コラボ技で打倒ドラゴン
声のする方へ行って見ると、やっぱりそこにはブルーナがいた。が、ブルーナは剣を持っていなかった。そして全体的に傷だらけで、額から出血していた。そして恐怖に引き攣った顔で何かを見ている。目線の先にはドラゴンがいた。ドラゴンの胸には、ブルーナのであろう剣が刺さったままになっている。凄い。ブルーナはやっぱり、剣の達人だ。普通のドラゴンだったならば、身体のあんな部分にまともに剣が刺さったら、ひとたまりもなかっだだろう。恐らく倒せていたはずだ。ただ今回のドラゴンは普通ではなかったということである。
「ひ、ひぃぃぃ!」
「待つんだ! ブルーナ、そこから動くな!」
マルイは果敢にも、ドラゴンから気づかれるような位置に移動しながら叫んだ。マルイの言葉から、方言が消えている。
「先生!」
「俺がきたからには大丈夫だ!」
「せ、先生…!」
ブルーナの目には期待の色が浮かんでいた。それにしても、酷い傷だ。これでまともに立っていられるのが不思議なくらいだ。
「ライトニングシャワー!」
マルイがそう叫ぶと、俺達の周りに雲が集まり、無数の雷が、それこそシャワーのように大地へと降り注いだ。ドラゴンは素早く避けるが、雷の数が多すぎて、すべて避けきることはできなかった。
「す、すごい! 命中ですぞ! やりましたな!」
歓喜の声を上げるシュミート。しかし「ライトニングシャワー」を使ったマルイ本人は依然として険しい表情を浮かべていた。
「やっぱり。こんな攻撃じゃびくともしねえ」
マルイの言う通り、ドラゴンには若干のダメージしかなかったようだ。いやそれにしたって、ダメージを与えられただけ凄い。
そうだ…! マルイが「雷」の技を使えるということは、俺の究極奥義「覚醒アクアソード」と絡めて攻撃すれば、ドラゴンへのダメージは倍増するかもしれない。よし、マルイに提案してみよう!
「先生! 俺の『覚醒アクアソード』は水が出ます! それで一緒に攻撃しましょう!」
「なんだ、そのふざけた名前のソードは。お前の剣のことか?」
マルイは、ドラゴンから目を離さずに言った。マルイまで「ふざけた名前」とか言いやがった。チキショウ! って、今はそんなことを気にしている場合ではない。もっと言うと、「覚醒アクアソード」の特徴をマルイに説明している時間はない。ドラゴンは早くもダメージを回復し、マルイに迫ってきている。
俺がマルイの「ライトニングシャワー」にあわせて「覚醒アクアソード」を撃つしかない。
「先生! さっきの技をもう一度やってください!」
「あ、ああ。言われなくてもそのつもりだ!」
マルイは再びドラゴンに向けて、「ライトニングシャワー」を繰り出した。無数の雷が再びドラゴンを襲う。今だ!
「覚醒アクアソード!」
アクアミスリルから出た水の分身は、ドラゴンに命中する雷のうちひとつとうまく絡み合い、さっきよりも大きな音を立て、ドラゴンに命中した。ドラゴンは苦しそうに唸り声をあげる。さっきよりも効いている…!
「パオロ! お前それすげえべよ!」
マルイの顔がぱあっと明るくなった。




