表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

10話

「さぁさぁやって参りました腕自慢!ルールは簡単、相手が気絶するか降参するか、場外へ出たら自分の勝ち!こっちには凄腕の回復魔法使いがいるので殺す以外ならどんな手段でもオーケー!!!」


「「「「うぉぉぉぉ!!!!」」」」


凄まじい熱気に圧倒されながらも、参加者が決まり対戦相手が選ばれていった。ほとんどが野次馬なので、参加者自体は言うほど多くなかった。ルールが思ってた数倍物騒なので、次からはエントリーする前に詳しいルール説明をしてもらうようにしよう。


「楽しみですね天祢さん。っていうか天祢さん苗字盃って言うんですね、どこの出身なんですか?」


「そういえば言ってなかったっけ。出身ってそりゃあもう…」


あれ?なにかひっかかるような気がする。俺は日本の東京産まれだ。それは間違いない……ってそうか、この体の出身を知らないんだ。俺は記憶だけ俺で体は別の人間で、赤ちゃんの時から転生したならわかるが、目覚めたときには既にここまで成長してて…ん?つまりどういうことだ?頭痛くなってきた…えーっと…


「すまない、少しいいだろうか?」


頭を痛めていると、突然声をかけられた。そちらを見るといかにもサムライですという格好をした女性がいた。


「どうかされましたか?」


「つかぬことを伺うが、あなた方は剣聖の知り合いか?」


「剣聖?紅林は知ってる?」


「その名前くらいなら知ってますが、会ったことも見たこともないですね」


「そうか…すまなかった。話は変わるがあなた方も大会に出られるのか?」


笠を被っていて顔がよく見えないが、悪い人ではなさそうだ。


「二人で出ようと思ってるんだ。奏さんも?」


「あぁ、剣を集めてるんだ。…お互い頑張ろうな」


「頑張りましょう!では決勝で!」


奏と名乗った女性は微笑むとそのまま立ち去った。


「剣士っぽかったですね、今の人。剣蒐集家が欲しがる剣なら間違いなくいい剣ですよ!」


「だよな、負けられねぇぜこの戦い!」


なにか忘れてる気もするが、とりあえず対戦相手を見に行くことにした。すでにでかでかと紙に張り出されていた。見た限りではトーナメント戦で優勝が決まるらしい。普通ないが乱戦デスマッチだったらどうしようかと思っていたので安心した。


「私の対戦相手は砲煙のボルガさんだそうです。名前がもうとんでもなく強そうです!………名前に助詞?」


「俺の対戦相手はーっと…音張 枝葉さんか、強いかな…………」


枝葉さん?そういえば枝葉の苗字知らないからたまたま名前が同じ人ってことかも知れない。


「初戦から天祢と戦うことになるなんて、楽しみだね、天祢」


「枝葉!いつからここに」


「情報集めてたら面白そうなことしてる二人が見えたからね。私もやろうかと」


「来てたんですね枝葉さん!こうなったらみんなで優勝しましょう!」


「紅林よ、優勝者は一人しかおらんのだよ…」


こうしてなぜか三人そろったのでサプライズソード計画は消えたが、この中で誰が1番強いかわかる時がきた。



「今回は総勢八名のエントリー!!!まずは一回戦目の選手を紹介します。

鬼人族出身、本日傭兵組合に登録したばかりの期待のルーキー、鬼神紅林ぃぃぃぃぃ!!!!

対するのは獣人族出身、その手に持つのは巨大な大砲!砲煙のボルガぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「「「「「「うおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」


「時間の都合上同時進行でお送りします!お隣の舞台で戦う選手は、亜人族出身、最近噂のサムライか!木支奏ぇぇ!!!!

