第十五話 決意
テスト終わりましたァ! 今年受験なので中々更新厳しいですが 今後ともよろしくお願いいたします!
「ベルクがまた、、、?」
脳裏に巨獣人の姿がよぎる 鎖の音や牙の恐ろしさがそのまま蘇ったかのように 恐怖がせりあがってくる
「知っているのか?」
エルが聞いてくる 頭の中でその質問に答えようという意志と 抑えきれない不安感が格闘する
言葉が 出ない
頭から思考が失われ カタカタと震え出す 手で自分の体を抱きかかえ 焦点がどこにも定まらない
「、、、アンナ、とりあえず状況の報告を続けてくれ、宰相は現場に直接向かってくれ」
はい、御意、と声が続く
俺は どうしたらいいだろうか 俺にも指示が欲しい 何でもいい その場でうずくまってろでも ベルクと戦えとかいう無茶でも今はいい
何か この不安を誤魔化す方法が欲しい
顔に伝わった血を思い出す 顔をさすったときに見た初めての自分の血を
「私はアンナと共に町の様子を見に行く、君は、どうする?」
「どうしたらいいんでしょう、、」
逃げ出せるのなら逃げ出したい
全てを放って投げ出したい
「俺に出来ることなんて、たかが知れてる」
そう口に出して 俯いた 何も できなくなった
「へぇ、、」
エルが呟く
『また』誰かに嫌われただろうか
自分は何もできないから
何もしてあげられないから
ただやれと言われたことをやることしか能がない
そんな人間だから
何度も
何度も何度も
俺は嫌われてきた
「゛削除されています゛くん、1つ教えてあげよう」
その声が聞こえると同時に 強引に顔を上へと引き上げられる 首を稼働させるように 思いっきり手で顔を掴まれ 意識せずともエルと目が合った
「人生生きてりゃ迷うことなんて星の数ほどある、その中で失敗しない選択をしようともがくが、生きるってことだ」
「俺は、、その選択を沢山誤ってきたんだ!!」
声に怒号が混じる 目からは涙が溢れそうになり 自分自身の不甲斐なさに泣いていることに気がついた
そんな俺に
エルは優しく声をかける
「君がどんな風に生きてきたなんて知らないし、知ろうともしない、ただ、今君は、絶対に迷っている、それは揺るがない事実だろう?」
何をしたらいいか分からない
でもいくつか答えの候補はある
逃げる
無謀にも戦う
町を守るために尽力する
迷っている 人生において当然だ
そう
当然
だから
今俺が 迷っていても
ーーーーそれは 当然だ
「いいかい、最後に聞くよ、君は、どうする?」
迷って迷って こんな世界にやってきた 特に意味もなく 今は目的に縋ることしかできない
「ウリンを、探したい」
だから だからこそ答えは 決まっていた
やってやるよという軽い怒り混じりの感情と ウリンを助けたいという水をかけられた焚き火のような感情が燻ったものが
混ざり
合わさり
今 決意へと姿を変えた
「、、どうやら大丈夫そうだね」
エルが優しく微笑み手を離す 俺は またこの人に助けられてしまった
「借りとか思わなくていいよ、何かしてあげたわけじゃないし、答えを出したのは紛れもない君自身だ」
思考を読まれて またハッとする
涙は消え 今は決意に満ちた勇気と微笑みが湧いてくる
「あぁ、それでも、ありがとう」
そう言うと エルがやれやれというように微笑み さいごに、と言いながら またこちらをキッと向いた
「胸を張れ、゛削除されています゛、君は君自身できちんと『意志』を持った。」
『意志』 聞き慣れているようで 意識したことは少ないかもしれない
「その『意志』さえ潰えなければ、目的は必ず叶う、その道中、どんなに辛いことがあってもな」
諦めるな 頑張れ といった抽象的な言葉よりも 断然その言葉は論理的であり 圧倒的な説得力があった
「だからその『意志』が叶うまで、抗い続けろ、君ならきっと大丈夫だ、私が保証しよう」
エルにそう言われると なんだか本当にできるような気がしてしまう
抗い続ける
抗い続けてやる
改めて決意を固め 深く深呼吸をして立ち上がる
身体中を酸素と血液が駆け巡り 心臓の鼓動が体を元気づけるかのように脈打つ
「さぁ行ってこい!また会う時には、ウリン様も一緒にな!」
エルがさいごにそう叫ぶと 世界が反転する 一瞬気を失ったかと思ったが 次の瞬間には城の赤いカーペットの上にいて 転移魔法の類と勝手に理解する
驚きは 消えた
見切り発車のスタートだ だがそれでも 大丈夫だという自信に満ち溢れていた
エルさん最高
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