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悪魔の林に眠るもの2

使用お題「林」

「『悪魔の書』ねぇ」

 本橋と浅間の会話を伝えると、用務員に扮していた渡部がつまらなさそうにそう呟く。

「捕まった少年も言ってましたよね。『悪魔』って」

 古賀と渡部がこの『明の里学園』で教師と校務員をしているのは、傷害事件で刃物を持ちだした少年から薬物反応が出たからだった。明の里学園に通っていたその少年は、刃物を持ちだした際、『悪魔がいるから刺した』と口走った。

「とりあえず、昼間 敷地内にある林の中で大麻が自生している場所を発見した。そっちは、この学校の理事長にも報告済みだ。ただ、その大麻の中には何本か刈り取られた跡があった」

「誰かが大麻の存在に気づいて利用してた、って事ですよね」

 大麻は乾燥させたものを燃やして煙を吸う他、すりつぶして固めたり、葉や樹脂から成分を抽出してオイルにしたりといった利用法がある。手軽なものは乾燥大麻だが、『書』となるとすりつぶして固めたものか抽出したオイルを浸して乾燥させたものだろう。

「だな。手っ取り早く加工場所なんかが見つかると楽なんだが・・・」

 そこまで言いかけて、渡部は足を止める。

「?」

 古賀が立ち止まった渡部の目線を追うと、そこでは林のそばに立っているプレハブ小屋の鍵を浅間が開けているところだった。

「なるほどな。あのストラップがセンサーになってた、ってわけか」

「女子は鞠。男子は麻ですか。両方とも、古来の日本では神事に使われたものですね」

 もっとも、麻の方は今でも多くの神事で使われている。それ故、今でも特定の目的に限って栽培が許可されており、時には庭に自生することもあるという。おそらく、今回の大麻もたまたま自生していた類のものだろう。問題は、誰がそれを仕掛けたか、だ。

「聞いてみるか。あの生徒、浅間っていったっけ」

「はい」

 相棒の言葉にそう頷くと、古賀は息を潜めてプレハブ小屋の様子を窺った。



つづく


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