片想いは…
私がお薬コーナーのレジで精算していると、ここにはいないはずの人が見えた。
まさか…と思いながら、その人を見ていると目が合ったが、どこかへ行ってしまった。
心臓はドキドキして、手が震え、お客様にお金を渡すのがやっとだった。
そして、近くにいたパートさんに聞いてみた。
「今、横村さんいませんでした?」
『えー、見てないよ』
私が会いたいと思っていたから、幻覚が見えたのだろうか…と心配になった。
横村さんとは、私の好きな人で滅多に会えない人なのだ。
「そうですか…。やっぱ、見間違いですね…」
パートさんは、笑いながら近くを掃除していた。
私も、自分の仕事をしていたが、やっぱり心臓のドキドキは止まらない。
気になって、しょうがなかった時、ふらっと現れた。
『あっ、やっぱりいたんだね』と言いながら、パートさんは笑っている。
仕事に行くような服装で見えたのは、横村さんだった。
「…お疲れ様です」
『お疲れ様です』
何だか、疲れていてテンション低めだが、ニッコリとして挨拶してくれた。
その後、3人で色々お話をした。
横村さんが近くにいる時には、心臓がドキドキしないで話せた。
自分の気持ちを素直に言ってみたけど、横村さんは昔のままだった。
滅多に、素を見せてくれない。
だけど、話せるのは嬉しい。
横村さんは、『お仕事の邪魔をしてすみませんでした』と言って、帰って行った。
昨年だったら、また会えるからと思っていたけど、今は次はいつ来てくれるの?と思う。
笑顔で、『たまに来ます』なんて言われたら、ずっと一緒にいたいと思ってしまう私は、わがままだ。
付き合ってもいないのに。
それでも、会いたいと思う。
また、会える日まで頑張らないといけない…と思う。