雨雲はゆっくりと
「逃がしません」
「はぁ、おまっ、、何言って、、んっ、んん、っはぁ、、なにっすんだっ、、てめぇ。」
こいつ、、、、いま、俺に、、、、、キス、、、して?
「いやだなぁ。だから言ってるじゃないですか。逃がしませんって。」
は?なんでこいつが、、、どういうことだ、、、?
「あは、本当に快斗さんは面白いですね。それじゃあ、また明日学校で」
なんなんだ、どういうことなんだ、、、そそくさと帰りやがって。クソっあぁあムカつく。
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ピピピピピピピピピピピ
あぁ、めざましうるせぇ、、、学校ダリィなぁ、、休んじまおうかな。
ーそう言って二度寝を始める。
『快斗さんは僕から逃げるんですね〜。ほぉら、起きてください。負けを認めますか?』
、、んなわけ、、、
「んなわけねぇだろぉがぁぁ」
っはぁ、はぁ、、目ぇ覚めちまった。
不機嫌なかおを登校前に隠し、いつもの笑顔を貼り付ける。さぁ、仕事だ。
「快斗ぉ〜昨日いつの間に帰ったんだよぉ〜たまには一緒に帰ろぉぜぇ?」
「昨日は帰りに寄るとこがあったんだよ。今度予定合えばな〜。」
「んでさぁ〜聞いてくれよ、✕✕ってやつがさぁ〜どんくさいんだよ」
あぁ〜うぜぇ。人の悪口で盛り上がるクズどもが。つまんねぇなぁ。
「快斗さん。おはようございます!」
っは、普通にしてんじゃん。昨日のことは忘れたってか。いいじゃん上等だよ。
「おはよ〜陽香留。朝から元気だね〜。」
「あれ?快斗、陽香留と仲良かったん?あ、こないだ送ってたって言ってたしな。」
「そうなんです。傘持ってなくて、みんなとカラオケ行くって知らなくて、すみません。」
「えぇいいよ気にしないで〜、、、、もう終わったことだから。」
「お前なーに黄昏てんの〜一人いないぐらいでそんな変わんないでしょ〜」
「何いってんだ快斗ぉ〜お前がいないと女子がブチギレなんだって」
あぁ、はいはい。俺をコマにするのはやめろよなぁ
「快斗さん、お昼休み、こないだの空き教室で一緒にお昼食べましょ。待ってますね」
、、、、誰が行くか。
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さ、早く帰ろう。お昼以降あいつも話しかけてこなくなったし、ちょうどいい。
「快斗さん。やっぱり歩くのも帰るのも早いですね。お昼、待ってたのに。」
「誰が行くって言ったんだ?俺は誰とも昼飯なんて一緒に食う気はねぇよ。」
うぜぇうぜぇうぜぇ、、、なんでこいつはこんなに俺につきまとうんだ。
「あは、相変わらずのご様子で何よりです。まぁもともと来ないってわかってましたし。別にこんな内容どうでもいいんですけどね。でもやっぱりちょっと傷つきましたね〜」
ニヤリと笑った顔がはなにつく。どうにかこの顔を歪ませてやりたい。
「おまえが傷つこうが俺には一切関係ねぇな。かまってほしい猫アピールは他所でやれ。」
「人がいなくなったらこんなに怖い人になるなんて。びっくりです。猫アピールだなんて可愛いこと言ってくれるんですね。ほんと、こんな快斗さん僕しか知らないなんて。」
「何が言いたいんだ。バラしたいならバラせばいい。もっとも、アイツラが信じるか否かはお前次第なんだろうがな。俺に構うなって何度言えば解るんだよ”クソ猫”くん」
「っく、あは、クソ猫って、まぁ、僕らだけの時しか呼んでくれないんでしょうけど。陽香留くんもいいですけど、こっちもいいですね。”クソ猫”なんて初めて呼ばれました。」
何が面白いんだ。気持ちわりぃ。いい加減、我慢の限界だ。
「ふざけるのも大概にしろ。俺をからかえば、脅せばかまってもらえると思ったのか?話しかけてくんじゃねぇ。仲良くしたいならあっちの俺で満足だろ。何度も言わせるな消えろ」
「 」
無言、何も言い返せねぇのか。俺はあいつのおもちゃになる気はねぇ、、
「やっぱり、あんなんじゃ伝わらなかったってことでいいんですよね。」
「んなっ」
こいつ、こないだもそうだが、こんな馬鹿力どこから出てくるんだよ。っぐ、離れねぇ。
「僕は、あんなバカどもとおんなじに見られるなんて嫌です。最悪以外のなんでもないです。こないだ、無理やりだったけどようやく意識してもらえるって思ってたのに。馬鹿よりも役に立つのに。全然変わってない。嫌われたくない。僕が悪いんです。名前を呼べて話せるだけで満足だったのに。以上を求めてしまった。もう、止められないんです。」
そう言って俺の手を引き、走る。泣きながら俺に微笑みかけるこいつの涙は,きれいだった.
