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ただの社畜が異世界の神になる話  作者: かみこ
第一章 神になった男
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第三話 いーえ

目が滑るのを防ぐため ちょっと行の感覚を空けるようにしました より深くこの物語を楽しんでいただけると嬉しいです

「は?、神様、、??」


意味が分からなかった


地震が起きて次目覚めれば 『神様』に任命される が訳が分からない


「そうそう神様カミサマ、聞いたことくらいあるでしょう?人を助けたり、天候や天災を司ったりしてる、あの神様」


「待ってくれ、意味が分からない、いきなりそんなことを言われても困る、元の場所へ返してくれ」


少女に自分のありのままの想いを明かす 泣き言やわがままととってもらっても構わないと思っていた


「いやいや、多分そっちの世界に行こうとしても、もう無理だと思うよ?地震で全部崩れてるから、さっきの痛い思いを延々と繰り返すことになるよ?」


あの地獄の苦痛を 延々と味わう 思い出すだけでのたうち回ってしまいそうなあの痛みを


自分がどんな状況に置かれているのか 置かされているのか 理解するのに そう時間はかからなかった


ここは泣き言やわがままなど通らない 理不尽な世界で 自分はその世界の神様であるということに


「、、随分と絶望的な顔をするね、罪悪感湧いてきちゃうよ、」


よっこらせ、と声を出しながら少女が立ち上がる

身長は160もないくらいだろうか

上には黒いキャミソールに白衣のような服をはおり 袖口は何重にも捲られている

ズボンはホットパンツのような革製の茶色いズボン


その格好は自分をお姉さんに魅せようとするただの小さい女の子だ サイズの合っていないメガネがまたそれを引き立たせる


また最も目立つのは やはり白みがかった青色の頭髪だった


異世界というだけあって 恐らく俺が元々いた世界とは常識が違うのだろう


そして 自分は今 そんな世界の神様だ


さらに 1つの疑問にたどり着く


「さっき『魔力』って言ってたよな、てことはこの世界には『魔法』、、とかがあるのか?」


「あ〜、まだ説明してなかったねぇ、、結論から言うと、あるよ!ただし、個人差が激しすぎて、魔力が弱い人が差別されやすい風潮があるk」


「本当か!ならその力を使って!」


「人の言葉を遮ってまでそんなに熱くならないでくれたまえよ、あと、どーせ魔力を使って元の世界に無事に帰ろうとしたんだろうけど、私のように誰かを移動させることはできるけど、自分が移動することは出来ないよ」


思考を先読みされる 確かに全く同じことを期待していた しかし その熱論と野望は あっという間に打ち砕かれてしまった


「気持ちは分かるし、こっちの都合で呼び出しちゃって悪いとも思ってる、でも、あのまま死んでしまうよりは良いと思う、、なんてのは当てつけかな」


確かに言っていることは的を射てはいる だが 倫理観や人生の価値観が全てひっくり返される感覚からは 未だに逃げきれない 頭が混濁して 思考が停止してしまう


「なぜ、、俺なんだ?目的は、、なんだ?」


簡単な質問しか見つからず 頭の整理もつかないままに少女に聞いた 自分より年下の少女に縋るという情けなさやふがいなさに近い感情があった


「それは、、、君の゛器゛が広かったからよ」


「悪いな、その言葉は前の世界じゃ性格が良い奴に使う言葉なんだよ」


出た言葉は嫌味 俺は果たしてその嫌味を誰にぶつけているのか


誰にぶつけることができようか


「そうか、混乱させてすまないね、゛器゛ってのは魔力が入る上限量のことなんだ、世界がちがっても多少の共通点があって、多分君たちの世界にも魔力はあって、発現しにくいだけなんじゃないかな」


『魔力が入る上限量が高いから』


そんな理由で


天災を逃れ


生き延び


神になった


「ただし、君の゛器゛は、、、」


少女が喋るのをやめる 俺の様子に気づいたからだ


俺は自分よりずっと幼い少女の前で


下を向き


手で顔を押さえ


自分の中でわだかまる想いと格闘し


ただ


ただ


号泣していた


自分だけ生きてしまった

社会から必要とされない俺が

自分だけ生きてしまった


泣くことしかできなかった


手のひらから涙がこぼれ落ちる 身体中の水分が無くなるような気分だ ヨレたワイシャツの袖口は涙でびしょ濡れになっており 重りを丸ごと飲み込んだかのような体の重さ 不快感に襲われる


そんな様子を見て 少女は


ただ横に 横にいてくれた


「君の゛器゛は、、空っぽだ、、希望などの明るい魔力も、絶望のような暗い魔力もない、ただ『無』だけだったんだ、、だからこそ、君は神様レベルの魔力を蓄えることができる」


「そんなの、、、理由になんてならない、、」


声にならない声で言う しかし 少女にはしっかりと届いていた


「もう後戻りはできないんだ、自分の為に生きられないのなら、神様として、誰かを救うことが、生き延びた理由にならない、、かな?」


励まされているのか


納得させられているのか


どちらにせよ 後戻りはできない


なら そんな理由も悪くないと そう思うことができた


「、、、悪いな」


カッコ悪い自分を隠すため 誤魔化すため

そんな言葉しか言えなかった


「いーえ」


少女は ずっと 横で目を瞑り 微笑んでいた


俺が 泣きやみ また眠るまで

1日に2話更新は疲れる

三話目にして最終回みたいな終わり方してるぅ

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