第5話 母さんと父さんの日常を見てみた。
さてと、エルについてはどうにかなったな。…ということなのでレベルアップしたいし後4時間程ダラダラしよー。
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そろそろ4時間たったかな?
『ステータス』!
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Name:アルフ・リ・ニト
年齢:0歳
性別:男
職業:自宅警備員
固有スキル:合成Ⅰ(0/100) 成長率10倍
スキル:自堕落Ⅱ(0/30) 説明書
レベル:5(0/160)
HP:80
MP:160
SKP:10
Luk:1000
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おー。上がった上がった。これでレベル:5か。
次は16時間かー。なげぇー。
自堕落のランクを上げるにはレベル:9になるまでかかるかな?
それまでに必要な経験値は2400EXPだな。換算すると240時間。
俺の1日にダラダラできる時間は朝の9時〜夜の21時までの12時間。20日ぐらいかかるな。
まぁのんびり合成しながらいくか〜。一生懸命にやったら経験値の獲得できないしー。
今が16時くらいかな?後5時間はダラダラできるし、ベビーベッドでダラダラしよー。
エルー、ベビーベッドまで運んでくれー。
「あぅあー。」
「どうしたんじゃ、主?」
「あうあうあー。」
「ちょっと待つのじゃ。」
エルの額が俺の額に引っ付いた。少し暖かいな。
【主ー、これでいいのかぇ?】
【これでいいよー。早速だけど俺をベビーベッドまで運んでくれないかー。】
【分かったのじゃ!】
俺の両脇を掴まれベビーベッドまで運ばれる。
これでダラダラできる。
【これでいいのかぇ?】
【おけおけ。エルは適当にしてていいよー。】
【分かったのじゃ!】
さて…ダラダラしよー。
ダラダラ、ダラダラー。
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もう21時かー。時間が過ぎるのは早いなぁ。そろそろ寝るかー。お休みー。
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「ううあ。」
よく寝たわー。前世は学校の宿題とかが忙しくてあんまり寝れんかったしなー。今サイコー!
アレ?これはニートというものでは?名は体を表すと言うけどその通りになってきたな。
イヤ、そもそも俺って赤ちゃんだし、ダラダラしても普通だよな?そうに違いない。うん。
そういえばエルは俺が寝た後、どうしたんだろ?
「主、起きたのかぇ?我も起きたところじゃ。」
おぉう。普通に部屋のソファーで布団をかぶって寝てたわ。
「今日は何をするのじゃ?」
何もしないけど?ダラダラしないと経験値を獲得できないし。
「まさか何もしないとは言わないよのぅ?」
ギクッ!ダラダラッ!
「その様子を見る限り図星だったようじゃのぅ?今日は我が主を連れてこの城を見回るのじゃ!」
そんな殺生な!俺は胸がまな板のエルに抱っこされても嬉しくないぞ。どうやってダラダラしろと!
「さっ、主!行くのじゃ!」
「あぅあーー!!!」
俺はエルに抱っこされて初めて自分の部屋を出たが…何も感情なんて沸き上がらないな。
メイドはどうしたんだ?あっ、よく見ると俺達に手を振って見送ってるわ。へ、ヘルプミー!
「主、まずはこの城の中庭を見に行くのじゃ〜♪」
悪戯で中庭にある物を合成しまくっていいかな?
よく考えたら城の人達に迷惑かけれんわ。
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「ついたのじゃ!」
中庭には花が咲き乱れていた。ほぅ、綺麗だな。
「この花は星のように見えることから星花と呼ばれてるのじゃ。綺麗じゃのぅ。」
同感だ。だけどこれなら夜の方が綺麗だと思うな。
…デートスポットに良さそう。覚えとこ。
「次は騎士団の訓練場に行くかぇ?確か、今なら主の母君がいる頃じゃし。」
なんでそんなこと知ってんの?てかなんで庭のことも知ってたんだ?
