ひもの街5
オイラは地面に叩きつけられた。
下はクッションになっているが、それでも内部を叩かれるような衝撃。いや、クッションだからだろうか?
悶絶して動けない。皮膚とかの痛みがない代わりに、内蔵が痛くて息できない。青ざめて横たえるオイラは足が空を走る。
でも、どうしてこうなった?オイラはジャンプしただけなのに……
「あっと。ジャンプしたらダメですよ」
「凄い音したけど、ジャンプした結果、ああなったのですか?」
「この街ではジャンプというか、一瞬でも宙に浮いたらひもに引っ張られてしまうのです。だから、ああいうふうに叩きつけられることもあります。だから、そうならないように滑るように歩くことを心がけてください」
ジャンプなどで宙に浮くことはできない。そういうことは先に言って欲しかった。
それにしても、ロプが滑るように歩いていた理由があるとは……やはりカラクリがわかったら奇妙さがないものだと安堵する。
シューは軽くジャンプして確認している。ジャンプする事にひもが引っ張っているようだ。しかし、小ジャンプすぎて被害がない。
オイラは口惜しい。オイラと同じ痛い目に遭えよ! そう歯ぎしりを鳴らすが、不機嫌な犬が唸っているだけに見えるようだ。
「ジャンプできないのですが、これも仕様ですか?」
「そうです。だって、危ないでしょ?」
「そこまで危なくないと思いますが……というか、逆に危なくないですか? ほら、うちの犬みたいに」
「すぐにわかりますよ」
ロプはオイラの痛みに無関心だった。人は他人の痛みに鈍感だと聞いたことがあるが、なるほどこういうことか。勝手に納得したオイラ。