15話 ドゲドー厄介ごとに首を突っ込……まない?
旅行を楽しむっ! ……ってレベルじゃねーぞ。コレ。
いや、幼女以外がほろ酔い気分でキャッキャしてたら、森を見つけちゃうわけじゃん?
だって森があるんだもの。
森に沿って迂回する?
それとも思い切って森の上を進んじゃう?
って聞いたら、みんなノリノリで上を進むの選ぶよね? 当然だよね。
いえ~いっ! あそこに村はっけ~ん。
行ってみたい人、行ってみたい人!
はいはいはーい!
って突撃かけて、村の入り口守ってた犬耳ちゃんに犬人族の村って教えてくれるし。
うわぁ~犬人族の村だって、すげー!ってなるよね。
……そこまではよかったよ。
いやさぁ、ホロ酔いも覚めるよね。ね。
辛気臭ーー……
なにこのどんより空気。
入り口見張ってた犬耳ちゃんさぁ、なんでこんな辛気臭いの? そういう犬なの?
ん?
犬耳ちゃんが妙に話し難そうにしてる?
あ。
いやな予感。
余計なこと聞いてしもた。
コレ絶対助け求められるパターンのヤツや。
よし。帰ろう。
知ったこっちゃない。
今すぐ帰ろう。
……いや? でも今は昔の時と違うか。
安請け合いするアルクスみたいな馬鹿は……おったー!
あー?
赤毛ちゃんかーー。
赤毛ちゃんそうやったか~!
あ~。まぁ。そういう子やったな~!
って、茶髪ロングさんと幼女までそうなんかーーっ!!
……あ~あ。
え~。やだよ~。
俺を見るなよ~。
勝手にしろよ~。
……
え?
勝手にするの??
お? ……うん。
あれ? マジで?
え? あ。うん。わかった。おれ見とく。
で、でも、ほら、一応俺も話だけ聞いとこう……かな? かな?
……ほう。
妊婦の犬人族が迷い込んで住人になった。と
その子供は人だったが、すぐに成長してもう少年になってる。と。
それから魔物が襲ってくるようになって、じわじわ村がヤバイ。と。
……
ふーん。
え? うん? なに?
犬耳ちゃんは鼻がいいから魔物が出る前に、いつも少年が森に入っているのに気づいてる。けど、他のヤツラには言って無い?
え? なんで?
一応同族の息子だから……って、ふ~ん。
ワケ ワカ ラン♪
もう100%元凶わかってんじゃんっ!
え? 俺らが来たら少年が逃げるように森に消えていった?
あぁ、だって俺が駄々漏れになるくらい馬車に魔力注いでたからな。
ソレが伝わっちゃったんだろうよ。
……って、それで逃げてるって200%敵じゃん!
ソイツ。
そいつダウト!
いや、クッ! って顔してんじゃね~よ。
めんどくさいなぁ。
エセ同族守って本当の同族が滅んでたら世話ねーぞ。
赤毛ちゃん赤毛ちゃん。
その少年きっと魔族。
母親は洗脳されてるよ。
ん? あぁ、これ昔知った情報なんだわ。
はぁ~……なんでこんな面倒くさいことに。
お~?
いいぞ説得しちゃえ茶髪ロングさん!
赤毛ちゃん追撃追撃。ホレホレ。
……よし。犬耳ちゃん折れたー!
じゃあ、後はもう解決まで村の人達で頑張ってもらおう! ウンウン。
え?
村に正体バラすんじゃなくて、赤毛ちゃん達が追うの?
え?
あ、うん?
えぇ? 言い出した俺の正しさを? いや、別にさぁ、それどうでもよくない?
あ、よくない?
はい。
はぁ、しかた……
んん? あれ? ほんとに俺、見てるだけでいいの?
え~……わかった。
***
犬耳ちゃんすげ~な。
「あっち」とか的確に方向わかるんだね。
確かにそっちに向かう度に面倒くさそうな魔物が出てくるしさ。
……っていうか、そんな事よりだ。
まさか本当に、俺がなんもしなくていいとか思ってなかったわ。
まぁ? 幼女からお姫様だっこする役目を強制されてるけど、これは別にいいや。
茶髪ロングさんが前衛して、赤毛ちゃんが後衛してたら確かにバランスいい。
意外に強いのね。お二人さん。夜だけじゃなく。
俺単純にビックリ。
お~……魔族の少年が観念して出てきてーら。
大丈夫かな? 赤毛ちゃんたち。
ちょっと心配になっちゃうぞ?
お、おー……
もう本性隠す気ねーな。
皆殺しとか物騒なこと言ってんぞ。こわいこわい。
これは流石に代わ……らなくていいんですか?
え~?
なんかもう代わりたいよ。俺。
おお。
うっわ~。
ハラハラするわ。
あ。
……あぶねー。
お、いいぞ。
おー。
いや、そこ。
お~……
うわーっ!
怖いわギリギリじゃん。
あ、それ誘い。
罠だよ。
ソレにのっちゃダメ……絶対怪我する。
そぉいっ。
あ~……ごめんね。
つい手を出しちゃった。
許して。
ん~。まぁ、手を出したついでに最後までやっちゃっていい?
むしろ譲って?
……いや、回答は聞かないわ。
茶髪ロングさん、ちょっと切り傷ついちゃってるし。
俺もうやっちゃう。
勝手にヤっちゃう。
ちょっとなんかむかついた。
その傷は1万倍にして返してあげちゃうからね。
極所集中鎌鼬
…………
うん。ごめん!
やりすぎた。
微塵も残らないってまでやるつもり無かった。
いや! でも仕方ないじゃんっ!
なんか腹たったしさ!
ほんとごめんって!
……お?
犬耳ちゃん? ……どした?
横になって腹見せてさ。
…………そのでっかい胸で……誘ってます??