久々の攻撃
あれから、ニエベスからの攻撃はピタッと止まった。やっぱりギルバート帝国とニエベス王国じゃ、何においてもレベルが違いすぎるよな。
「洋平さん、もうニエベスは攻めてこないんじゃないですかぁ?」
「うん、そうかもしれない。でも、万が一ということが…って、なんでミョージャがいるんだよ!?」
「え、今さら何言ってんですか! 私達ずっと一緒だって、約束したばっかりじゃないですかっ!」
忘れたんですかと言わんばかりに、ミョージャは相変わらずの可愛い顔で俺を睨む。
「だからって、ここは戦場だぞ!」
「え、だからですよ。怪我したら私が傷を治してあげます」
「そんな甘いもんじゃねえんだよ!」
「まあ、いいじゃねえかよ師団長!」
カリカリしていると、背後からそんな声がした。ハドソンだった。
「この娘がいるおかげで、奴らもやる気出るみたいだぜ」
そう言ってハドソンは親指で自分の後ろの方を指した。師団のみんながこれまた相変わらずの大歓声を浴びていた。
「おい野郎ども! そうだろうが!」
「うおお!」
戦場だというのに、師団のみんなは大盛り上がりだ。やれやれ、仕方ないな。まあ、士気が上がるんならいいけど。でも、大事な時になったらちゃんと守れるかな。いや、守れるかなじゃダメだ。絶対に守ってみせる。
俺とハドソンは例の「決闘」以来、仲良くなった。まさかあんな奴と仲良くなるとは思ってもみなかったが、いざ話してみると結構いい人だった。毎日、修練の後はハドソンに稽古をつけてもらう。ただ、2人の実力がデットヒートしすぎて時には決闘と間違われることもある。そんな時には腕を組んで仲良しアピールをするのだ。これはハドソンが考えた作戦である。何が言いたいかとうと、俺とハドソンは仲良しだということだ。
「ミョージャ、危険になったらちゃんと逃げるんだぞ」
「嫌です! 絶対嫌! 2人で戦いましょう! 奴らに見せつけてやるんです! 『愛は勝つ』ということを!」
大きな声で言うもんだから、再び仲間の騎士達から囃し立てる声がする。そのせいでミョージャはさらに調子に乗る。ある意味、悪循環だ。本当に。無理だから。やめてね、戦うなんて。ちゃんと止められる自信はまったくなかった。
「おい! あれはなんだ!」
話しているうちに、仲間の1人が叫んだ。
「お、おい! 一回静かにしろ!」
みんなを静かにさせ、じっと目を凝らす。すると、遠くの方から光の球のようなものが聞こえた。久しぶりに敵からの攻撃だ。よし、迎え撃つぞ。俺は犠牲者が出ないうちに攻撃を迎撃するため、アクアミスリルをかざした。
「覚醒アクアソード!」




