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メイドの気持ち☆メイド視点☆

☆メイド目線☆






 やっほー! 私、メイド。って、本名はメイドなわけないんだけどね。パオロ様からはいつも「メイド」って呼ばれている。本当はミョージャって名前があるんですけれどね。はいはい、誰も私の名前に興味なんかないわよね。


 さて、今日私は「コカトリス」とかいう空を飛ぶ魔物に襲われた。めちゃめちゃ怖かったし、めちゃめちゃ痛かった。だけど、軽い怪我で済んだ。どうしてかというと、騎士道精神に溢れた立派なイイ男に助けてもらったから。それは他でもない、パオロ・バレンシア様。


 あの時のどきどきは今でも忘れません。あの時のパオロ様、カッコよかったな。強いとか優秀だとかっていう噂は聞いていたけれど、まさかあそこまで剣を使いこなせるなんて知らなかった。目にも止まらない速さであんな重い木刀をしならせて、「コカトリス」を撲殺した。後で調べてわかったんだけど、「コカトリス」は木刀で倒せるほど弱い魔物ではないらしい。そう考えると、いくらなんでも凄すぎる。推せる。確実に。




 パオロ様は私よりも歳下だけど、なんでも知ってて、とても頼りがいのあるクールな貴公子。将来的にはバレンシア家を背負わなければいけない存在だから、周囲からのプレッシャーも凄いだろうに、それをものともしない。メンタルが強い。




 今、パオロ様は15歳。私は19歳。私は13歳の時、田舎から出てきて、バレンシア家でメイドとして働かせてもらうことになった。最初はお屋敷がとても大きくて腰抜かしたし、田舎の兄妹たちに仕送りするために頑張らなきゃって、肩に力、入りすぎてた。プレッシャーに押し潰されそうだったんだよね。

 それでもそんな右も左も分からない私に、バレンシア夫妻は優しくしてくれた。分からないことはなんでも教えてくれたし、奥様は私の母親がわりになってくれた。




 そこで、私がお世話したり、遊び相手になったのが、パオロ様。正直なところ、最初はとっつきにくい印象だったけれど、話してみたらとても優しくて、可愛くて、カッコよかった。頭もいいしね。




 私はそんなパオロ様に、なんとも言えない不思議な気持ちを抱いていたんだ。その気持ちがなんなのか、ずっとわからなかった。わからないまま、パオロ様と私は6年間、一緒に過ごした。




 でも、魔物から助けてもらって、嬉しくてたまらなくて、つい抱きついてしまった。きっと、それがパオロ様に対する、私の気持ちなんだと思う。おこがましいよね。だって、バレンシア家は大昔からギルバート皇帝一族に仕える騎士の家庭。一方で私は、ただの平民。だからこの気持ちは、胸にしまっておく。




 ただひとつだけワガママを言わせてもらえるなら、一度でいいから、パオロ様から「メイド」じゃなくて、「ミョージャ」って。ちゃんと名前で呼んでほしいな。




 あ、そうだ。最後に。なんか最近、パオロ様の様子がなんとなく変わった気がする。クールはクールなんだけど、どことなく作られたクールというか、クールの皮を被ったひょうきん者って感じがする。って、んなわけないか! 私の気のせいに決まってるよね! 最近肩こりとかも凄いし、疲れてんのかな。たまにはゆっくりしーようっと。

 


まったねー♪

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