第1話 転生?
ある日の夕方。
加賀 二兎は学校の帰り道を歩いていた。
誰もいない交差点を渡ろうとした二兎はふと後ろが気になり振り返った。
そこにいたのは…包丁を持った知らない女だった?
「…なんで包丁なんて持ってんの?」
「フフ。二兎くん私と一緒になりましょう?」
…あかん。コイツ人の話を聞かん奴やわ。どうしよ?
「ねぇ、二兎くん私のために…死んで?」
グサッ!
な、んで。
どうやら俺の心臓をひと突きだったようだ。俺は地面にひれ伏し、死が来るのを待つしかなくなった。
なんでこんなことをしたのか気になったし聞いてみようかな?
「なぁ、なんで俺を包丁で刺したんだ?俺、特に何もしてないと思うけど?」
ちょっと喋りにくいけど頑張って言った。
「なんでって。二兎くんのこと好きだからだよ?だから二兎くんと一緒になりたいの。」
駄目だな、この女。頭おかしいわ。
…まぁいいか。どうせ人はいつか死ぬんだし、それが少し早まっただけだ。今の人生でやりたかったことは次の人生の時にでもやってもらおうかな?
………そろそろか。両親や妹、友達に悪いが先に逝かせてもらうか。みんな幸せに過ごせよ?俺の分まで。
はぁ。せめて童貞だけでも卒業したかったな。
………そして二兎は一度死んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
二兎はどこまでも白い空間で目を覚ました。
「やぁやぁ、僕は転生神リンネだよ!輪廻転生を司るからリンネって呼ばれてるんだ!よろしく!」
周りを見てるとニコニコとしている美少年が現れた。
なんだコイツ?まぁ、なんでコイツが現れたかは大体予想できるけどな。
「なんで君がここにいるかって?そりゃあ、君の魂が何故か輪廻の輪から外れちゃったからだよ。そういうことだから君には2つの選択肢をあげる!
1つは僕が君の魂を消滅させる。
もう1つは異世界の輪廻の輪に君の魂を組み込む。
さぁどっちがいい?ちなみに異世界の輪廻の輪に君の魂を組み込むと君は転生することになるよ?流石にね可哀想だから特別なガチャを引かせてあげるから。」
ふむふむ。1つ目はまずありえないとして2つ目はいいな。異世界という言葉に俺はもうドキッドキッ。
「なら2つ目でよろしく!」
「じゃあ、早速だけどガチャ引いてね?このガチャは職業、生まれ、容姿、固有スキルの4つが順番に出てくるよ!普通だとこのままだけど今回は特別ね。
生まれは貴族以上で容姿も美形になりやすく固有スキルが2つ出てくるガチャだから。」
マジか!お得感があるな。嬉しすぎやな。
「じゃ!早速…ムムム…ほいっ!どうぞ引いてね。」
運命神が腕を組んで目を閉じると…ガチャガチャっていうよりもスロットマシーンが出てきた。
「それ、ガチャじゃなくてスロットじゃね?」
「そんな細かいことはいいの!ほらっ、早く!」
「はいはい。」
レバーを引いてボタンを左側から押す。
ガチャン!パチッパチッパチッパチッパチッ!
――――――――――
職業:自宅警備員
生まれ:王族―第3王子
容姿:美形―可愛い系
固有スキル:合成、成長率10倍
――――――――――
「へぇー、運がいいね!生まれは王族の第3王子だし容姿も美形の可愛い系、固有スキルの成長率10倍もなかなかにいい固有スキルだよ!」
「おい、待てコラァ!職業:自宅警備員ってあんまりじゃないか?絶対嫌なんだけど。」
「ま、まぁ大丈夫だよ?それよりさ、あっちの世界では『ステータス』ってのがあるから転生したら確認してみてね!健闘を祈るよ♪バッイバーイ!」
ちょっ、待っt…
俺の意識はそこで途切れた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おぎゃー!おぎゃー!」
「貴方生まれたわ!私達の子供が。」
「おおー顔立ちはお前ソックリだな!」
俺が目を開けると…金髪の巨乳な美女と金髪で細身の王冠っぽいのをかぶったイケメンがいた。
俺の父親と母親か?まぁ、これからよろしく頼む。
「名前はどうしましょう?」
「そうだな。…ニトはどうだ?」
おぉう。前世の名前じゃん。やめてくれー。ニとトの間を伸ばすとニートになっちまうyo!