「昨日の内にフランチェスカに聞いておいて良かったのじゃ!今の内に主の評価を上げようかのぅ?」
フランチェスカ?誰それ?
「さぁ行くのじゃ!」
教えてくれ〜。気になる〜。
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俺がフランチェスカという誰かについて考えてる内に騎士団の訓練場についていたようだ。
「あら?ニト来てくれたの?嬉しいわぁ〜!」
「主の母君。おはようなのじゃ!」
「エルちゃん、おはよう!」
母さん、騎士団の人達をほっといていいの?朝練してたんじゃないのか?
「王妃様〜!急にどうしたんですか〜!」
ほら来ちゃったじゃん。
全身鎧着てるから性別が分かりにくいけど全身鎧の胸の所が少し膨みがあるように作られてるし、声も高いから…多分女性かな?
「ごめんね〜。私の息子が来たからついね?」
「ついじゃありませんよ。騎士団の者達が驚いて手を止めてしまうんですよ。訓練に支障がでてます。すぐにお戻りください。」
だよね。いくら息子が来たからって途中で抜けだすのはいけないよな。ほら、母さんは戻って。
「分かったわよ〜。今行くから少し待って〜。」
「分かりました。少しだけですからね?」
「はいはい。」
すまん。騎士団の女性の人。訓練頑張って。
「さてと…ニト♪母さんのすごい所を特別に見せてあげるからね?見ててよ〜♪ふっふふーん♪」
母さんがステップをしながら騎士団の人達の所に向かうけどあんまりハメを外しちゃ駄目だよ?
「主の母君のすごい所とは面白そうじゃのぅ。」
「あぅーあ。」
そうだな。騎士団の人達は可哀想だけど。
「どうやら始まったようじゃ!」
どうやら母さんvs騎士団の人達で戦うようだ?
騎士団の人達が1人1人母さんに吹き飛ばされて地面にキスをしてるな。可哀想に。
母さんの戦い方は雷のようなのを全身に纏って、すさまじい速さで相手を両手剣で斬るようだ。
強い。多分アレでも本気は出してなさそうだか今の俺ではアレでも戦ったら死にそう。
どうやら騎士団の人達の中でまだ立っている人はさっき母さんを呼びに来た女性のようだ。
多分、騎士団の団長とかじゃないんだろうか?
騎士団の団長?は母さんの見えないような攻撃をタイミングよく盾でガードしながら反撃のチャンスを待っているようだ。
…母さんは痺れを切らしたのか両手剣を上段に構えて雷のようなものを両手剣に溜めていく。
騎士団の団長?がこれをチャンスと見たのか片手剣で母さんに斬りかかるが全て避けられる。
母さんの両手剣が目を開けにくいぐらいに光ると母さんは騎士団の団長?の目の前に移動し、上段に構えた両手剣を振り下ろす。
ちょっ、母さん!それはその人が死んじゃうよ!
粉塵が舞い終わった後、地面に大きな亀裂ができており騎士団の団長?がその亀裂の横で倒れていた。
死んでないよな?な?
騎士団の団長?の指が痙攣しているのを見る限りどうやら生きているようだ。
良かった。
「ニトー!母さんはすごいでしょー!」
母さんが手を振りながら走ってきた。
「あぅあ。」
「最後のはすごかったのぅ?殺さぬようにギリギリで寸止めしたのじゃ。流石は主の母君じゃ。」
「あう!」
「はぅっ!あぁん、もうかわゆすぎ!」
「はぅっ!主、かわゆいのじゃ〜!」
もうさ、諦めたよ。
「じゃなくて!ニト、お母さんはどうだった?」
「あぅあうあ!」
かっこいい!流石母さんだね。
「多分、かっこいいって言ってるのかしら?」
「あう!」
正解!だけどなんで分かったんだろ?