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走って走って、ようやく止まった。
「っはぁはぁ、、ここは、、、、?」
「僕の家です。最近は親なんていませんので、心置きなくお邪魔してください。」
??いや、なんでこいつ、家電車移動なんじゃ、、、?
「え、おま、電車通学なんじゃねぇの。裏道、隣駅の直ぐ側だったのかよ。」
「僕、お父さんの家から通ってるんです。こっちはお母さんの家です。」
離婚、、?聞いちゃいけねぇことだったか?えっと、どうすれば。。。ここは素直に?
「え、っと、すまねぇ。気ぃ悪くしたんならあやまる。」
「ふふ、このことは他言無用でお願いしますね。関係ない人に知られて面倒ごとになるのはも嫌なんで。それにここに人を連れてきたのは快斗さんが初ですよ。」
「んなっ、初めてだからなんだってんだ。急に引っ張ってきやがって。」
、、”なるのも”ってどういうことだ?まぁ、関係ねぇな
「あはっ、いつもの調子が戻ってきたみたいですね。」
そういってこいつはそそくさと鍵を開け、俺を中へ引き入れた。入ったあとで後悔が襲ってくる。知らないふりをして逃げることもできたのになぁ。でもまぁ、変なことしやがったらハッ倒す。よし、そうしよう。そう心に決めてこいつの部屋らしき場所に入った。入った率直な感想としては、質素だ。普段はこっちに来ないというのだから当然だが、それにしても質素だ。
「異物でも見るような目で見るのはやめてくださいよ。普段僕が使ってるのはこっちの部屋じゃないので、必然的にものは少なくなってしまうんです。」
こっちは使ってないって、確かにあるものといえばベッドに多少のクローゼットくらいだ。
「そんな目で見てねぇよ。まぁ質素だなぁとは思ったけど。こっちは客用ってことか。」
「まぁそんな感じです。」
フッと笑ったはずのこいつの目は何処か別のものを見ている気がした。こいつはこいつなりで過去になにかあったのだろう。深入りは良くない。見なかったことにするか。
「んで、自分の家に連れ込んでおいて、何をしようっていうんだ?」
挑発気味に問いかけるが、微笑むばかりでこっちを見向きもしない。なんなんだ?まじでこいつは何がしたいんだ?
ドンッ
「テレビ、、ゲーム、、、?なんでこんなん」
「なんでって快斗さんと一緒に遊ぶために出したんですよ。いろんなタイプのソフトがありますけど、好みのとかあったりしますか?」
満面の笑みでいや、ドヤ顔で出してきたそれは、最新のゲームだった。こいつまじで、何者なんだ?と思いつつも、とあるソフトが目に入ってきた。
「これ、大乱闘RPGの最新作じゃん!まじでおま、これどこ行っても買えなかったやつじゃん。え、これも、あれも、なかなか手に入らないレア物ばっかりだ。」
「喜んでもらえましたか?絶対好きだと思ったんです。ちなみに、どのゲームもストーリー全クリしてるのでレアキャラも入ってますよ。まずは大乱闘RPGでいいですか?」
っぐ、ゲームの魅力には勝てない。それもこれも、ゲームのせいだ。
そうしてテレビゲームでのバトルが始まった。