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元最強プレイヤーは【魔法】を使いたいそうです。  作者: 光合セイ
第四章 誠実なれ星乙女

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駆逐コンビの戦闘③

 全て作戦通り。

 とまでは事が運ばなかったが、大凡予想していた通りの結果である。

 ジェネシスを囲むプレイヤーの大半は混乱しているか、戦闘不能に陥っている。それが何を意味するかと言えば、混乱に乗じてキルを重ねていくと言う事だろう。


 となれば話は簡単だ。この場にいるプレイヤー全員を虐殺(ジェノサイド)する。それも完全無欠の勝利と言う形で、だ。


 全プレイヤーとかち合うよりも、遥かに簡単で簡略的な状況へのシフトに、ジェネシスは思わず喜びの声をあげる。


「ッシャア! ナイスだァ、くノ一!」

「それほどでもありません。それよりもそちらは大丈夫なんですか!?」

「ハッ! 天下のジェネシス様を舐めてもらっちゃ困るなぁ! こちとら日頃からあの最凶ジゼルとやりあったンだ! この程度の雑魚モブ如きで手間取るようなタマじゃねェさ!」

「随分と言ってくれるじゃないか……」


 ジェネシスの大声に反応したのは、やはり先ほどまでジェネシス殺り合っていた金髪の剣士だ。

 彼は憤怒を表情に滲ませて、先ほどよりも剣を持つ手が力強く感じるのは、おそらく勘違いではないだろう。


 それを視界に入れたジェネシスは、彼の怒りを嘲笑うかのようにゲラゲラと笑い惚ける。


「ガハハハッ! わりぃな名前も知らない金髪剣士! こちとら2人で手一杯なんだわァ! おちおちテメェの相手なんてしてらんねえんだよ。わかれバカがよォ!」

「キサマ……! キサマには拳闘士のプライドはないのか!?」

()()()


 怒りの言葉を口にする金髪剣士に一言だけ。

 中指を立てて言い放った。


「俺は勝つために此処に来たんだ。味方が俺含む2人だけってのは、あまりにも少ねェだろうがよォ。なら、プライドなんてのに構ってる暇なんざねェだろォ?」

「…………」


 かつて最強と呼ばれたプレイヤーの、悪童のような言葉とは思えない悪戯な発言に、金髪の剣士は唖然と口を開ける。

 すぐに我に返ったかと思うと、金髪剣士は剣を構え直す。ジェネシスとの対話は無用と踏んだのだろう。口を一文字に引き絞る。


 それを見たジェネシスは、ニヤリと唇を釣り、ニヒルに、そして不敵に笑う。


皆殺し(オールキル)だ。弱ったまんまかかって来いよ、クソ雑魚共ォ!」


 大叫声。あるいは大強制だ。

 アヤメが落とした岩によって、かなり減らされたHPのままジェネシスに挑む他なく、しかし敵方のジェネシスは岩落としを予想していたためHPがほぼ満タンに近い。

 PSの高いジェネシスに挑めば、完封されて終わることはほぼ間違いないだろう。


 クソゲーここに極まれり、である。


「――う、うァああああああ!?」


 プレッシャーに耐えかねて、一人のプレイヤーがジェネシスへと斬りかかる。

 しかし力任せに振り下ろすのではなく、一切の無駄も隙もない姿勢だ。


 しかし、だ。


 ザシュッ、と生々しい音がプレイヤーの背中を貫き、HPゲージを濃い赤で染め上げ減らす。

 急に力が入らなくなったのか、ジェネシスへと斬りかかったプレイヤーは地面に倒れ、背中に刺さったクナイに目を向け、やがてそのクナイを投げた犯人に目星を付ける。


「――私、忘れられてます?」


 頬をぽりぽりと掻いてアヤメが首を傾げる。


 そうだった。

 ジェネシスの迫力に隠れていたが、彼女も敵方のプレイヤーだった。


「カーバック。ジェネシスは任せます」

「御意に!」


 修道女はカーバックに指示を振ると、自分は背後の絶壁の上に立つプレイヤーに視線を配る。

 その視線に気付いたのか、アヤメは自分と目を合わせようとする修道女に目を向けて、にこりと無駄にイケメンな爽やか笑顔を返した。


「おや。私の相手は貴女ですか?」

「ええ。お待たせさせてしまったようで、申し訳御座いません。では――殺し合いましょう」


 慈悲深い笑顔を浮かべ、修道女は笑った。



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