「いいわね。ニト、私がお母さんですよ〜!」
「ニト、私がお父さんでちゅよ〜!」
おう、マミー。そこは否定してくれよ。後、父さん顔近すぎ。あっ、鼻毛発見!抜いちゃろ。えいっ!
「いてっ!こらニト、痛いじゃないか?」
「まぁまぁ。貴方、ニトも悪気があったわけじゃないんだから許してあげて。」
「うぅむ。仕方ないな。ニト、これからやっちゃ駄目だよ?さてとそろそろ寝かせてあげよう。」
「そうね。」
結局俺の名前はニトになった。
この後、俺は赤ちゃんを入れおくようなカゴに入れられた。近くにはメイド?が1人だけいる。メイド?のいる逆方向に寝返りをうつ。
さてと運命神はステータスがあるって言ってたな。どうすれば見れるんだ?声か?それとも考えることか?一応声出してみようかな?
「あうあう!…?」
そういえば俺って生まれたばかりだったわ。ならば…
『ステータス』!
――――――――――
Name:アルフ・リ・ニト
年齢:0歳
性別:男
職業:自宅警備員
固有スキル:合成I(0/100) 成長率10倍
スキル:自堕落I(0/15) 説明書
レベル:1(0/10)
HP:5
MP:10
SKP:5
Luk:1000
――――――――――
おっ!なんか透明なプレートが出てきたぞ?触ってみるか?…うわっ!
自宅警備員
レベル:1でスキル自堕落と説明書を獲得する。
レベルが上がれば新たなスキルを獲得する。
次はレベル:10
ステータス画面に説明が表示されたぞ?なんだこれ?ふむふむ。へぇー触れば効果が分かるのか?
なら…とりゃりゃりゃ!
合成I(0/100)
2つ以上のアイテムを合成し、上位のアイテムを作り出す固有スキル。
ランクが上がれば神具さえ作り出せる。
成長率10倍
所持者の成長率を10倍にする固有スキル。
なお、この固有スキルはランクが上がらない。
自堕落I(0/15)
家でだらしなくすると経験値を獲得するスキル。
1時間+1EXPする。
ランクが上がれば経験値が増える。
説明書
ステータス画面で知りたい所を触れば説明が表示されるスキル。
アイテムに触ればステータス画面に説明が表示され、アイテム名とアイテム効果が表示される。
なお、このスキルはランクが上がらない。
おぉ!この表示って説明書さんのお陰やったん?
ありがたやぁー。
職業、固有スキル、スキルだけじゃなくて他にも見れるんだし見てみるか。…とりゃりゃりゃ!
アルフ・リ・ニト
アルフ王家の第3王子。生まれたばかり。
レベル
経験値を獲得するとレベルが上がり、HP、 MP、SKPが増える。
HP
0になると死ぬ。致命傷を負うと最大HPが減少する。
MP
0になると体が重くなる。魔力管が壊れると最大MPが減少する。
SKP
スキルポイント。固有スキルやスキルに使えばランクが上がる。レベルが1上がるごとに5増える。
Luk
運の良さ。
0〜100が普通の人。
101〜500が普通よりも運が良い人。
501以上が普通よりも運がとても良い人。
へぇー。俺ってアルフ王家の第3王子やったん。第3王子ってのは知ってたがアルフ王家ってのは知らんかったな。
俺って運メッチャ良いな。そりゃあスロットで第3王子とか当てるわけやわ。
…の割に変な奴に刺されて死んでしまったけどな。
まぁ今となってはどうでもいいがな!
