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12話

読んでいただきありがとうございました。

完全敗北してしまった。しかし折れた腕も割れた頭蓋も回復魔法で元どうりとは、なんて都合のいい魔法だろう。元の世界でもあったらよかったのに。


「…ごめんね」


「ん?あぁいいよ全然。いやぁ、あそこまで歯が立たないとはな〜」


「…」


「…」


どうしたのだろう。さっきは耐えてね⭐︎みたいに言ってたけど、やっぱり申し訳なくなったのだろうか


「まぁ痛かったけどね!この先の戦いのことを考えればいい機会だっt」


「…鎖は手からだけじゃなくて全身から出せる」


「へ?」


「もっと収縮して密度もあげられる。束ねて守れば私の刀なんて通さない」


「まじで!?…俺の魔法のことよく知ってるんだな」


「ずっと見てたから」


「そっか。アドバイスありがとな」


枝葉について気になることは多いが、俺が強くなれるように研究しててくれたのだろう。実際きっと枝葉はこの世界でも強いが、その強さでも今まで竜帝とやらに立ち向かってないことから考えると、やはりもっと強くならないといけないのだ。


「えーっとそういえば次の勝負はどうなるんだろ」


「次は紅林さんと奏さん、私とメルタさんで戦うね。その後に決勝だよ」


「もう決勝か!二人とも頑張ってくれよ!ぜひ決勝で戦ってくれ」


「うん、天祢もしっかり見ていてね。この先の戦いできっと参考になる。」


俺と枝葉が戦っている間にメルタさんとクラジックさんが戦い、メルタさんが勝ったらしい。枝葉はお花を摘んでくるとのことだ。しばらく休憩なので紅林のとこに戻ることにした。


「お疲れ紅林〜、すまねぇ負けちまったよ〜」


「お疲れ様でした天祢さん!凄い戦いでしたね!観客席に結界が張ってなかったらこっちまで危なかったですよ」


「まじでそんなに白熱してたっけか?そういえばもう一方の試合って見てた?どう戦ってた?」


「えっとメルタさんとクラジックさんの試合は一瞬で終わったんですよね。メルタさんが魔法を使ったんですが、そのあとクラジックさんが何もせず降参してたんですよ。自主的に降参してたと言いますか、洗脳してるようには見えなかったんですけども」


「なにそれ怖い」


「そうなんですよ。魔法使った後に話してて、それで降参したーみたいな」


「まじかよ枝葉大丈夫かな…そうだ、紅林も頑張れよ!あの奏って人枝葉の刀使い以上かもしれん」


「確かに司会の方も剣聖って言ってましたね。では頑張ってきます!」


司会がそんなこと言ってたな。そういえばあの人さっき先代剣聖がどうとか聞き回ってたっけ。




「それでは只今より準決勝第一試合です!先ほど相手選手を自主降参させ多大なるブーイングを掻っ攫ったこの男。一体何をしたのか!買収でもしたか!ほんとに魚人族最強といわれる淵帝軍の一員なのか!?メルターーーーーーーー!!!!!」


「「「「「ブーーーーーー」」」」

「反則野郎がーー!!」

「つまんねー勝負したらゆるさねぇからな!!!」

「枝葉ちゃんに触るなーーー!!!!」


「そしてその対戦相手は、先ほど多彩な技を使う相手選手を華麗にいなし、一撃で勝負を決めた麗しき亜人族の剣士、音張枝葉ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!!!!!!」」」」」