対するのは鳥人族出身、将来の夢は歌手、ここはのど自慢大会じゃないぞぉぉぉ!!慟哭のゴペルスぅぅぅ!!!!!」


「「「「「「うおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」」」


「それでは一回戦目の選手四名、入場してください!!!!」


「頑張れよ紅林ぃ!!」


「やってやりますよ!かかってこいやコラー!」


紅林も気合十分、勝つには申し分ないモチベーションである。


「さーて相手は大砲持った獣人て言っていたけどどんなやつかなー」


ドスン、ドスンと音がして、舞台に上がったのは三メートルはあろうか、顔も体にもでかい傷があって、服もズボンだけ、身の丈ほどある大砲を担いだ巨大なふっさふさのクマであった。


「誰がかかってこいって?」


「ははは…お手柔らかに…」




「それでは一回戦目、スタート!!!!!」


「ぬぉらぁ、死に晒せぃ!!!」


「ぎゃぁぁぁぁ!!!」


「おーっと!開幕早々担いでいた大砲を紅林選手に向け、ぶっ放したーー!!しかし間一髪で避けたぁぁ!!!」


本当に危なかった。ボルガさんの大砲、この街に来る前の私では見切れなかった。だがどう見ても単発式の大砲だ。打たせてしまえばこちらのもの。


「吾輩の必殺、初見殺しを避けるとはやるなぁ」


「へっ、初見でやれなきゃ世話ないです!」


「ならこれはどうかな?」


「!」


「なんとぉーー!!玉を詰めてないし火薬も詰めてないのに三発連続で発射したー!?どういうことでしょうか?が、紅林選手もすごい身体能力だ!全ての球を避けているーー!!」


大砲の弾すらつめずに三連発!?なんだあれ、どこにそんな空間が!いや、あれは…


「その大砲、魔道具ですね?」


「んははは!この短時間で見破るとは、この吾輩に啖呵を切っていただけのことはあるようだ…なぁ!!」


そういうとボルガさんは大砲を投げつけてきた。そんな直線的な攻撃なら当たることすら


「ハッ、死ぬぜお前」


「!?」


ボルガさんがそういうと大砲がきりもみ回転しながら球を乱発してきた。しかもすべて砲口がこちらに向いているときに。


「ボルガ選手、とんでもない凄腕の魔法使いだったーー!人は見かけによらないのかーー!!」


「まずいまずい!!!」


「ギャハハハハハハ!!!!」


逃げることしかできない!いや逃げ切ることも難しい。なんていう魔法操作能力なんだ。…いやこちらも魔法を使えばあるいは


「身体強化!」


魔力を集中させる。皮膚、骨の硬化、筋肉の強化、視力の向上。


「なんだ、その魔法は…だが吾輩の大砲は球を含めて高密度金剛石が使われている!当たったら骨がスクランブルエッグになっちまうなぁぁ!!!」


「ボルガ選手の石油王砲弾にも驚きですが、紅林選手の謎の魔法ー!まさか新発見の魔法かーー!!!」


身体強化魔法は枝葉さんと天祢さんに教わった魔法。私もこんな便利で誰でも使える魔法なんて聞いたことがなかったが、この街に来る道中でほぼマスターした。だがこれだけではで大砲と球十発全てぶち壊すのは難しいだろう。なのでアドリブ、完全に勘で使う。私の呪い、汚点、腐敗の魔法。私の腐敗魔法の干渉した魔力は溜まりやすい性質を持っている。それも爆発的に。今は強化した腕と足に腐敗魔力を込める。これからの戦いで使えるかも知れない。十五年間も付き合ってきたんだ。私のものにしてやる。


「それでも正面からぶっ飛ばします!」


「やってみろ、鬼神!!」


足に力を込め一気に踏み込み加速、今こちらに向かっている球は十発、拳に魔力を込め握る。全て壊してあのクマさんをぶちのめす。


「紅林選手、謎の緑色のオーラを纏い始めました。まるで右目からツノが生えているようだーーーーー!!!」


魔力を込めすぎているのか、周りの音もよく聞こえない。


「行きます!腐爆鬼神拳!!!!」

読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