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ひもの街7

「こちらです」

 ロプは案内の紙を眺めながら指さす。何があるかは分からないが、入口から左回りに散策すると予想した。

オイラは天邪鬼が発動して、言うことを聞かないことを虎視眈々と狙う。そもそも、案内通りに進むことはシューが勝手に認めたことであり、オイラは納得していない。指示された方向と逆に走った。

が、すぐにひもに引っ張られた。

身動き取れないことひもをつけた犬の散歩のごとし。飼い主が引っ張ることによって犬は言う事を聞くように教育される。かったるい話だ。

オイラはひもの影響で地面に腹から落ちる。ベターっと腹を下に寝そべる体勢で叩きつけられた痛みが静まるのを待つ。それをシューが横目で見下す。

「――違うところに行こうとすると、ああなるのですね」

「そうですよ。安全でしょ?」

「安全かは知らないです。車にひかれるとかはないかもしれないですが、こけて打ちどころが悪かったら死ぬかもしれませんよ」

「そうかもしれませんね。でも、今までそのような事例はありません」

ひもが引っ張って危険から防ぐ。それが安全ということだろうか?

多少は合点がいくが、シューが言ったとおり危ない場面は多々ある気がする。オイラが腹に治っていない傷があったらどうするつもりだったのだろう? たとえクッション性の地面だとしても大事だぞ?

シューは納得していない雰囲気だった。頬をさすりながら思考をハントする蜘蛛の糸のように巡らせている。そうオイラが独断するが、実際には何も考えていないかもしれない。

シューのことだから、オイラ達バティの頭脳担当だから、オイラが不審に思うことに不審に思わないわけがない。実際に言葉からして納得していない。その口調も不審がっていること、悪徳宗教団体の勧誘を相手にするが如し。

しかし、ここで突っついても一年ぶりの大掃除と違い何も出てこないと判断して水洗便所の排泄物のように事を流すことにしたのだろう。流れに任せてなるようになれ、と精神。

ロプは何を考えているのかわからないが、今はオイラが戻ってくるのを待っていることが釈迦が孫悟空を手に取るようにわかる。

2つの視線の方向にオイラはとぽとぽと気まずそうに合流した。2つの視線の主たちは気にすることもなく先ほど進む予定だった方向にそっけない一歩をだす。気にされないことはありがたいような、逆に罪悪感が強くなったような。

うーん……

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