「結婚してーーー!!!」

「頑張ってーーー!!!」

「キャーーー!!!」


「酷い言いようだなぁ、しかも格差が凄い。まぁ俺もさすがに女性の方にあの魔法は使いませんよ」


「?私は男ですよ」


「…その顔で?」


「たまたま小綺麗な顔だっただけです」


「チッ、んだよ野郎かよ。じゃあ容赦する必要もねぇや」


「よくわかりませんが最低なことはわかりました」


「ハッわかってんじゃねぇか。そういえばおまえ剣士らしいな。抜刀する間もなく降参させてやるよ」


「?」


「結界のため小さい声はよく聞こえませんがきっとメルタ選手が最低なのでしょう!それでは、試合開始!!!!!!!」


「勘がいいなクソ司会が!かましていくぜ、魂淀洩念覗罪法ー!!!!」


「?」


「へっ、かかったな。俺の魂淀洩念覗罪法はなぁ、お前のあt………へ?」


「?」


ぼたぼた



「一体なにが起きたのでしょうか!開始早々先ほどの魔法を使ったメルタ選手が、鼻血を出しているーー!!!」


「んな…え?……な、なに…こ…がぁ」


バタン


「???」


「なんとメルタ選手倒れたーーーー!!!!少々お待ちくださいここで審査が入ります…メルタ選手気絶!よって勝者、音張枝葉選手ーーーー!!!!」


「「「「「「「「うぉぉぉぉーーーーー!!!」」」」」」」」」


「うぉーーよくわからんが仇をとってくれてありがとう枝葉氏ーー!!」


「先ほど負けたクラジック選手も喜んでいるーーー!!!先ほどはいったい何が起きたのでしょうか!?今不正行為がなかったか確認中です。ですがひとまず準決勝第二試合へと向かいます!」


「何もせずに勝っちゃった…」




「続いての試合、戦闘力が高いことで有名な鬼人族、先ほどはその能力を如何なく発揮してくれました!今回もド派手な魔法が飛び出すのでしょうか!?鬼神紅林ーーーーー!!!!!!」


「「「「うぉぉぉぉーーーーーー!!!」」」」

「イケメンーーー!!」

「片目隠れててかっこいいーーー!!!」

「魔力浴びせてーーー!!!!」


「い、いやぁ、照れますねー!」


かっこいいだなんて生まれて初めて言われました!まぁ私の魔力浴びたら多分大怪我しちゃいますけどね。


「続いて、剣聖の名に恥じぬ剣撃をみせてくれました!亜人族の可憐な剣聖、木支奏ーーーー!!!!!!」


「「「「「「うぉぉぉぉーーー!!!!」」」」」」

「デートしてーー!!!!」

「かわいいーー!!!」


「チッ」


あっ、今舌打ちした。この人怖い人だ。


「あなたは先ほどの紅林くんだね。戦えて光栄だよ。ところで紅林くんは枝葉さんとやらの知り合いなのだろうか」


「え?はい、一緒に旅をしてますが」


「彼は何歳くらいだ?」


「何歳…多分二十歳かそこらかと思いますが…」


「……そうか。答えてくれてありがとう」


「いえいえ…」


なんだろう。やはり剣聖として剣の腕が立つ者は気になるのだろうか…いや待てよ?たしか司会の方が枝葉さんの太刀筋が剣聖流とかいってたっけ。


「枝葉さんの知り合いなんですか?」


「いや全く知らない。だから確かめなければならない。私の門下生でもないのにあそこまでの剣技となればな」


「なるほど」


自分のとこの技術を使う謎の人物…確かに気になるかもしれない。


「それでは会場の準備も整ったところで、始めたいと思います。…試合開始ーーーー!!!!!」


「…あぁそうだ、決して舐めてるわけでも侮っているわけでもないが、もし強化魔法などを使うなら待とう。私は全力の状態で戦いたいのでな。」


「わかりました。お言葉に甘えさせていただきます」


「おっと、どうやらバフタイムに入るようです!これは最高の戦いが見られるかもしれません!!!」


なるほど、そういう人もいるのか。先ほどの試合での反省点は自分の火力を把握していなかったこと。そしてそのせいで魔力消費が無駄になっていたことだ。そこを踏まえて今回は正面から殴りこもうと思っている。試合前に魔力ポーションなるモノを飲まされたので魔力は十分。そして天祢さんがやっていた全身に魔力を纏わせるあれはかなりのインスピレーションになった。


