で、道といっても整備されているわけでもなく、地面がむき出しになっているだけである。
昨日魔力量が云々言っていたが、魔力が切れると人はある程度魔力が回復するまで気絶してしまうらしい。貧血で立ちくらむがごとく倒れてしまうのだそうだ。
「昨日より全然ぱっとしないんですけど…」
「普通はあんなに暴発しないよ。ぱっとしないのを繰り返していけばそのうち使いこなせるさ」
俺は人差し指を伸ばして空に向かって魔力を扱う練習をしていた。村に向かいながら魔法の使い方や基礎を教えてもらっている。枝葉大先生いわく、魔力は大抵誰でも持ってるが、魔法を使えるのはその半数くらいだそうだ。嬉しいことに俺は魔法を使えるとわかった。
そして俺の魔法は…鎖を出すことだった…………。そう、いま人差し指からでているヒゲのようなもの。これは小さい鎖なのだ。なんという、なんともいえない謎の魔法。枝葉は凄く嬉しそうに「すごく珍しい魔法だよこれ」と言ってくれたが、正直、珍しいからなんだよぉ…という感じだ。
「この世界には刻印魔法というものがある」
「ほう」
なんだかとても俺の琴線に触れる言葉だ。
「魔法を使う人のほとんどが固有魔法。それらとは別次元の魔法とされているのが、刻印魔法だよ。」
「ほうほう」
なんだかテンションが上がってきた。心なしか指先のちび鎖も大きくなってきた気がする。
「そして天祢の鎖は、間違いなく刻印魔法だよ。物質を魔力だけで構成させるのがどれだけ大変なことか。」
「ほーうほうほうほう!」
俺は凄い魔法を持っているんだとさ!やはり俺は覚醒しているのか!……でも何ができるんだ?鎖出すだけで…
「練習すれば鎖をだして、その鎖を操れるようになると思う。そうすれば、武器にも防御にも罠にも使えるかもね。自分の意思で自在に無機物を動かせるなんてそんな都合のいい魔法滅多にないんだよ」
「フォー!!夢が!広がるぜぇ!」
なにより竜人族と戦うときに使えそうだ。楽しくなってきて腕をブンブン振り回した。気づけば指先の鎖もブンブンブンブンと…滅茶苦茶デカくなってた。
「なんだこれ!!!!??!!」
腕を止めても鎖の回転が止まらない。まるで前世で見たヘリコプターというやつだ。なぜか興奮がとまらず、インスピレーションもドーパミンもドバドバである。このまま鎖でプロペラを作って飛んでいけそうだ。
フワッ
「へ!?いや、まだまだァ!」
凄い、本当に浮かんだ!鎖の勢いで手が千切れそうだが、そこはミスターインスピレーションこと俺、腕から全身にかけて鎖を張り巡らせ、身体そのものの耐久度を上げた。
「凄いよ天祢、そのまま村まで飛んでっちゃおう。」
そういうと、様子を眺めていた枝葉がぴょんと俺にしがみついた。
「!?今完全に掴んだ!魔力の核心!!行くぜぇぇ!!!」
「ごーごー天祢〜」
急に鎖のコントロールがやりやすくなった。魔力を完全に支配下においたような感覚が体を駆け巡る。けたたましい音を立てながら、ヘリコプターと化した俺は枝葉と共に村へと飛んでいった。
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