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勝負の行方

 キンカー、ルイスの2人の激突を制したのは、ルイスだった。キンカーは例によって壁まで 吹き飛ばされた。竜巻きを纏っていた分、吹っ飛ぶスピードが今までよりも数倍速かった。




「キンカー!」




 いくら呼んでも、キンカーはもう2度と、起き上がることはなかった。





「ルイスの勝ちだべ」




 非常にもマルイは判定を下す。でも心なしからマルイの声も少し、上ずっていた。

 聖女がキンカーの元へ駆け寄る。倒れているキンカーの元へ屈み、日本でいうところの医者のように、触ったり、心臓の音を聞こうとしたり、キンカーの体を調べる。やがて立ち上がると、神妙な面持ちで首を横に振った。




「キンカー! 嘘だろ、キンカー! キンカー! お前、言ったよな! 2度と俺の悲しむ顔見たくないって! 約束破るなんてサイテーだぞ!」




 俺はキンカーの元へ走って行こうとした。しかし、マルイに止められた。




「パオロ、落ち着け」




「離してくれよ! おい、先生! 先生もなんとも思わねえのかよ! 教え子が死んでるんだぞ! 先生! 先生!」



 マルイは言わない。次の瞬間見物客の中から、1人の女性の悲鳴が聞こえた。それはミュージャだった。あいつ、今頃着きやがって。でも無念だろうな。仲良かったし。まだまだキンカーと話したかっただろうな、遊びたかっただろうな。




「待ってください! 私には治癒能力があるんです! 治癒能力です! 覚醒治癒能力なんです!」



 泣き叫びながら観衆の中から飛び出し、キンカーの元へ走って行こうとするミョージャを、またもやマルイは止めた。




「誰だか知らんがやめろ。いくら覚醒治癒能力でも、命までは戻らないんだべ」



「そ、そんな…」



 ミョージャは、職員に抱えられ、退場させられた。

その時、職員の1人に、ルイスがボソッと呟いたのを、俺は見逃さなさった。




「おい、このくたばってるやつ始末しとけよ。邪魔だよ」




「は、はい!」



 おい、ルイス、てめえ、今なんつった? てめえには人の心ってモンがねえのか?



 あー、わかったよ、ルイス。決めた。主人公の俺が絶対にお前をぶち殺すまでは、この感情は大事に取っておくよ。

 決勝戦まで俺はルイスと当たらない。それまでこの感情は、胸にしまってやる。そして、ルイス。お前との対戦の時に、爆発させてやる。



 ちなみにその後、俺は初戦突破した。しかも余裕で。よかったことは、相手が怖気付いて降参してくれたことだった。よかった。人殺しにならなくて。俺のせいで人が死んだなんてことになったら、絶対にトラウマになるからな。


 2回戦と、準決勝をやったら、ようやく次は決勝。それを1日でこなすのは、なかなかのハードスケジュールだ。まあ、俺は最強だから余裕だけど。


 待ってろ、ルイス。やってやるからな。

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