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謎の死

 会議室を後にしようとすると、俺のことを呼び止める者があった。それはドーニャだった。

あー、びっくらこいた。心臓止まるかと思ったんですけど。



「お待ちください! パオロ・バレンシア」



「いかがなさいましたか、ドーニャ」



「ちょっとわたくし、貴方にお話がありますの…!」




 こうして俺は1人バルドナード邸に残り、別室に案内され、ドーニャと2人きりで話をすることになった。ヤバい、物凄く緊張する。

 席に着くと、ドーニャはじっと俺の目を見つめ始めた。俺の鼓動は高鳴る一方である。ドーニャのあまりの美しさに、俺は彼女の方に視線をやることすら、なかなかできなかった。




「わたくし、ひと目見た時から、貴方に恋しておりますの」



 さらりと言ってのけた。えええ!? 何言ってるんですかいきなり!? 40のオッサン、いきなりそんなこと言われたら困っちゃうんですけど!




「言いたいことが言えてよかったですわ、時間を取らせてしまってごめんあそばせ」




 ドーニャとの面談は、これだけで終わり、俺はカバジ・ジャコフに追い出されるように、バルドナード邸の出口まできていた。ロベルトはひと足先に帰ってしまったようである。



「しばらくお会いできなくなるのが残念です。パオロ・バレンシア様」



 ん? 何を言い出すんだ、このジジイ。このジジイもさっきの場にいたよな? 話聞いてなかったのか? ははーん。さては、居眠りこいてやがったんだな、ったく、引退させろこんなジジイ。ボケてんだろうが。





「フォッフォッ。聞き捨てなりませんな。パオロ・バレンシア様。わたくしは居眠りもしておりませんし、ボケてもおりませんので、引退は致しませぬ」




 そう言って、不適な笑みを浮かべるカバジ・ジャコフ。おいおい、マジか。このジジイ、人の心を読んでやがる。只者じゃねーな。

 カバジ・ジャコフ様、凄いっす! 尊敬するっす! なんつって。




「わたくしめなんかを尊敬することはございませぬぞ。さあ、お気をつけてお帰りなさいませ」




 俺との会話を強制終了させるかのように、カバジ・ジャコフは、地面に頭がくっつきそうになるくらい、深くお辞儀をした。身体が柔らかい。俺は、とりあえず帰るしかなくなった。


 明日またこのバルドナード邸に足を運ばなければならないと思うと、憂鬱だった。が、しかし、カバジ・ジャコフの言った通り、翌日、俺はバルドナード邸に行く必要がなくなった。

 ドーニャが首を吊って自殺したというので、それどころではなくなったのである。


 俺の頭は混乱し、脳内にクエスチョンマークがいくつも浮かんだ。いったいぜんたい、どういうことなんだろう。何が起こっているんだろう。



ー続くー

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