表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/77

転職!?

 それからしばらくの間、屋敷での生活が続いた。皇帝から処分が下されるまで、「外出禁止令」が発せられたからだ。これじゃあただの引きこもりニート生活の豪華版じゃん。トホホ。

 ただ、ひとつ。今までと違うのは、1人じゃないということだ。以前の引きこもりの時はカップラーメンのゴミの山がいくつもある狭い部屋に1人きりだったが、今は違う。ソーナとアロンゾとミョージャがいる。

 今、バレンシア家には一時的に当主がいない状態なので、便宜上はソーナを臨時当主とした。もっとも、事務的な仕事は内緒で俺がやっており、出かける用事のある仕事の時だけはソーナに頼んだ。最初は不慣れでビクビクしていたが、今では「臨時当主」の地位が様になっている。

 アロンゾには、魔法や剣術や勉強など、俺が今までギルバート帝国学院で学んだことを教えている。もちろん、「アクアミスリル」は皇帝に返上するため、剣庫に閉まってある。そのため、アロンゾとの修練において用いたことはない。それに、アロンゾは剣術科ではなく、魔法科に行きたいらしい。我が家が騎士にはなれなくなったので当然といえば当然だが、学ぶ意欲があることは素晴らしい。

 ミョージャとは、時期を見て婚約したいと思っている。「時期を見て」というのは俺の処遇が決まって、色々なことが落ち着いてきたら、という意味だ。これはまだミョージャと具体的に話し合っているわけではないが、楽しみだ。

 俺はアロンゾとミョージャと遊ぶ時間や、ミョージャと2人きりの時間が大好きだ。まあ、ミョージャが大好きなのである。


 シュミートは騎士団への入団が決まった。ブルーナも騎士団への入団が決まった。驚くべきことに、同じ騎士団だった。宮殿を直接警護したり、有事の際には闘う、エリート騎士団である。やはり、あの過酷な「決闘」や「魔物サバイバル」を生き抜いただけのことはある。それらが評価されてのことに違いない。まあ、少しだけ羨ましいが、仕方のないことだ。



 ある時、宮殿に呼び出された。ついに、俺の「処分」が決まったようだ。いつものようにカバジ・ジャコフに案内され、俺は例の部屋に向かった。



「パオロ・バレンシア君。君にはここを離れてもらおう。首都半径10キロメートル圏に魔膜を張る。これで君には首都圏には入れない」




「あの…。職業は」




「ああ、何でもよい。ただし『騎士』にはもうなれない。わかるね?」



「はい…」



「よし」



 ギルバート15世は立ち上がり、俺が持っているアクアミスリルを受け取りにきた。逆らいたい気持ちはやまやまだが、やむを得ない。素直に差し出す。



「これが、アクアミスリル」



 ギルバート15世は噛み締めるように言った。その瞬間だった。宮殿の何処かで大きな、それも連続した爆発音が鳴り響いた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