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ひもの街6

「――では、この街の観光の予定を組みました」

 ロプはあっけらかんと紙を渡す。その四つ折りは今考えたものではなく、あらかじめ用紙されたマニュアルのものである。

「ありがたいけど、ありがた迷惑です」

 シューは眉をひそめて渋った。少し失礼な口調に感じた。もう少し柔らかく断ればいいのに、内容はともかく刺がある口調。

「どうしてですか?」

 ロプは渡す手を止めた。狼狽しているのかと思ったがそんなことなく、変わらず無表情。もしかしたら狼狽しているのかもしれない。

 しかし、冷静に考えて断られることに慣れているはずだ。だから、狼狽しないと考えるのが普通だ。普通かどうかは知らぬが……

 渡すのを諦めずに紙を持った手を差し出しながら止まっているロプに対して、シューはイヤミな口調を述べるが、計画を勝手に作られて不快だったのだろう。

「わかるでしょ? 自分たちで勝手に観光したいのだけど」

 と。

「この街ではそれは無理です。死んでも責任取れませんよ」

「またそれですか? 危ない街もいくつか通ってきましたが、ここもそんなに危ないのですか?」

「ええ。大変危険です」

「そういうところは危険でないものだけどなぁ。本当に危ないところは危険なんて言わないですよ」

「そうですよ。言うことさえ聞いていたら危なくないですよ」

予定通りしか許されない。

ロプは食い下がる。それは強情なのか、本当に危ないからと心配しているのか? 顔の表情には出ないが、態度の表情には凛とした者を感じる。

シューも強情なところがあるので引き下がらないことが多々あるが、ここは引き下がった。食い下がっても美味しさがないと判断したのだろう。どうでもいいところでこだわりがあると思ったら、次には興味を失っていることがある。自分なりのルールもあるのだろうが、基本的に気分屋なのだろう。

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