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時計仕掛けのアクターズ  作者: 卯月兎夢
黄泉帰りの扉
16/26

発覚、疑惑、信頼

 三神たちの話を要約するとこうだ。

 七瀬たちが事務所を出発して、おそらく相手の指定場所であったろうレストランに到着。

 それから約一時間程。

 七瀬、八重と共に、依頼人であろう一人の女性が出てくる。そのまま七瀬の車へ。


「車がどこへ向かったかとゆーと」


 悟はパソコンの画面をいじる。街中の監視カメラを網羅する、悟の技量。

 エンターキー。


 車が路地裏に入っていく。



「この先には、廃墟しかなくてさー。カメラ追跡はここまでしかできなかった。でも」


 早送り。

七瀬の車が出てくる。


 運転しているのは、先程の見知らぬ女性。



「車はこの後、最寄り駅まで走行。その後、女性は行方知れずとなりましたとさ」


 悟が次々に映像を映し出していく。


「で、まさかお前でさえも見失ったとか言うなよ?天才ハッカーのお前が」


 千駄ヶ谷の言いぶりに、悟は呆れたようにため息をつく。

「まさか。ここで折れるのは凡人くらい。天才の僕はね……突き止めたよ。いや、そもそも知ってる、のほうがいいのかなぁ」


「勿体ぶらないでさっさと言いなさいよ」


「聞いたことがあるんだよ。この駅は地下施設への入り口だって。……なにその顔」


 半目でこちらをじーっと見つめる、三神と千駄ヶ谷。


「いや、勿体ぶったくせにあんまり面白くなくて」

「右に同じ」


「あのさー。僕がそんなくっだらない、つっまんないこと言うわけないじゃん。ここが!裏の、アンデッドの拠点にされてる可能性が高いから言ったのにさー」


 アンデッドの拠点。

 三神は目を見開き、千駄ヶ谷は気だるそうにめんどくさ、と呟いた。

 その呟きが聞こえたのか、三神に無言で鉄拳をぶちこまれた。脳天に。


「と、ゆーわけで。この女性が駅に入ったきり行方知れずということは、拠点に入っていった可能性が高い。そして、七瀬たちのことを何らか知っていると見た」


「でも、目的は?わざわざ死神と吸血鬼さらって、なんかメリットある?」


 その通り。死神をさらっても、逆に恨みを買うだけ。吸血鬼をさらっても、同様。


 なんの意味もない。


「そこで、僕はここ最近のブラックプレイについて動向をさぐった」


「……なんでブラックプレイって分かるんだよ?他にも組織はあるだろ」


「事務所が荒らされて、まぁ、相手はなんか情報を盗んでいった。その代わり置いていったのは、ブラックプレイの紋章がかかれたカードだ。で、そこから調べてくと……」


 悟はキーボードをたたく。しばらくして、死神協会のサイトを立ち上げ、さらに二つの顔写真が並ぶ。


「これだ。いやぁ、僕ほんっと天才だね」


 カメラに映っていたあの女性のズーム、鮮明化された写真。

 その隣には、死神協会が発布した手配写真だ。カードをカメラに向けて、無表情な顔の女性。


「これを照らし合わせると」


 エンターキー。


 ぴぴっ、と機会の音がなって。

 二人の女性の顔の特徴、骨格……。


 九十三パーセント一致、と赤い文字が表示された。



「チハヤ・ナルカミ。ブラックプレイの幹部候補生だそうだ。手配の報償金は三百万ドル。まぁ、各地で猟奇殺人おこしてりゃ、そーなるか」



「猟奇、殺人って……」


 三神が蒼白な顔を浮かべ、口元を両手で隠した。

 言いたいことは、今彼女が思っていることはわかる。


「もしかして、ふたりは……」



 殺されたかも、しれない。


 千駄ヶ谷は三神の頭に手をおく。

 三神は目だけを上に向け、千駄ヶ谷を見上げた。


「まさかお前。あの二人が死んだとか思ってんじゃねーだろーな」


「ひっ……」


 三神が小さい悲鳴をあげたのは、千駄ヶ谷の指が、三神の頭に食い込んでいるからだ。



「あの二人が簡単に死ぬわけねーだろ」


「そ、そりゃそーだけど!」


 三神は言いながら千駄ヶ谷の手に手刀を食らわす。

 手は主がいってぇ、と言った後に離れていった。



「でも、心配だから」


「安心しろよ。お嬢はともかく、あのパッキン殺すのは俺だからな」


「いや殺すな」



「俺以外の奴にやられていたら、絶対許さねぇ」



 千駄ヶ谷の奥歯が、ぎりと鳴った。






 不定期更新でほんとうにすいません。

 駄作ですが、楽しんでいただけると幸いです。

 





 タイトルの付け方が本当にわからない。

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