それよりも自堕落のスキルで経験値稼ごっ!レベル3になったらSKPで自堕落のランクアップできるし。
今日からダラダラしよー!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
自堕落のスキルで経験値を稼ぐこと10時間。たまにお腹減って泣いたらマミーじゃなくてCカップぐらいの30歳ぐらいの女性が来て母乳を飲まされた。乳母だろうか?
なんと背徳的なのだろうか。赤ん坊はこんなことを毎日してるなんて羨ましいぞ。まぁ今俺赤ん坊やけど。
実際には腹が減りすぎてあんま気にせずに飲んだが。
それよりもやっとレベルが2になった。長かった…。
早速ステータス見てみるか。
『ステータス』!
――――――――――
Name:アルフ・リ・ニト
年齢:0歳
性別:男
職業:自宅警備員
固有スキル:合成I(0/100) 成長率10倍
スキル:自堕落I(0/15) 説明書
レベル:2(0/20)
HP:10
MP:20
SKP:10
Luk:1000
――――――――――
自堕落のランクが上がるかなって思ってたけどやっぱSKPを消費しないとランクが上がらないのかな?
次のランクアップには20時間必要か…。長いな。ってもう夜に近いから明日頑張ってダラダラしよー。
お休みー。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おぎゃー!おぎゃー!」
朝起きると…恥ずかしながらお漏らしをしてもた。赤ん坊の悲しい所はここか…。精神的に大人に近くてもこれは泣きそう。
「あら、ニト様お漏らししちゃいましたか?今お取り替えするので我慢してくださいね?」
俺の部屋に常時いるメイドの女性にオムツを取り替えてもらった。マジ恥ずい…。
さてと今日も頑張ってダラダラしよーっと!
ダラダラ。ダラダラ。
「二ーートッ!お父さんでちゅよー!夜は仕事が忙しくて来れなかったけどやっと今、全部終わらせてきたからニトの顔を見に来たよー!」
おい、父さん!二トを伸ばすな!ニートに聞こえて嫌なんだけど。確かに今ニート状態やけどさ。
後、父さんの顔が近すぎてキモいからやめい。
「あうあぁ。」
「うむうむ。お父さんが来て嬉ちいでちゅかー?お父さんもニトの顔が見れて嬉ちいでちゅよー!」
「あう。」
赤ちゃん言葉が少しうざいな。
「明日はニトのお兄ちゃん達とお姉ちゃんを連れてくるからねー!3人とも優しいから安心してねー!」
「あう!」
マジか!少し楽しみが増えたな。父さんぐっじょぶ!
「1時間だけしかいれないでちゅがお話しようね!」
父さんは微妙に赤ちゃん言葉が下手だな。面倒だがこれも家族サービスだと思って赤ちゃんのフリしたろ。
1時間くらい父さんといたがちょうど1時間経った頃にヒゲがぼうぼうのおじさんが来た。
どうやら大臣のようだ。俺を見る目が孫を見るようで良い人っぽそうだな。
どうやら父さんと大臣は執務室とやらに戻るようだ。ふぁいとー父さん。俺はダラダラさせてもらうよ。
「ニト、父さん仕事に戻るよ。頑張りまちゅねー!」
父さんが手を出してきたので頬ずりする。
「ニトー!かわゆすぎ!大臣見たっ?ウチの子かわゆすぎる!俺を元気づけてくれたぞ!これで仕事も100%本気が出るぞぉぉぉぉお!」
「それは良かったです。私もして欲しいですよ。」
大臣も手を出してきたので頬ずりする。
「ほぉぉぉぉぉぉお!私にもしてくださったぞ!これとても元気が出ますね!今日は100%いや1000%本気が出ますよぉぉぉぉぉぉお!」
やばい。だいの大人が朝っぱらからキモい奇声上げてるわ。メイド少し引いてるよ?父さんと大臣大丈夫?
「さぁ、大臣行くぞ!」
「はい!」
2人はスキップで部屋を出て行った。
「あうあ。あうぅ。」
駄目だ。こりゃ。