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2話 エルノール・フェアロス

 エルノール・フェアロスは森人族(エルフ)の冒険者だ。

 エルフは魔力が高い者が多く、エルノールさんも高魔力保持者のため精霊魔術師(マギ)となった。

 エルフは基本的に人里離れた森の中で暮らしており、狩り以外で里から出る事は滅多にない。

 エルノールさんも若い時は森の中で質素な暮らしをしていたが、刺激のある生活をしてみたくなり里を出たそうだ。

 エルノールさんみたいな考えの森人族は他にもいて、一緒に里を出ると冒険者に登録し、森人族のみのパーティを結成する。


 しかし他のメンバーはそこまで冒険者に向いていなかった。

 ある者は死に、ある者は里に戻り、最後のメンバーは結婚を機に冒険者を引退した。


 冒険者になり30年、メンバーに恵まれないながらも個人ランクはBまで上がっていた。

 パーティは基本同種族で構成される事が多い。

 種族により文化や考え方、価値観も変わる。

 特に寿命が違う事が大きい。

 森人族は只人族(ヒューム)の約10倍長く生き、時間の流れも変わってくる。

 しかも森人族はプライドが高い者が多く、血の気が多い只人族の冒険者と組むと衝突する事が度々あった。

 その歴史がエルノールさんが他所のパーティに入るのを邪魔をする。

 高レベルの精霊魔術師ではあったが、どのパーティからも声は掛からなかった。そしてエルノールさん自身も高圧的に出てしまい、拒絶される。

 入れてくれるパーティがないため、しばらくソロで活動していたがやはり限界を感じていた。

 確かに精霊魔術師の魔法は発動すれば広範囲、高威力を有するが、発動する為に呪文を唱える必要がある。

 パーティなら仲間がその時間を稼いでくれるがソロだとそうはいかない。ランクが上がり、敵が強くなるほど魔法を発動させるのが難しくなってくる。


 そして酒場で1人酒を飲み、森人族の里に帰ろうかと思案し始めた頃、僕と出会う。


「失礼します。エルノール・フェアロスさんですか?僕はアルフ・ガーレンと申します」


「知ってる。色々噂になっているからな、元大司教の神聖術師(ヒーラー)が私に何か用か?」


「実は僕、パーティメンバーを探してましてあなたに入って貰いたいなと」


「……断る。もう冒険者は疲れたからエルフの里に帰ろうと思い始めてた所だ」


「思い始めただけですよね?同郷のメンバーで結成したパーティを解散した後も、しばらく入れてくるパーティを探してたじゃないですか」


「何処も入れてくれなかったけどね」


「だから僕とパーティを組みましょう!」


「嫌だね。それに他の連中の考えは正しい。異種族では文化も嗜好も考え方も違う。揉めるのは当たり前だ。今のパーティで上手くいってるのに、わざわざ異物を入れる必要はないだろう」


「異種族ですか…同じ種族でも考え方や趣味嗜好が違う人なんていっぱいいますよ。現に僕もそれが理由で前のパーティをクビになりましたし…」


「いや、君のは別の理由じゃ…」


 ちっ、やはり知っていたか!僕は誤魔化す様に話を遮る。


「と、とにかく!僕は考えたんです!只人族のパーティに異種族が入ると揉めるのなら、いっそ全部異種族にして組めば上手く行くのではないかと!実際そういうメンバー構成の高ランクパーティもありますし、実は他の種族の方にも目を付けているんです」


 エルノールさんは思案する。


「最後に僕が作るパーティに入ってみて下さい。それでダメならその時エルフの里に帰ればいいじゃないですか。森人族の寿命は人族よりはるかに長い、もう少し寄り道してもいいと思いますよ?」


「…わかった。ただし入るのは他のメンバーを見てからだ。上を目指せないパーティに入るつもりはない」


「いいでしょう。では他の候補者が見つかったらまた連絡します。」


 こうして酒場を後にした。

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