発覚、疑惑、信頼
三神たちの話を要約するとこうだ。
七瀬たちが事務所を出発して、おそらく相手の指定場所であったろうレストランに到着。
それから約一時間程。
七瀬、八重と共に、依頼人であろう一人の女性が出てくる。そのまま七瀬の車へ。
「車がどこへ向かったかとゆーと」
悟はパソコンの画面をいじる。街中の監視カメラを網羅する、悟の技量。
エンターキー。
車が路地裏に入っていく。
「この先には、廃墟しかなくてさー。カメラ追跡はここまでしかできなかった。でも」
早送り。
七瀬の車が出てくる。
運転しているのは、先程の見知らぬ女性。
「車はこの後、最寄り駅まで走行。その後、女性は行方知れずとなりましたとさ」
悟が次々に映像を映し出していく。
「で、まさかお前でさえも見失ったとか言うなよ?天才ハッカーのお前が」
千駄ヶ谷の言いぶりに、悟は呆れたようにため息をつく。
「まさか。ここで折れるのは凡人くらい。天才の僕はね……突き止めたよ。いや、そもそも知ってる、のほうがいいのかなぁ」
「勿体ぶらないでさっさと言いなさいよ」
「聞いたことがあるんだよ。この駅は地下施設への入り口だって。……なにその顔」
半目でこちらをじーっと見つめる、三神と千駄ヶ谷。
「いや、勿体ぶったくせにあんまり面白くなくて」
「右に同じ」
「あのさー。僕がそんなくっだらない、つっまんないこと言うわけないじゃん。ここが!裏の、アンデッドの拠点にされてる可能性が高いから言ったのにさー」
アンデッドの拠点。
三神は目を見開き、千駄ヶ谷は気だるそうにめんどくさ、と呟いた。
その呟きが聞こえたのか、三神に無言で鉄拳をぶちこまれた。脳天に。
「と、ゆーわけで。この女性が駅に入ったきり行方知れずということは、拠点に入っていった可能性が高い。そして、七瀬たちのことを何らか知っていると見た」
「でも、目的は?わざわざ死神と吸血鬼さらって、なんかメリットある?」
その通り。死神をさらっても、逆に恨みを買うだけ。吸血鬼をさらっても、同様。
なんの意味もない。
「そこで、僕はここ最近のブラックプレイについて動向をさぐった」
「……なんでブラックプレイって分かるんだよ?他にも組織はあるだろ」
「事務所が荒らされて、まぁ、相手はなんか情報を盗んでいった。その代わり置いていったのは、ブラックプレイの紋章がかかれたカードだ。で、そこから調べてくと……」
悟はキーボードをたたく。しばらくして、死神協会のサイトを立ち上げ、さらに二つの顔写真が並ぶ。
「これだ。いやぁ、僕ほんっと天才だね」
カメラに映っていたあの女性のズーム、鮮明化された写真。
その隣には、死神協会が発布した手配写真だ。カードをカメラに向けて、無表情な顔の女性。
「これを照らし合わせると」
エンターキー。
ぴぴっ、と機会の音がなって。
二人の女性の顔の特徴、骨格……。
九十三パーセント一致、と赤い文字が表示された。
「チハヤ・ナルカミ。ブラックプレイの幹部候補生だそうだ。手配の報償金は三百万ドル。まぁ、各地で猟奇殺人おこしてりゃ、そーなるか」
「猟奇、殺人って……」
三神が蒼白な顔を浮かべ、口元を両手で隠した。
言いたいことは、今彼女が思っていることはわかる。
「もしかして、ふたりは……」
殺されたかも、しれない。
千駄ヶ谷は三神の頭に手をおく。
三神は目だけを上に向け、千駄ヶ谷を見上げた。
「まさかお前。あの二人が死んだとか思ってんじゃねーだろーな」
「ひっ……」
三神が小さい悲鳴をあげたのは、千駄ヶ谷の指が、三神の頭に食い込んでいるからだ。
「あの二人が簡単に死ぬわけねーだろ」
「そ、そりゃそーだけど!」
三神は言いながら千駄ヶ谷の手に手刀を食らわす。
手は主がいってぇ、と言った後に離れていった。
「でも、心配だから」
「安心しろよ。お嬢はともかく、あのパッキン殺すのは俺だからな」
「いや殺すな」
「俺以外の奴にやられていたら、絶対許さねぇ」
千駄ヶ谷の奥歯が、ぎりと鳴った。
不定期更新でほんとうにすいません。
駄作ですが、楽しんでいただけると幸いです。
タイトルの付け方が本当にわからない。




