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いざ決勝戦

 二回戦のシュミート戦の後、俺はすぐさまミョージャに肩の怪我を手当てしてもらった。凄いことに、一緒で何もなかったかのように傷は綺麗さっぱり消え去った。

 さらに、体力も回復し、戦う前のような1番元気な状態に戻った。





「傷だけじゃなくて、体力も回復できるんだな」






「私にこんな能力があったなんて、不思議です」




「確かにな。突然覚醒する能力らしいからな」





「あ、でも!」



 ミョージャは恐る恐る俺の顔を見た。ん? いったいぜんたい、なんだってんだよ。俺の顔になんかついてるのか? それとも、イケメン貴公子から40歳引きニートオッサンに戻っちまってるか? って、それはねーか。ははは。




「なんだ? 何か、思い当たることでもあるのか?」




「あの、私がメイドとしてバレンシア家にお仕えさせていただくことになって、まだはじめの頃、一緒に木登りして遊んだのを覚えてますか?」



「いや、悪い。覚えていない」




 当たり前ですよねー。だってその頃の俺、中学受験の勉強してる頃ですもん。異世界のことは知りません、はい。




「そ、そうですよね、昔のことですもんね。失礼致しました!」




「いや、いい。続けてくれ。それがどうかしたのか?」




「お話しても、いいですか?」




「ああ」



 ミュージャは自信なさげだったが、やがて軽く深呼吸すると、話を始めた。




「その時に、パオロ様が木から滑って、頭から落っこちなさったんです。ヤバいと思って私が駆けつけた時は、今にして思うと、意識不明の重体でした。私はどうしたらいいか、泣きながらパオロ様の頭を揺すったら、パオロ様は何事もなかったかのように起き上がりました」




「そ、それで」




「結局どこもお怪我はなかったみたいで、パオロ様は、私が大袈裟だと、揶揄われなさいました」




「ふうん。俺は悪ガキだったんだな」




「そういう話じゃありません! ちゃんと聞いてくださいよ〜!」




「やーだね」




「んもう! パオロ様!」




 ミョージャが可愛すぎてふざけてしまったが、さもありなんという話だ。もっとも、そんなに昔の話じゃ、記憶違いということもあるが。



 さて、「決闘」に話を戻そう。二回戦は男子部門、女子部門ともに、死人が出なかった。一回戦に死人が2人も出たことが原因か、みんな、負けそうになったらすぐギブアップする。ルイスの対戦相手であるジンケードなんか、「始め」の合図の瞬間に降参して、マルイに睨まれたほどだ。あの時のマルイの表情ほど、面白いものはない。でもまあ、俺も早めの降参は賢明な判断だと思う。決してジンケードが腰抜けだとは思わない。自衛は大切。


 そして準決勝。こちらは、俺にとっては二回戦よりも楽勝で、「覚醒ジェットストリーム」を使うまでもなく、相手を瞬殺した。殺してないけど。それでルイスの方は、今度は不戦勝。


 女子部門の方はいい戦いをして、優勝まで決まった。こちらの方は死人は最後まで1人も出なかった。優勝者のブルーナはかなりの切れ物だと、個人的に感じた。多分、シュミートあたりと戦っても圧勝できるほどの実力を持っている。攻撃もスピードも戦術も、付随魔法も何もかも申し分なかった。

 女子部門が終わると、遂に男子部門の決勝戦。すなわち、パオロ対ルイス。本家VS分家のガチガチの殺し合いが繰り広げられることになるのだ。







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