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幼少期

☆現実世界の俺☆





 実は、俺は転生前。ニートで尚且つ、家からほとんど出ることのない、いわゆる「引きニート」というやつだった。って、実はでもなんでもなく、周知の事実か。まあいい。

 働かない、バイトもしないでカップラーメンのゴミが散乱した不潔な部屋にこもり、ひたすらアニメやゲームを観る生活。そして、しょっちゅう父親とは衝突していた。40歳にもなって社会経験もほとんどなく、家族から厄介者扱いされていた。


 そんな俺でも実は、小さな頃は「神童」と呼ばれていた。小学生時代からほとんど勉強なんてしなくたって、テストでは常に満点。成績優秀。親父はそんな俺の才能を見込んで、小学生が通うには遠いが、日本で1番有名な塾の入塾テストを俺に受けさせた。

 全国から選りすぐりの「神童」たちが受験しにくるテスト。受かる人数はそれほど多くないにもかかわらず、そんな中、俺は簡単に入塾することができた。その時は正直、最高に気分がよかった。俺ツエーってやつ。


 ところが、地獄はその先だった。毎日学校が終わると母親が校門の前に車をつけて待っており、俺は友達と遊ぶことはおろか、一緒に帰ることすら許されなかった。今思い出しても悲しくなる。


 寂しかった。俺は次第に周囲から孤立していった。それでも、塾の宿題もやらなくてはいけなかったし、電車で1時間近くかけて通塾し続けたおかげで、俺はいわゆる私立御三家と言われる中学校のうち、日本で1番の進学校とも評される、とある都内の中学に入った。今の世界でいうと、ギルバート帝国学院みたいなもんかな。



 我ながらにしてあっぱれと思ったし、死ぬほど頑張った甲斐があったと思った。ただ、地元の友達と離れ離れになるのが正直言って、嫌だった。でも俺に選択権などなかった。


 親父もおふくろも、俺の中学受験成功を喜んでくれたし、その先の頑張りを期待してくれた。

 両親は俺が優秀なことがよっぽど嬉しかったらしく、俺のことを近所中に自慢しまくった。さらにそれだけでは飽き足らず、親戚にも、疎まれるほど自慢しまくった。その時点で俺も満更ではなかった。


 しかしながら、俺が単なる井の中の蛙だということがわかったのは、入学してからのことだった。

 毎週小テストがあり、しかもいちいちそれがクラス内で順位づけされる。俺は毎回死ぬほど勉強したが、全て最下位だったし、中間試験や期末試験も毎回赤点だった。


 そんな俺を、やがて同級生たちは白い目で見始めた。最初の方は話してくれた友達も話してくれなくなり、俺は中学でも孤立してしまった。


 同級生からだけではない。あんなに俺を褒めてくれていた両親までもが、俺に冷たくなり始めた。結局、両親は俺を愛していたのではなく、他人に自慢するネタとして重宝していたに過ぎないのだ。


 でも、そんなことを考える暇もなく、テストは押し寄せてくる。必死に食らいついても、毎回最下位。赤点。


 相談できる相手もおらず、ついに俺は不登校になり、引きこもりにもなった。

 不登校になった時は両親、特に親父とは死ぬほど衝突した。心配したご近所さんに警察呼ばれたこともあったっけ。


 それでも、俺がてこでも動かないことがわかると、両親は俺に興味を失ったように、何も言ってこなくなった。 一応、就活はした。就活といっても、ハローワークに足を踏み入れただけで厳密には何もしていない。面接の練習もしたことがあるが、考えただけで嫌になるのですぐにやめた。俺はかなり精神的に弱っていた気がする。

 でも、そうじゃないかも知れなかった。「精神的に」と、いつも自分自身に言い訳をして、挑戦することを恐れていたのかもしれない。わからないが、とにかく、俺はその後何もしなかった。そのまま、ただただ年月だけが過ぎていった。そのまんま、40歳になるまでに至る。

 以上。俺の身の上話は終わり。悲惨だろ。つまんないだろ。



 結局のところ、結論は何なのかっていうと、周囲のプレッシャーに負けずに打ち勝ってきた、パオロは凄すぎるってことです、はい。


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