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元最強プレイヤーは【魔法】を使いたいそうです。  作者: 光合セイ
第一幕 仮想世界へダイブ開始
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運気0の敗北後

「あはは〜。手酷くやられたね〜私達」

「……そうだね」


 穏やかに言うジゼルとは対照的に、俯いて悔しそうに震えるカナデ。負けて悔しいと思うのは、ゲーマーの性だ。そして根っからのゲーマーであるカナデのそれも、紛れもないそれであり……


「ブリーフィングをしよう!」


 感情が暴走し始めた。


「ブリーフィング?……え、またあそこに挑戦にする気!?」

「当然よ! やられっぱなしじゃ悔しいじゃない!」

「いやいや! 私の魔法じゃ無理だから!」

「ならSPを貯めよう! モンスター狩って貯めまくろう!」

「一朝一夕で出来るものじゃないからね!?」


 SPはモンスターを討伐することによって溜まっていく仕様になっている。レベルが低い時は貯めやすいが、レベルが上がっていくごとに手に入れ難くなっていく。

 今のジゼルのレベルは3。貯めやすいが、モンスターを一気に相手取るツラさは今知った。

 勝てる気がしねぇ……というヤツである。


「いや無理無理! やめよう? 討伐は他の人に任せよう!?」

「ダメ! あのカマキリ達は絶対にアタシ達でる!」

「無茶するのはダメ! 絶対ダメー!」


 ジゼルの必死の説得により、ようやくカナデは正気を取り戻した。ジゼルはあの気持ち悪い光景を見たくなかったのである。


「……なんか私、子供っぽかったかも。ごめん」


 ジゼルはカナデの謝罪を受け、先程カナデに言われた言葉をそっくりそのまま返してあげる。


「いいよいいよ。よくあることだから」

「……どーゆー意味よ〜」


 半眼になって上目遣いで睨むカナデ。元気っ子キャラの間から少しだけ素が出ているが気にしない。やはり流石に『よくあること』は盛りすぎたか。


「それよりこれからどうする? 時間はまだ少し残ってるよ?」

「うーん……じゃあお茶でもしよっか。ジゼルが好きそうなカフェを見つけておいたよ」

「本当!?」


 カナデに案内されるままに付いていくと、葉で覆われた幻想的なお店へと案内された。人がおらず、静かな空間を独占をしている感じは、ジゼルは大好きだ。

 カナデはコーヒーを、ジゼルはカフェ・オ・レを頼むと、すぐに渋い鈍色のカップに注がれた飲料が運ばれてきた。


「はやっ」

「リアルじゃないからね〜。ウェイトレスさんもAIが動かしてるから、すごい機械的で出てくるのが早いんだよ。その分話しながら食べる時間が増えるのが、VR飲食店の良いところ」

「へえ〜」


 ジゼルが感心したように言うと、満足したのかカナデはコーヒーをすする。ジゼルも恐る恐るといった感じでカフェ・オ・レを啜る。


「うん、美味しい」

「カフェオレも美味しい!」

「食べ物も頼んじゃおっか」

「いいね!」


 そのあとに頼んだオムライスとパスタも、早く出てきたことにジゼルは心底驚いた。VRの中では満腹ゲージなるものがあるとは言え、いくら食べても太らないというのは群を抜いて良いことだ。



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