太陽の城にほえる?
※おっさん用のネタなので、今の学生さんにはちんぷんかんぷんかも。
寸劇『太陽の城にほえる?』(婚礼用)
登場人物 所轄署の警部(※僕)
同署の刑事A(※友人)
同署の刑事B(※友人)
同署の刑事C(※友人)
同署の刑事D(※友人)
同署の刑事E(※友人)
逃亡犯(※新郎)
その妻(※新婦)
客(※来賓の皆さん)
ストーリー
○ある新郎新婦の結婚披露宴会場
宴もたけなわの頃、会場が突如暗転する。
来賓の方々がその異様さに不安がる。(※と思われる)
来賓「な、なんだ!」
「突然明かりが消えたぞ!」
「これはどうしたことか!」
「責任者! おーい、責任者はどこだぁ!」
来賓一同が色めき立つ。
同時に、右曲署捜査員一同が慌ただしく入ってくる。
※BGM『太陽にほえ○!』のメインテーマがかかる
捜査員一同が緊張の面持ちで会場内を駆け回る。それぞれの手には、黒光りした拳銃が握られている。彼らは銃口を天井に向けたまま力強い面持ちで会場全体を睨みつける。
刑A「みんなそこを動かないで!」
刑B「我々は右曲署の者です!」
刑C「たった今、さる筋から」
刑D「この会場内に、凶悪犯人が逃げ込んだとのタレコミがありました」
刑E「みなさん、警察の指示に従ってください!」
彼らは大きな声で来賓に呼びかける。
そして辺りや来賓の顔を嘗め回すように確かめ出す。不安と困惑が入り混じった表情の来賓。
するとそんな異様な場面をあざけるような格好をした、場違いなほどハードボイルド風体の中折れ帽を被った男がのっしのっしと入ってくる。
来賓一同が捜査員に注目する。
刑A「警部! ダメです。いません」
刑B「あたりすべて見回したのですが」
刑C「逃亡犯らしき男は、この会場にいません!」
刑D「もしかすると、あのタレコミは」
刑E「ガセネタだったのでしょうか!?」
※BGM『メインテーマ』が終わり、緊張感のある音楽へと移行。
警部「もっとよく調べるんだ! ここでヤツを取り逃がしたら後がないぞ!」
刑A「いや、しかし……」
警部「お前ら、あの逃亡犯をこのまま世にのさばらせても良いと思っているのか? ヤツはとても凶悪なんだぞ!」
刑B「い、いや。で、でも……」
刑C「こんなめでたい席で」
刑D「会場を荒らしまわってしまっては、みなさんにご迷惑ではないでしょうか」
刑E「そ、そうですよ、警部……」
捜査員はみな、場の雰囲気を壊してしまった事に萎縮し、弱腰になる。しかし警部は辺り構わず怒鳴り散らす。
警部「バカヤロー! いいから探すんだ。あんな凶悪犯を……凶悪なヤツを、草の根かき切ってでも見つけ出すんだ!」
一同「ハッ!!」
警部の一喝に、捜査員一同がハッと姿勢を正し敬礼をする。そしてまた、それぞれが方々に散り辺りを探り始める。
警部「くそう、やつめ……」
苦虫を噛み潰す警部。しかし彼の帽子の奥から、ギラリと目が光っている。
○宴会場の新郎新婦の席
突如、新郎新婦席にスポットライトが照らされる。
刑A「け、けけけけ、警部!」
刑B「大変です!」
刑C「な、なんと」
刑D「この会場に」
刑E「やはりあの犯人が潜んでいました」
捜査員たちが慌てふためく。
警部「なにっ!?」
警部、なぜかブラインド越しに(※小道具)彼らの位置をいぶかしい目で見やる。
すると目の前には犯人と思しき男が引きずり出された。
なんと彼らに腕をがっちりと掴まれた男こそ、この宴の主役の一人、新郎だったのだ。
刑A「そうです警部」
刑B「この男です!」
刑C「全国指名手配中の」
刑D「××××容疑者です!」
刑E「間違いありません!」
捜査員一同は、まるで何かに捧げ物をするような目つき、手つきで警部に新郎を突き出す。
※BGMが止み、会場がシンとする。
会場全体が騒然とする。来賓が色めき立っている。
新郎は捜査員に囲まれ、腕をつかまれ、観念したようにうつむく。
状況をまったく把握できず、ぐったりした新郎を不安げに見つめている新婦。
その緊張した彼らの間に警部が割って入り、急に会場にマイクを掴むと、
警部「皆さん、ご迷惑をかけてしまい申しわけございませんでした。ええ、ようやく、たった今……○○時××分に無事容疑者を確保することができました。これも皆さんのご協力の賜物です。本当にありがとうございました」
なんともしたり顔の警部。
それに釣られるように、捜査員一同の表情がほころぶ。そして大袈裟に称賛し合いだす。
この状況に納得できず、新婦が新婦席からスックと立ち上がり、
新婦「け、刑事さん! ひどい、ひどすぎます! わたしの恋人、いいえ、わたしの大切な夫の××××が何をしたというのですか!?」
新婦は捜査員一同に割って入ると、得意げに中折れ帽を脱いでは被りしている警部の正面に立ちはだかり、必死に食って掛かる。
警部は驚いたような顔をして新婦を見やるが、少し間をおいて、
警部「知りたいですか?」
新婦「当たり前です!」
新婦は怒りを露わにしながら言い切る。「わたしの××××が何をしたっていうんですか!?」
警部「分かりました」
警部はそういうと和らいだ表情を一旦持ち直し、少し緊張した面持ちになる。「お答えしましょう」
警部のその一種独特の異様な雰囲気に飲まれ、新婦、捜査員、来賓、そして逃亡犯である新郎までもがゴクリと喉を鳴らす。
警部「あなたのご亭主は重大な窃盗の容疑で指名手配中なのです」
新婦「窃盗犯? ドロボウ……なのですか? そんな……、わたしの××××はそんなことはしていない、していないはずです」
新婦は必死になり、幾分か声が大きくなる。
新婦「それに、彼が何を盗んだというのですか!?」
新婦は両の手をがっちりと胸の前で合わせ、警部を見つめる。
しかし警部は意を決した表情で彼女を睨むと、マイク片手に宴席に向き直り喉の奥から魂のこもった声で言い放った。
警部「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。……あなたの心です(※もちろん口パク。某音源より)」
警部、優しい笑顔で彼女を見る。
新婦「はい……」
にこやかになる新婦。
その声とともに、
一同「おめでとーっ!!」
捜査員に扮した友人達が、持ち寄ったバズーカ型のクラッカーを一斉に撃ち鳴らす。
○盛り上がった雰囲気そのままに、祝い用の歌に入る。
(おわり)
原案 ジェイのすけ
監督 魔狩君
当時、この寸劇はかなり好評でした。
が、しかし、これ以外の黒歴史的なものも存在したりします。
そうやって失敗を繰り返してみるもの勉強になります。
●黒歴史の創り方。
1.ディープな趣味に走る。
2.のど自慢、力自慢、筋肉自慢などのネタをメインに持ってくる。
3.お下劣。
4.内輪ネタ。
5.力技。
6.こり過ぎ。
など、現在TV番組でやっているようなものは、黒歴史の素になる可能性大。
もし、これをたまたま読んで演ってみたいと思った貴方。
どうぞ演ってみてください。
どんな結果になるか……は、あなた方次第です。