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緊急事態発生

 この「アクアミスリル」があれば、俺は無敵だ。スライムでもオークでもドラゴンでもデーモンでも、なんでも来いってんだ! もちろん、油断は禁物ではあるけれど。

 また少し歩くと、今度はある程度近くから、グシャッという不気味な音が聞こえてきた。そしてその音がした場所から、大きな生き物がどこかへ飛んでいった。あれはドラゴンだ!


 おいおい、ドラゴンがいるのかよ。ドラゴンなんて学生が倒せる魔物じゃないだろ。俺でも倒せるかわからないし。うん、まあ、倒せるけど。それにしてもあの音だと誰かが確実に頭を割られてるな。即死だったに違いない。あまゆに痛ましい。普通に生きていたら聞くことのない音。トラウマになってしまうような悲惨な音だ。

 このジャングルに少なくとも一体はドラゴンがいるというわけだ。早く俺が捕まえて倒さないと、次々と仲間達が犠牲になることになる。それだけは何としても避けたい。



「ウワァァ!」



あ! いきなり目の前にオーガ出現。これもまた懐かしい。天国の親父との思い出が鮮明に蘇ってくる。ありがとう、オーガ。でも、死んでもらうよ。



「ウワァァ!」



 面白いことに、オーガもそれしかいない。鈍器のような物を振り回しながら俺に向かってくる。まあ、こいつには「覚醒アクアソード」を使うまでもないな。



「はっ!」



「ウワァ!」



 あれれー。ガードしただけなのに。オーガは反動で吹っ飛んだ。



「ギィ!」



「ん?」



 後ろを振り向くと、リザードマンがいた。やべ。ハサミ打ちは卑怯だろ。でも、俺の反射神経を舐めるなよ? 俺はオーガの振り回す鈍器から逃げながら、リザードマンの方へと走っていった。

 ギリギリでサッと身を交わし、リザードマンの爪とオーガの鈍器とがお互いを攻撃した。あららー、お二方は同士討ちになり、バタンとその場に倒れた。はい、いっちょあがり。

 もう、「覚醒アクアソード」使わせてくれよ、と思ったがこんな奴らに使うのももったいない。俺はまた歩き出した。

 日が照ってきた。きっと時間は大体真昼くらいだろう。



「あ、パオロ君!」



 どこからか、シュミートが飛び出してきた。そして、俺の元に走ってきたかと思うと、思い切り俺を抱きしめた。



「パオロ君、無事でよかった…!」



「なんだよ、よせよ気持ち悪い。まだ昼だぞ? 死ぬわけなんてないじゃないか」



 俺の言葉に、シュミートは静かに首を横に振った。



「ドラゴンが暴れてます。僕は…。僕はッ…! 仲間の死体を20人分は見ました…」



「に、20人!?」



 シュミート頷いた。そしてシュミートは、泣いている。その時初めて俺は、事の重大さに気づいたのだった。



ー続くー

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