「さきの戦いでは魔力の使い方がわかっていないように聞いていたが…なるほど、驚異的な成長性か」


「先ほどまでの私とは違います!全身強化!!」


魔力を全身に纏わせる。やはり身体強化魔法の応用、練った魔力を全身に纏うと一部の強化より断然体が軽くなる。ただ魔力を練りすぎて音がなんだか聞こえにくくなった。


「まだまだいきます!豪鬼羅刹!!」


「おっとこれは鬼人族の…!…ん、あれ…マイクガ…」


この魔法は鬼人族が鬼化する魔法で、魔力の使用が不安定だと命の危険がある。が、さっきの試合での魔力暴発のおかげで魔力回路が活性化したので、安定して使える…気がする。


「鬼人族が戦闘時に発現するというツノか」


「ではいきます」


「あぁ。きてくれ」


そういうと奏さんも刀を構える。剣聖流は上段構えからくる一撃必殺タイプの剣術。構えと呼吸がすでに達人のそれである。


「剣聖流…」


「鬼拳…」


お互いに構え、空気が震える。


「悉滅」


「腐爆!」


足に溜めた魔力を爆発させ、奏さんの懐に飛び込み全力で拳を振りかぶる。一秒にも満たないその瞬間、目を閉じたりなどしていないが、拳が奏さんに当たると同時に霧のように消えた。


「!?」


その直後、背後から切り伏せられた。


「がっ」


「…!?」


殺すのが反則なこの試合。死なない程度に切られたのでまだ動ける。体制は崩れたが、余っていた魔力で爆発回し蹴りをかました。


「なかなかいい蹴りだ」


回し蹴りは刀で止められた。一旦距離をとる。やはり剣聖なことはあって身体能力もえげつない。とりあえず見失うと負けるので眼に魔力をまわす。


タッ


だめだ魔力で底上げしても目で追えない。ヤケクソだが仕方ない。


「波動腐塵砲!!!」


全身から圧縮した腐敗魔法の波を全力で放出する。恐らくただでは済まないだろう。


「くっ」


見つけた、私の真上だ。さすがの剣聖も一瞬怯む。腐敗魔法の強さは身をもって知っている。


「そこだ!圧縮腐塵砲!!!!!」


手をかざし砲撃する。先ほどの波動式と違い一直線に放つことで威力も桁違い……やばい直撃したら死ぬかもしれない。


グサッ


「うっ」


後ろから腹を刺された。


「これで終わりだ。昏倒睡眠」


「すやぁ…」


「アッマイクモドッタ…コホン……なんと紅林選手眠ったーーーーーー!!!勝者、木支奏選手ーーーーーー!!!!!!!」


「「「「うぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!!」」」」」




「面目ないです」


「いや凄い試合だった!最後のビームなんて結界にヒビが入ったってスタッフが慌ててたぜ」


「紅林さんすごく強くなったね」


「おかげさまです、ありがとうございます!あとは枝葉さんと奏さんの決勝戦ですね…」


「刀をもらう目的は果たせないけど、ここまできたら枝葉に勝ってもらうしかないな」


「そうですね…頑張って枝葉さん!」


「なんだ、私のためにこの大会に出てたんだ。ありがとう。みんなの分も戦ってくるね」




「えー、先ほどは魔力が濃すぎてマイクが故障しましたことをお詫び申し上げます…それでは気を取り直して決勝戦!!なんの因果か、剣使い同士が残りました!もう説明は不要でしょう!木支奏!音張枝葉!一体優勝はどちらになるのか!!!!」


「「「「うぉぉぉーーー!!!!」」」」


「よろしくお願いします、奏さん」


「枝葉さん、あなたは」


「?」


「初代剣聖の知り合いですか?」


「…知ってるね」


「やはりそうでしたか。私は初代剣聖の弟子、奏です。もしよろしければ師匠の話を聞かせていただけませんか?」


「奏………なるほど…そういうこと…この試合が終わってからでよければ」 


「ありがとうございます」


「それでは決勝戦、優勝はどちらになるのか!?試合開始ーーーーーーーーー!!!!!!!!」

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