「ありがとうね。ニトも大きくなり次第、私が修行をつけてあげるね!SSランク以上まで強くなれるから頑張ろうね!」
「あ、あぅ?」
ちょっとそれは…。
「あらら?流石にそれは…イヤ?」
うっ、母さんそれはずるいよ。罪悪感が…。
「うふふ。冗談よ?ニトがイヤならそれでも私はいいわよ?だけど世の中、力が必要な時もあるから鍛えるのはいいことよ?考えておいてね?」
「あう?…あう!」
うん?…分かった!守りたい人だけでも守れるように頑張る!
「名残惜しいけど私は訓練に戻らなきゃ。」
「あぅぅ?」
「うぅ。バイバイ。」
「あうあう。」
バイバイ。頑張って母さん!
「それじゃ…エルちゃんよろしくね?」
「分かったのじゃー!」
母さんはエルに一言だけ言った後、騎士団の人達の所に戻って行った。
「さて、主!次は主の父君の所に行くとするのじゃ!いつも主の父君が何をしてるか気にならないかぇ?」
確かに!いつも父さんの親バカな所しか見たことがないから真面目モードの父さん見てみたい。
「あう!」
「それじゃ、行くとするのじゃ!」
俺とエルは訓練場を後にし、城の廊下を歩いて父さんの執務室に移動した。
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「失礼するのじゃ、主の父君!」
父さんは書類の山がある机で書類と格闘していた。
隣に大臣付きで。
「うん?ニトの護衛のえーっと…エルちゃんだっけ?どうしたんだ?」
「主と一緒に主の父君を見に来たのじゃ!」
「えっ!…ニトちゅあーん!お父さんだよー!」
父さんさっきまで王様っぽかったのに急に駄目な感じになっちゃったよ。…減点。
「あぅー。」
はぁー。やれやれ、これがなければ…。
「どうしたんでちゅかー?お父さんだよー?」
「主の父君。流石にキモいのじゃー。」
「そうですよ。流石にソレは…。」
「あうー。」
「3人ともそれって酷くないか?」
「全然じゃよ?」
「全然ですね。」
「あうあう?」
全然?
「そ、それよりもニト!父さんが普段、どんな仕事をしてるか見せてあげよう!こっちにおいで?」
あっ、話を逸らした。
まぁ父さんの仕事は気になるけどね?
「父さんはここで国民の困ってることが書かれた紙を読んでその解決方法を考えるんだ。」
へー、やっぱ父さんは王様っぽい仕事してるんだな。あんま驚きがないな。
「なんかニトの反応が薄いなぁ。父さん悲しっ!」
だってね?うん。アレだし。
「例えばな、今見てるこの紙には水害で困ってるって書いてあるんだけど…。
これを解決するならその水害に遭った場所の税を下げてある程度の支援をするとかな?」
ふむふむ…?
「そうすれば被害を受けた人達が苦しまずに済みやすいという感じですね。」
ほへぇー。そんな感じなんだ。しかも似たようなのが机いっぱいって…大変だな。
「こうやって父さんは国民を支えるんだ。」
「あぅー。」
「あれれ、ニトはそこまで興味ない?まぁ赤ちゃんにこんなこと言っても興味はないよな。」
「…でしょうね。」
だって興味なんてないしな。疲れそうだし。
「それじゃあ次の所に行くとするのじゃ!主もそれで良いかぇ?」
「あう!」
次行こうー。
「…というわけじゃ。主の父君、失礼したのじゃ。」
「ニトー、父さんを置いてかないでー!」
「ほら、今日の仕事の続きをしますよ。」
「イヤだー!ニトと話したいー!」
父さん…流石にそれは…。
「こうしている間にも国民が困ってるんですよ?さぁ早く仕事をしたください!」
「大臣ー。少しだけ、少しだけだからー!」
父さんさぁ、いくらなんでも…。
「駄目です!」
「うぅ。仕方ない。ニト、父さん頑張るよ。」
ふぁいとー!
「それじゃあ行くのじゃ!」
俺とエルは執務室を後にした。